しかし、二番煎じでも私なりに書いたものを公開しようと思い立ったきっかけは新たなCPUアクセラレータの登場でした。Power Logix社はPower Force G3 GIF 800/800/512Kを発売しましたし、Sonnet Technologies社はCrescendo/ZIF G4 1.0 GHz-1M EG4-1000-1Mを発売しています。
システムバスの66MHzの8倍速である533MHzの限界を超えたCPUアクセラレータの登場によりPower Macintosh G3も延命できそうです。もちろん、パソコンの性能においてCPUパワーが全てではないのですが、可能性を感じさせてくれました。これらのCPUアクセラレータ登場の前にパワーアップの基本をまとめておくことは無意味ではないと思ったのです。
最後に決まり文句ではありますが、注意を書いておきます。私はこのページを作成するために写真撮影をしながら再度同じ作業を行い、内容を確認しました。しかし、その説明には私の勘違いや間違いがあるかもしれませんし、説明不足があるかもしれません。また、機種の違いや微妙な環境の違いにより予期しないことが起こるかもしれません。ですから、実際にこのページの通りに作業した場合に何のトラブルも起きないとは私は保証できません。
もし、このページの内容を試されるのでしたら、みなさん個人の責任で行って下さい。何かトラブルが起こっても私は責任を負えません。
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このPower Macintosh G3 DTには「Gossamer」(ゴッサマー)というマザーボードが使われています。GossamerとはアップルのPower Macintosh G3の開発コードなのですが、マザーボードの通称として使われています。この「Gossamer」には初期型と後期型の2種類があり、初期型にはRev.1、後期型にはRev.2とRev.3があります。この違いは「Apple システム プロフィール」で確認することができます。「システム特性」→「製品情報」→「ROM revision」を見てください。「$77D.40F2」ならRev.1、「$77D.45F1」ならRev.2、そして、「$77D.45F2」ならRev.3です。
また、Macで綴る「へーぼんな日々」というページにGossamer ROM checkerというフリーウェアがあるので、それを使うと簡単に確認できます。例えば、Rev.3ならこう表示されます。
このRevisionの違いは単なるマイナーチェンジなのですが、一つだけ大きな違いがあります。記憶装置を接続する方式が若干異なり、それが記憶装置の増設の際には重要な意味を持つのです。簡単に整理してみます。
Gossamerは記憶装置用の内部バスにE-IDEを採用しています。同時に外部拡張用と兼用でSCSI-1バスも搭載しています。Gossamer Rev.1 と Rev.2、Rev.3の違いは前者のE-IDEの仕様にあります。このE-IDEはIBM-PC/AT互換機の仕様ですが、Macintoshに流用される際に若干の機能が省かれていました。LC630やPowerBook150などから採用され始めたこのE-IDEバスは、本来は1つのバスに2つのATAPI型の記憶装置を接続可能で、そのバスが2本あるので合計4台を接続可能なはずなのです。 しかし、Gossamer Rev.1までは1つのバスに1つのATAPI型の記憶装置しか接続できませんでした。つまり、Gossamer Rev.1では合計2台の記憶装置しか接続できないのです。
それが、Gossamer Rev.2の登場により、ようやく本来の規格通り合計4台のATAPI型の記憶装置を接続できるようになったのです。これはPower Macintoshのコストダウンに大きく貢献しました。SCSI型の記憶装置は高価でコストアップの原因になっていたのですが、IBM-PC/AT互換機で大量に使われている安価なE-IDE型の記憶装置を使えることになったからです。その少し前まではE-IDEは「廉価版のSCSI」などと酷評されていたのですが、ここで採用されているE-IDEの転送速度は13.3MB/sと高速で、SCSI-1(5MB/s)を大きく上回っています。スペック的にはSCSIの方が安定しているのですが、この速度帯ではE-IDEも安定度は問題ありません。それに高価なSCSIコントローラが不要なため、コストパフォーマンスが優れていたのです。今となってはSCSIよりもE-IDEの発展版であるUltra ATA/100などのHDDが主流になり、Ultra Wide SCSIなどは一部のハイエンドにしか生き残れていません。スペックも重要なのですが、最重要なのは価格であるというのが消費者の気持ちだと言うことです。
さて、ではGossamer Rev.1以前のモデルで3台目以降の記憶装置が接続できないかというと、そうではありません。それらはSCSI-1バスに接続すれば良いのです。実際のところ、Gossamer Rev.1のZipドライブ搭載モデルの場合にはE-IDEバスがHDDとCD-ROMに占有されているので、ZipドライブがSCSI接続されているのです。もちろん、ATAPI型ドライブの方がコストが安いので、Gossamer Rev.2以降ではZipドライブはATAPI型に変更されE-IDEバスに接続されています。まとめるならば、Gossamer Rev. 1に内部記憶装置を増設する場合にはSCSI型を使用する必要がありますが、Gossamer Rev. 2以降にはSCSI型とATAPI型(E-IDE)の両方が使えるのです。
難し過ぎましたか?簡単にまとめておきます。
Gossamer Rev.1 | Gossamer Rev.2 | Gossamer Rev.3 | |
---|---|---|---|
タイプ | 初期型 | 後期型 | 後期型 |
ROM revision | $77D.40F2 | $77D.45F1 | $77D.45F2 |
E-IDEに接続可能な記憶装置 | 2台 | 4台 | 4台 |
SCSI-1に接続可能な記憶装置 | 7台 | 7台 | 7台 |
HDD(1台目) | E-IDE(ATAPI) | E-IDE(ATAPI) | E-IDE(ATAPI) |
CD-ROMドライブ | E-IDE(ATAPI) | E-IDE(ATAPI) | E-IDE(ATAPI) |
Zipドライブ(内蔵モデル) | SCSI | E-IDE(ATAPI) | E-IDE(ATAPI) |
では、具体的にマザーボード「Gossamer」を見てみましょう。きょう体を開ければすぐに見ることができるのですが、その前にここで概要を見ておいて下さい。わかりやすようにメモリーやパーソナリティ・カード、PCIカード、ケーブルなどは取り外してあります。
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SCSIコネクタとE-IDEコネクタ(2個) | 通常はケーブルが挿さっています |