World PC Expo 2000 Report(その1)

Last Updated 2000/10/25

このページには World PC Expo 2000 についての個人的なレポートを掲載しています。
この情報はあくまでも私個人の感じたレポートです。私は Macintosh と Windows PC の両刀使いではありますが、基本的には「Mac 使い」なので細かなところでは理解不足の点があるかと思います。以下の内容を無条件で信用しないで下さい。みなさん個人の価値観で判断して下さい。

目次


概要

 World PC Expo は今年で6回目です。私が行くのは今回で3回目になります。今年は2000年10月17日から10月21日まで東京ビッグサイトで開催されました。(昨年は1999年9月7日から9月11日まで幕張メッセで開催されました。)
 今年はWindows World Expo Tokyo '2000から少し時間をおいての開催だからか出展社にも活気があり、新しいネタもたくさんありました。
昨年のレポートで「もう少し時期をずらせば面白くなる」と書きましたが、主催社の日経BP社も気づいて改善したということでしょう。

会場を東京ビッグサイトに変更

 会場が昨年までの幕張メッセから東京ビッグサイトに変更になりました。地理的には大いに都心に近づいたので私の交通費は半額ぐらいになったはずです。ただ、アクセス的にはちょっと厳しかったかもしれません。幕張メッセにはJR京葉線でアクセスできます。しかし、東京ビッグサイトには大きなアクセスルートがありません。「ゆりかもめ」は輸送量がそれほど大きくなく、りんかい線(臨界副都心線)の国際展示場駅とは無料のバスでピストン輸送してくれるぐらいの距離があります。浜松町までなら水上バスというルートもありますが、同じ浜松町までなら都営バスが便利です。
 いや、何が便利という話ではなく、来場者を十分にさばけるメインのルートがないということが書きたかったのです。せっかく都心に近い会場に変更したのですから、来場者への便宜ももう一工夫欲しいところです。例えば、有料で構わないので都営バスを貸し切っていろいろなルートに増便するとかしてほしいですね。競争相手の晴海の国際展示場は送迎用の都営バスを増便していたと思います。東京都も儲かるから喜ぶと思うのですが……

 さて、会場は昨年までの幕張メッセに比べて分散しています。面積的には大きいのかもしれませんが、東展示場と西展示場や会議棟とはかなり離れており移動が大変です。この間の移動ルートは非常に広いのですが、来場者の登録用の机がたくさん並べられておりその広さが殺されてしまっていました。また、今回は東展示場に多くの出展社を詰め込んだため会場内での身動きが大変でした。アクセスルートの入場登録机を別の場所に移して移動路を広くとるとか、東展示場、西展示場、会議棟の出展の割り振りを工夫して会場内の通路を広くするとかの工夫が欲しいところです。
 まあ、今回は日程と会場が改善されました。こういう改善は一気にはできないものです。来年に期待しましょう。主催社も頑張っているのですから。

人に環境にやさしい展示会

 主催社の日経BPはこのスローガンを掲げていました。点字ガイドを配付したりサポート要因を配置したりしていました。また、ゴミも分別収集し、会場内は禁煙でした。今後の展示会はこういう風になっていくでしょうね。特にコンピュータにはサポートツールという側面もあります。車椅子で来場する方や目の不自由な方への配慮は当然だと思います。ただ、会場内の通路が狭く、来場者もあふれていましたので移動は楽ではなかったと思います。次回にはレイアウトにも余裕をもって通路幅を広くして欲しいですね。また、出展社のブース内にも配慮が必要になってくるでしょう。


展示会場について

 今回は最終日のみの来場だったので、じっくり展示を見ている時間がありませんでした。私は2つのスペシャルセッションの聴講を第一にし、残った時間でアップルのブースとPalm関連のブースを中心に見て回りました。ですから非常に片寄ったレポートになります。ご了承下さい。

HotSyncステーション

 さて、会場の入り口にはPalmにWorld PC Expoの出展社情報やフォーラム情報がダウンロードできるサービスが行われていました。これは良い試みで、他の展示会でもぜひ行って欲しいものです。各ホールの入り口毎に「HotSyncステーション」が設置されており、そこのクレードルにPalmを置くと1分ほどでデータがダウンロードできるのです。
 もちろん、Palmだけではなく互換機用のクレードルも用意されていました。じっくり見ていないので他にもあったかもしれませんが、Palm Vx、Palm IIIc、WorkPad、WorkPad c3、TRG pro、Visor、CLIEなどのクレードルが用意されていました。そこでどの機種でダウンロードされたかを調査をしていましたが、残念ながら、それほど多い数ではありませんでした。「今日は土曜日なのでこれでも多い方ですよ。昨日まではほとんど気づいてももらえませんでした。PRしようと思っても、Palmを持たない方から『何ですか、これ?』と聞かれてもクレードルしかないので説明できずに困りました。(笑)」との事でした。Palmが日本で市民権を得るにはもう少し時間がかかりそうです。
 今回のダウンロードデータは以下の通りです。

