Power Macintosh G3 DT Power Up
最終更新 2003/07/21
このページの原型は2000年1月16日に公開しました。その後、何度か改訂を試みてはいましたが公開までには至りませんでした。2000年7月に「初心忘れるべからず」と書いた時にはほぼ書き上げていたのですが、諸事情により実現しなかったのです。
物事には旬があり、時期を逸すると価値を失うことが多いのです。この「ベージュG3」のユーザは多いようで「G3 Macs are Go!」や「Gossamer補完計画」、「Gossamer Underground▲」など力の入ったページがあり、既に多くの情報が公開されています。二番煎じの記事を公開するわけにもいかず、私の書きかけの原稿はそのままお蔵入りになるかと思われました。
しかし、二番煎じでも私なりに書いたものを公開しようと思い立ったきっかけは新たなCPUアクセラレータの登場でした。Power Logix社はPower Force G3 GIF 800/800/512Kを発売しましたし、Sonnet Technologies社はCrescendo/ZIF G4 1.0 GHz-1M EG4-1000-1Mを発売しています。
システムバスの66MHzの8倍速である533MHzの限界を超えたCPUアクセラレータの登場によりPower Macintosh G3も延命できそうです。もちろん、パソコンの性能においてCPUパワーが全てではないのですが、可能性を感じさせてくれました。これらのCPUアクセラレータ登場の前にパワーアップの基本をまとめておくことは無意味ではないと思ったのです。
Macintoshをパワーアップするためのページはいくつもありますが、私なりのポリシーをあげておきます。
- 自分で試してうまくいったことを公開する。
- パソコンの保証がなくなるような「改造」(クロックアップなど)は行わない。
- 半田ゴテは使用しない。
- 写真などにより、初心者にもわかりやすく表現する。
- できるだけ詳しい解説をつけることにより、作業の意味を理解できるようにする。
これらのポリシーにより、このページは多少なりとも他のMacintoshをパワーアップするためのページとは差別化をはかっています。私もそれら先人達のページから多くのことを学んでいます。ですから、それらのページを否定するつもりは毛頭ありません。しかし、残念ながらそれらのページが初心者にとって敷居が高いのも否めません。また、私はクロックアップを否定しています。その理由はクロックアップは危険に書いていますので興味をもたれた方はごらんいただければと思います。つまり、このページは「改造」に慣れた玄人向けのページではありません。
最後に決まり文句ではありますが、注意を書いておきます。私はこのページを作成するために写真撮影をしながら再度同じ作業を行い、内容を確認しました。しかし、その説明には私の勘違いや間違いがあるかもしれませんし、説明不足があるかもしれません。また、機種の違いや微妙な環境の違いにより予期しないことが起こるかもしれません。ですから、実際にこのページの通りに作業した場合に何のトラブルも起きないとは私は保証できません。
もし、このページの内容を試されるのでしたら、みなさん個人の責任で行って下さい。何かトラブルが起こっても私は責任を負えません。
Apple Power Macintosh G3 Desktop 266MHz(英語版)とは?
