2026/09/13
CP+ 2026 雑感(その6) CP+2024での宿題の解答(番外編: フォーカルプレーンシャッター)
- さて、次にグローバルシャッターについて書きたいのだが、ちょっと寄り道してフォーカルプレーンシャッターについて書いておきたい。シャッターの理解なしにはグローバルシャッターは理解できないと思うからだ。急がば回れである。
- フォーカルプレーンシャッターはフィルムカメラの頃から一眼レフに使われてきたメカシャッターの一種だ。一種というのはメカシャッターにはレンズシャッター(リーフシャッター)もあるからだ。要はメカニカルに光を遮る機構のことであり、それが撮像面の前にあるか、レンズ内にあるかの違いである。
- ちなみに、レンズシャッターは完全に絞り込まれる「絞り」と思えば良い。絞りと兼用の場合もあれば、別物の場合もあるようだ。レンズシャッターはフォーカルプレーンシャッターに比べてスピードが遅く、最高速は1/2,000秒ぐらいだ。絞りと同じなので開放の場合は閉じるのに時間がかかるためシャッタースピードが遅くなり、絞り込めば逆にシャッタースピードを速くできる。このレンズシャッターはレンズ一体型カメラ、つまり、コンパクトカメラに今でも使われているものだ。メリットはストロボに全シャッタースピードで同調することだ。この「ストロボ同調」というのが1つのポイントなので覚えておいてほしい。
- 余談だが、オリンパスのハーフサイズのフィルム一眼レフカメラであるPEN-Fシリーズにはロータリーシャッターという半円形の回転するシャッターが搭載されており、同じくストロボに全シャッタースピードで同調したのだ。まあ、最高速が1/500秒で、今となっては超低速ではある。しかし、1/500秒までストロボが同調したのは一般的に同調速度が1/125秒だった当時、他にないメリットだったのだ。
- ただ、レンズシャッターはレンズ交換式のカメラには使われない。交換レンズ全てにレンズシャッターを搭載するのは無駄だし、シャッタースピードが1/2,000秒より上げられないからだ。フォーカルプレーンシャッターの最高速は昔は1/2,000秒程度だったのだが、今では1/8,000秒にまで上がっている。それだけメカの精度が上がっているわけだ。ちなみに、これは連写にも耐えるスピードである。シャッターの動作を高速に繰り返す技術力は素晴らしい。ただ、これ以上の高速化はメカでは難しいところまで来てしまっているわけだ。
- さて、フォーカルプレーンとは焦点面という意味で、レンズの焦点面=撮像面であるフィルムやイメージセンサーを意味する。その直前にあるからフォーカルプレーンシャッターと呼ばれるわけだ。そのフォーカルプレーンシャッターは昔は横走りだったが今では縦走りになっている。「縦走り」とはシャッターがイメージセンサーの短辺の上から下に降りてくることによる呼び名である。動作範囲が横走りよりも短いので高速シャッターが実現できるのだ。昔はフィルム、今はイメージセンサーだが、その前を覆っていてシャッターを押すと上から落ちることでフィルムを感光させ、または、イメージセンサーを露光するわけだ。
- シャッター機構がどうなっているかというと、まず、フィルムカメラの場合、フィルムを巻き上げるとシャッターがチャージされる。チャージとはシャッター幕が引き上げられてフィルム面を覆って撮影準備をすることだ。デジタルカメラの場合にはフィルムの巻き上げレバーはないのだが、撮影後に自動的にチャージされる。そして、シャッターが切られるとシャッター幕が降りて露光が始まり、まず、先幕が降りてくる。そして、後幕が降りるのだ。なぜ、シャッター幕が2枚あるかというと、後幕は撮影後の遮光を担うわけだ。ちなみに幕とはいっても今では金属の薄いプレートだ。昔は布だったのだが、シャッタースピードの高速化に伴ってチタンなどの軽くて丈夫な金属に変わっているのだ。

- もう少し説明すると、先幕が降り始めてから後幕が降り切るまでがシャッタースピードである。シャッタースピードが遅い場合は先幕が降りてイメージセンサー全体が露光されてから後幕が降りてくるのだが、シャッタースピードが速くなってくるとそれでは間に合わず、先幕が降りている途中で後幕が降り始めるようになる。この先幕と後幕の間の隙間をスリットと呼ぶのだが、シャッタースピードが速くなるにつれてスリットの幅が小さくなってくるのだ。このフォーカルプレーンシャッターの動きを理解することが重要である。ちなみに、「先幕が降りてイメージセンサー全体が露光されて後幕が降りてくる」状態のことを「スリットが全開になる」と言う。このスリットが全開になる限界のシャッタースピードはカメラによって異なるが、カメラのスペックのストロボ同調速度を見ればわかる。これはフラッシュ同調速度、とか、フラッシュシンクロスピード、などとも呼ばれるものだ。このストロボ同調速度はプロ機などを除くと1/250秒ぐらいである。

- つまり、1/250秒より遅いシャッタースピードであればフォーカルプレーンシャッターのスリットが全開になるが、それを超えるとスリットがイメージセンサーを上から下へと動きながら露光することになる。ストロボ(フラッシュ)の発光時間は閃光と言われるとおり一瞬である。時間にすると数千分の1秒とか、数万分の1秒である。そうすると、ストロボ同調速度より速いシャッタースピードの場合、スリットが空いている部分しかフラッシュの光が当たらないことになる。結果として写真に黒い帯状の露光されない部分が生まれる。そして、シャッタースピードが速くなればなるほど黒い部分が増えるのだ。これがストロボ同調の失敗写真である。

- 余談だが、写真が黒くならずに高速のシャッタースピードでもちゃんと写せるスーパーFP発光機能(ハイスピードシンクロ機能)を持つストロボがある。これはストロボが続けて何度も発光することで撮像面全てを露光するというものだ。ストロボ全速同調と銘打っているストロボにはこの機能がついている。もちろん、ストロボの制御はカメラ側で行うので、カメラにもスーパーFP発光の制御機能が搭載されている必要があるわけだ。
- さて、フィルムの場合はこういう説明で良いのだが、イメージセンサーの場合は追加の説明が必要になる。それは次の電子シャッターで説明しようと思う。