 できれば来年は会場マップも欲しいところです。有名な「こさぴーの秋葉マップX for Palm OS / WPJ」のようなマップと情報の融合したようなデータなら使い勝手が良いと思います。バージョンアップを期待したいと思います。

全体的な印象

 今年のWorld PC Expoは非常に活気があったと思います。私は今年のWindows World Expoに行っていませんのでわかりませんが、先月にWindows Meが登場したこともあり、各社からパソコンの新製品が発表されていました。詳しく見ている時間はなかったのですが、その中でもSOTECが非常に目立っていました。iMacの猿マネをしてたたかれたSOTECもひと皮むけたようで斬新なAVパソコンのAFINAなどを発表していました。じっくり見て回れば低消費電流のCrusoeを搭載したノートパソコンも見ることができたはずです。

 また、デジタルカメラも相変わらず勢いがあり、各社新製品を投入していたようです。私はオリンパスの1眼レフ型のCAMEDIA E-10に興味をひかれました。400万画素なのですが、198,000円では高くて手が出ないですね。(笑)
 マイクロソフトは意外に地味でした。どうしたのでしょう。Windows Meをもっと全面に出してくるかと思いきや意外にもWindows 2000を押していたようです。また、ちゃんとアップルブースの横に小さな別ブースを用意してOffice:mac 2001もPRしていました。
 アップルは大きなブースを出していました。本来は「パーソナルパーク」にあるべきなのですが、入り切らなかったのでしょう、1社だけ場違いな「ビジネスパーク」の中央に居座っていました。(笑)

過去最大のブースで登場したアップル

 今年が3年目のアップルは過去最大のブースで会場のど真ん中に出展していました。昨年も書きましたが、このWorld PC Expoは2月のMac World Expo Tokyoからちょうど半年後の大イベントでMac World Expo NYやSeybold Seminarsで発表された新製品の日本上陸にピッタリなのです。
 ただ、昨年と違い、今年は他のパソコンメーカも頑張っていましたのでアップルの独り舞台とはなりませんでしたが、目立っていたのは確かです。New iBook、Power Macintosh G4 Cube、Mac OS X、QuickTime 5、iMovie2、……ブースの周囲は人であふれていました。


基調講演(パソコン+インターネットで拓くデジタル新世紀)
(2000年10月17日 14:00〜15:30 会議棟7Fの国際会議場)

 初日に開催された基調講演ですが、私は先に書いた通り参加していません。昨年までは無料で参加できた名物講演だったのですが、今年から事前登録2,000円、当日3,000円と有料になりました。大手パソコン関連企業のパソコン事業のトップの座談会は本当に見物です。私は仕事の関係で参加できませんでしたが、有料でも見る価値はあるでしょう。ただ、こういうイベントは無料でやるべきです。出席者も宣伝半分で出席しているわけですから謝礼の心配など無いはずです。必要経費といえば会場費ぐらいのもので、それはどんな講演でも必要なのです。事実、他の基調講演は全て無料でした。参加者が多いからと有料にして儲けようとしたのでしょうか。この不景気で主催社のふところも厳しいのでしょう。寂しいですね。さて、有料化されたこの基調講演は大入り満員だったのでしょうか。
 昨年はアップル、NEC、東芝、富士通、マイクロソフトの5社が参加し、私はなぜソニーが参加しないのかと
書きましたが、パンフレットによると今年は昨年の5社に加えてソニーとIBMが参加していました。あとはSOTECが参加すれば完璧というところでしょうか。ただ、SOTECの社長は失言が多いのでご遠慮いただいたのかもしれません。(笑)


スペシャルセッション(インターネット時代の戦略)-Palm Computing-(無料)
(2000年10月21日 11:00〜12:00 会議棟7Fの国際会議場)

 私はこの国際会議場には始めて入ったのですが、設備が素晴らしいと思いました。椅子は映画館のようだし、同時通訳レシーバも埋め込まれています。さらに、アームレストには折り畳み式の広い簡易テーブルも装備されているのでメモもとりやすいのです。さすがに新しいコンベンションセンターだけあって新型設備が導入されているというわけです。ただ、収容人員はやや少なそうで1,000人ぐらいでしょうか。基調講演が有料化されたのは参加者が多すぎて収容できないことを恐れた配慮かもしれません。まあ、普通はわざわざ参加者を少なくするようなことはしないはずなので、私の考え過ぎでしょうね。