正面 |
背面 |
私はこのパソコンを1999年3月に購入しました。そのスペックと価格は次の通りでした。アメリカ仕様の最終モデルだと思われ、日本国内で販売されていたものと若干仕様が異なるようです。本当は日本仕様のモデルが欲しかったのですが、Power Macintosh G3 Blue & Whiteがどのようなものかわからず、その登場を待っている間に売り切れてしまったのです。結局、Power Macintosh G3 Blue & Whiteは私の好みのデザインでなかったため、やむを得ず並行輸入品であろうこのモデルを購入したわけです。しかし、通常は日本語版のMac OSを追加購入するなど余分な費用がかかるので、よほどのこだわりがある方にしかお勧めできない購入方法です。また、並行輸入品はアップル・ジャパンの保証を受けられないのでリスクが大きいのです。安易に選択する方法ではないことを覚えておいて下さい。
- CPU:PowerPC 750(G3)/266MHz
- RAM:64MB(DIMMスロット1)
- HDD:4GB(ATAPI)
- CD-ROM:24倍速(ATAPI)トレー式
- 最大消費電力:150W
- OS:Mac OS 8.5E
- 購入価格:208,000円
ここにはもう少し詳しく書いてあります。
日本仕様との違いをまとめておきます。
- パーソナリティーカードが異なり、56Kモデムが内蔵されている。
- シリアルポート(下:モデムポート)が塞がれており、プリンタポートしか使用できない。
56Kモデムが内蔵されているので当然なのですが、私は当時シリアル接続のISDNを使っていたのでちょっと不便でした。
- RAMが32MBではなく、64MB搭載されている。
同じきょう体のモデル解説(2000年1月16日作成、2003年7月21日公開)
Gossamerについて
このPower Macintosh G3 DTには「Gossamer」(ゴッサマー)というマザーボードが使われています。GossamerとはアップルのPower Macintosh G3の開発コードなのですが、マザーボードの通称として使われています。この「Gossamer」には初期型と後期型の2種類があり、初期型にはRev.1、後期型にはRev.2とRev.3があります。この違いは「Apple システム プロフィール」で確認することができます。「システム特性」→「製品情報」→「ROM revision」を見てください。「$77D.40F2」ならRev.1、「$77D.45F1」ならRev.2、そして、「$77D.45F2」ならRev.3です。
また、Macで綴る「へーぼんな日々」というページにGossamer ROM checkerというフリーウェアがあるので、それを使うと簡単に確認できます。例えば、Rev.3ならこう表示されます。
このRevisionの違いは単なるマイナーチェンジなのですが、一つだけ大きな違いがあります。記憶装置を接続する方式が若干異なり、それが記憶装置の増設の際には重要な意味を持つのです。簡単に整理してみます。
Gossamerは記憶装置用の内部バスにE-IDEを採用しています。同時に外部拡張用と兼用でSCSI-1バスも搭載しています。Gossamer Rev.1 と Rev.2、Rev.3の違いは前者のE-IDEの仕様にあります。このE-IDEはIBM-PC/AT互換機の仕様ですが、Macintoshに流用される際に若干の機能が省かれていました。LC630やPowerBook150などから採用され始めたこのE-IDEバスは、本来は1つのバスに2つのATAPI型の記憶装置を接続可能で、そのバスが2本あるので合計4台を接続可能なはずなのです。 しかし、Gossamer Rev.1までは1つのバスに1つのATAPI型の記憶装置しか接続できませんでした。つまり、Gossamer Rev.1では合計2台の記憶装置しか接続できないのです。
それが、Gossamer Rev.2の登場により、ようやく本来の規格通り合計4台のATAPI型の記憶装置を接続できるようになったのです。これはPower Macintoshのコストダウンに大きく貢献しました。SCSI型の記憶装置は高価でコストアップの原因になっていたのですが、IBM-PC/AT互換機で大量に使われている安価なE-IDE型の記憶装置を使えることになったからです。その少し前まではE-IDEは「廉価版のSCSI」などと酷評されていたのですが、ここで採用されているE-IDEの転送速度は13.3MB/sと高速で、SCSI-1(5MB/s)を大きく上回っています。スペック的にはSCSIの方が安定しているのですが、この速度帯ではE-IDEも安定度は問題ありません。それに高価なSCSIコントローラが不要なため、コストパフォーマンスが優れていたのです。今となってはSCSIよりもE-IDEの発展版であるUltra ATA/100などのHDDが主流になり、Ultra Wide SCSIなどは一部のハイエンドにしか生き残れていません。スペックも重要なのですが、最重要なのは価格であるというのが消費者の気持ちだと言うことです。