 さて、このスペシャルセッションはPalm Inc.の最高マーケティング責任者であるサジブ・チャヒル氏の講演でした。オールド・アップルファンには懐かしいあのターバン姿にお目にかかれたわけです。そう、確か彼はMr. Steve Jobs復帰前のアップルのマーケティング担当の副社長だった人です。Mr. Jobsにアップルを追われたのですが、彼はPalm Inc.にいたのです。全く知りませんでした。この業界は狭いものですね。
 さて、内容ですが、残念ながら当時通訳レシーバの音量が小さすぎて良く聞き取れませんでした。事務局は何をやっていたのでしょうか。こういう初歩的なミスは情けない限りです。当時通訳マイクのボリュームが絞られていたのか、何か単純なミスだったと思います。ただ、誰もクレームをつけなかったので一部の席だけに起こったトラブルだったのかもしれません。とういうわけで今回のレポートは私のプアな英語のヒアリングとプレゼン資料、小さな小さな同時通訳音声によるものなので精度が低いと思います。ご了承下さい。

 講演はPalmの業績の報告から始まりました。Palm Computing Handheld(以降はPalmと省略)の2000年7〜8月の販売台数は全PDAの90%以上を占め、デベロッパやユーザは増加を続け、Palmの販売台数は累計で700万台を突破したそうです。ただ、この販売台数はあとで上方修正されます。それほど爆発的に売れ続けているというわけです。このあたりの公式発表は省略します。良く聞き取れなかったので誤った情報を載せても問題だからです。

 ただ、1つ書いておかなければならないことがあります。「Palmの成功はパートナーシップのおかげ」というコメントです。Palm Inc.はアップルと同様にOSと機器の両方を提供する企業です。Palm OSとPalm Computing Handheldです。ただ、Palm Inc.はそれをライセンスしています。例えば、日本IBMのWorkPadシリーズは最初に投入された日本語モデルでしたし、最近ではTRG pro、Visor、ソニーのCLIEなどが販売されています。Palmはそれらのライセンス製品と競合しながらうまく成長しているわけです。アップルがMac OSのライセンスを停止しMac OS互換機を閉め出したのと対照的なPalm Inc.の戦略は今後の展開も含めて非常に興味があります。

 もちろん、この「パートナーシップ」はライセンス企業だけを指しているのではありません。ユーザとしての企業も含まれているのです。Palmは進歩的な個人ユーザだけのものではないのです。Fortun500企業のうち120社以上がPalmを標準にしていて、例えば、モトローラもその1社だそうです。
 また、教育市場にもかなり利用されているそうです。さらに、個人ユーザのすそ野を広げようとしているのは安価でスタイリッシュなHandheld m100の投入で実現されつつあるそうです。

 Palmのシェアについて再び説明がされました。

 さて、ようやく、モバイルインターネットの話になります。私はこれが聞きたかったのです。しかし、このスペシャルセッションでは、日本でのPalmのシェアがまだ低いためかPalm Inc.の事業紹介やPalmの優位性のPRで多くの時間が使われてしまいました。
 チャヒル氏はパソコンの成長は横ばいだが、携帯電話は伸び続けていることを指摘し、インターネットへのモバイルデバイスからの接続は伸びると説明していました。ただ、携帯電話の画面は小さく、Palmの大きな画面が必要であるとアピールしていました。そして、日本のモバイルマーケットをとても評価しており、NTTドコモのiモードはかなり強力であることを認めていました。アメリカではPalm VIIxが$449で販売されており、アンテナをたてるだけで簡単にインターネットに接続でき、その接続先のPalm.netは$10〜$45で利用できるそうです。

 Palm Inc.では情報をインターネットからワイヤレスで取り込むことを「ウェブ・クリッピング」と呼んでいて2001年には日本でも同じサービスを提供するそうです。事実、パームコンピューティングはNTTドコモと提携して無線通信機能内蔵の日本向けPalmを開発しているようです。
 さて、どのようなコンテンツが利用できるのかが興味あるところですが、まず、アメリカでのコンテンツが紹介されました。

 では、日本ではどのようなコンテンツが提供されるかというと……  最後にPalmはいろいろな有名人にも愛用されているという紹介があり、いかにもアメリカの似顔絵だなあという誰だかわからないイラストが紹介されていました。クラウディア・シファーも愛用者でカスタムモデルを作ったそうです。そういえば青いPalm Vxがありましたっけ。
Expo Report][(その2)][(その3)
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そんなにたいしたページではありませんが…(^^;)

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