さて、ではGossamer Rev.1以前のモデルで3台目以降の記憶装置が接続できないかというと、そうではありません。それらはSCSI-1バスに接続すれば良いのです。実際のところ、Gossamer Rev.1のZipドライブ搭載モデルの場合にはE-IDEバスがHDDとCD-ROMに占有されているので、ZipドライブがSCSI接続されているのです。もちろん、ATAPI型ドライブの方がコストが安いので、Gossamer Rev.2以降ではZipドライブはATAPI型に変更されE-IDEバスに接続されています。まとめるならば、Gossamer Rev. 1に内部記憶装置を増設する場合にはSCSI型を使用する必要がありますが、Gossamer Rev. 2以降にはSCSI型とATAPI型(E-IDE)の両方が使えるのです。
難し過ぎましたか?簡単にまとめておきます。
|
Gossamer Rev.1 |
Gossamer Rev.2 |
Gossamer Rev.3 |
タイプ |
初期型 |
後期型 |
後期型 |
ROM revision |
$77D.40F2 |
$77D.45F1 |
$77D.45F2 |
E-IDEに接続可能な記憶装置 |
2台 |
4台 |
4台 |
SCSI-1に接続可能な記憶装置 |
7台 |
7台 |
7台 |
HDD(1台目) |
E-IDE(ATAPI) |
E-IDE(ATAPI) |
E-IDE(ATAPI) |
CD-ROMドライブ |
E-IDE(ATAPI) |
E-IDE(ATAPI) |
E-IDE(ATAPI) |
Zipドライブ(内蔵モデル) |
SCSI |
E-IDE(ATAPI) |
E-IDE(ATAPI) |
Gossamer Rev.3 の基板レイアウト
では、具体的にマザーボード「Gossamer」を見てみましょう。きょう体を開ければすぐに見ることができるのですが、その前にここで概要を見ておいて下さい。わかりやすようにメモリーやパーソナリティ・カード、PCIカード、ケーブルなどは取り外してあります。
まず、左下の赤色枠内を見て下さい。ここにボードの型名らしきものが印刷されています。「820-0991-B」とあります。これがGossamer Rev. 3を表しているようです。先に述べた通り、Gossamer ROM checkerを使えば簡単にわかるのですが、ショップでマザーボードを単体で購入する場合にはボードの型名などで区別するしかありません。
中央部の青色枠内に3つあるのがメモリスロットです。増設は256MB×3=768MBまでとなっています。
その左隣の水色枠内がVRAMスロット(ビデオメモリスロット)です。この部分の上にはパーソナリティ・カードがかぶさっていますので取り外さないと見ることはできません。オンボードには2MBのVRAMが搭載されていますが、2MBか4MBのVRAMを追加して4MBか6MBに増設可能です。
その左隣の紫色枠内にあるのがパーソナリティ・カードスロットです。ここには各種のパーソナリティ・カードが挿さっています。日本仕様ではオーディオ・カードが挿さっていますが、私の場合は米国仕様なので56Kbpsモデムが搭載されたパーソナリティ・カードが挿さっています。
左の緑色枠内に3つあるのがPCIスロットです。ここに各種拡張カードを増設することでパワーアップが可能です。ちなみに、この写真の右上にはマザーボードのリセットスイッチがあります。これはMacintoshのリセットスイッチではなく、CPUモジュールを交換した際に使用するものです。
右下の桃色枠内にある大きい剣山状のものがPowerPC G3モジュールです。このモジュールはZIFソケットによってマザーボードと接続されています。このZIFという言葉を覚えておいてください。
左上の黄色枠内に見えるのがSCSIコネクタと2つのE-IDEコネクタです。ここにはケーブルが挿さっています。大きい方がSCSIコネクタで小さく2つあるのがE-IDEコネクタです。
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SCSIコネクタとE-IDEコネクタ(2個) |
通常はケーブルが挿さっています |
左上の白色枠内がグラフィックコントローラのATI RAGE Proです。Gossamer後期型からグラフィックコントローラが改良されてATI RAGE II + DVDからATI RAGE Proに変更されています。つまり、マザーボードのRevisonを判断する外見上の特徴でもあるのです。
このグラフィックコントローラもパーソナリティカードの下に隠れています。私にはこの2つのグラフィックコントローラの性能の差が良くわかりませんが、若干でも性能が上がっているのは間違いないと思います。
このMacintoshをパワーアップする方法はいくつかあります。これから随時追加していこうと思います。
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そんなにたいしたページではありませんが…(^^;)
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