Macworld/Tokyo 2001 Report (1)
最終更新 2001/05/07
このページにはMacworld Conference & Expo/Tokyo 2001についての個人的なレポートを掲載しています。
この情報はあくまでも私個人の感じたレポートです。これが絶対正しいとは限りません。みなさん個人の価値観で判断して下さい。特に極秘情報などは書きません。(知りません。(^^;))公開された情報だけです。
また、ほめたり、苦言を呈したりしていますが、何ら利害関係はありません。ただ、少しでも良くなって欲しいと期待しているだけです。
目次
概要
- Macworld Conference & Expo/Tokyo 2001は今年も2001年2月22日から2月24日まで幕張メッセで開催されました。MacintoshやMac OSを中心にした関連企業、団体、ユーザ達が集まるお祭りです。通常のパソコン関連の展示会と同じく各種展示やステージ・コンファレンスなどがありますが、ちょっとした違いがあります。例えば、来場者の服装です。スーツ姿の人が極端に少ないのです。別に企業からの来場者がいないわけではないのですが、私も含めて会社員が私服で来場する展示会なのです。これはMacintoshやMac OSがビジネス・マーケットで弱いということも原因ではあるのですが、先に書いた通り「お祭り」であることが最大の原因であると思われます。Macファンの集いに関連企業が参加しているというようなイメージが正しいと思います。
- 余談ですが、今年から名称に「Conference」が加えられています。今までもコンファレンスは行われていたのですが、さらに強調しているようです。コンファレンスへの集客も意図しているのでしょうか。私は有料のコンファレンスには一度も参加していないのでわからないのですが、参加者が減ってきているのかもしれません。
- また、今年は景気が悪いことが影響しているのか、配り物が少なかったです。せっかくのお祭りだったのでちょっと残念です。今まではファイルメーカー(旧クラリス)がキャンディーを山盛りにして取り放題にしてくれていましたし、ステージ参加者へのノベルティー(配り物)も結構良いものだったのです。経費削減もわかるのですが、高々10万円〜30万円ぐらいをケチケチするより、大盤振る舞いしてユーザに感謝の意をあらわした方が好感を得られたと思います。そういう無駄のようなことが新たなユーザを生み出していくのだと思うのですが……
- さて、私は今回で7回目の参加になります。昨年に続き、会社を休んで3日間の楽しいExpoを堪能させてもらいました。
出展社数について
- 今回はパソコン・マーケットそのものが低調で、アップル自身も売上を減らしている状況の中での開催になりました。予想通り、出展社数は大きく減っています。展示スペースは昨年と同じく3ホールだったので、かなりゆったりしていました。通路が広くレイアウトされているので歩きやすかったです。それゆえ、来場者が少ないと「寂しく」感じてしまいました。
- そして、昨年同様にキーとなる企業が出展していません。例えば、デジタルカメラの富士写真フィルム、オリンパス光学工業、ソニー、ニコン、カシオは参加していません。プリンタ・スキャナのキヤノン販売も不参加です。デジカムのソニー、松下電器、シャープなども不参加です。アクセラレータのNuwer Technologyやインタウェアは倒産してしまいました。アクセラレータのメルコ(BUFFALO)は不参加でした。モニタのナナオや三菱電機、TOTOKU、飯山電機、ソニー、Macintosh情報誌のMacWire(ソフトバンク)も不参加です。日経BPはMacintosh情報誌から撤退してしまいました。ショップでは秋葉館やSofmapが不参加です。そういうわけで昨年以上に寂しくなってしまいました。
- もちろん、復帰してくれた企業もあります。QuarkXPressやMAYAを提供するソフトウェア・トゥー、パソコン通信(今ではインターネットプロバイダ)のニフティ、プリンタのHP(ヒューレット・パッカード)、フォントのモリサワ、などが復帰してくれました。また、新たにフォントの大日本スクリーンが参加してくれました。
- これをどうとらえるかが問題です。不参加企業側が不況のため出展抑制をし、Macintoshマーケットを重要視しなくなったのでしょうか。あるいは企業業績が不調で出展したくてもできないのでしょうか。それとも展示会の効果そのものに疑問を感じてMacworldだけでなく、多くの展示会から手を引いてしまっているのでしょうか。 ちょっと厳しすぎる書き方かもしれません。日本では同じような展示会が多く出展パワーが分散されて来ました。出展各社がそれを見直しているきているというのが正しい状況判断かもしれません。実際のところ、Windows World Expoも最近は低調です。逆にWorld PC Expoはだんだん盛況になってきています。出展各社のベクトルはWorld PC Expoに集中しているのかもしれません。
- アップルもMacworld Tokyoの見直しをかけるべきかもしれません。アップル単独の新製品発表会にして、World PC ExpoにMacintoshコミュニティのウェイトを移すのはどうでしょう。Macworld San Franciscoの6週間後にMacworld Tokyoを行うのではインパクトに欠けるのです。World PC Expoを乗っ取るぐらいの動きをしても良いのではないでしょうか。まあ、その場合にはMacworld New Yorkと日程が近いという問題も起るのですが、来場者には便利でしょう。Macintoshコミュニティはアップルや大手ソフトハウスだけで成り立つものではありません。World PC & Macworld Expo Japanとすれば面白くなりそうです。ただ、主催社が異なるので調整が必要ですが、共催などにすれば何とかなるのではと思います。
- 昨年のレポートにはもう少し詳しく書きましたから興味のある方はご覧下さい。
入場者数について
日・曜日 |
天気 |
入場者数 |
2月22日(木) |
晴 |
52,313名 |
2月23日(金) |
晴 |
52,972名 |
2月24日(土) |
雨 |
59,370名 |
リピータ |
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16,155名 |
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合計入場者数 |
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180,810名 |
- 正直なところ、この発表には驚きました。こんなに入場していたなんて。1999年(175,797名、平均58,599名/日)と2000年(182,688名、平均45,672名/日)のデータと比べてみると興味深いです。今年は180,810名、平均60,270名/日になります。
- 主催社が水増ししたのでしょうか。実際のところ、この来場者数のカウントは人間が行っています。そして、ホールへの出入りでカウントしているわけです。私のように朝一番で入場し、昼食時に出て再入場し、国際会議場のアドビ・スペシャルセッションに参加するために出て再入場すれば3名とカウントされるでしょう。私以上に出入りしている人もいるでしょうし、1日中ホールの中にいる人もいるでしょう。ですから、主催社は延べカウント数にある係数をかけて入場者数としているはずです。その係数が0.5なのか、0.7なのかはわかりませんが……。
- さらに私は3日間全て入場しているわけですからリピータでもあります。ただ、このリピータでも2日間来た人もいるでしょう。このあたりの算出も難しいのです。そして、毎年同じ担当者がカウントしているわけではないでしょうから数える精度にバラツキもあるでしょう。何が書きたいかと言うと、主催社発表の来場者数はそれほど精度が高くないので気にする必要はないということです。
- ただ、矛盾するようですが、来場者数は重要です。出展社にとっては効果のバロメータの1つだからです。私は昨年のレポートで「来場者数の発表が控えめ過ぎる」と指摘し、「3日間に会期が短縮されそうで恐い」と書きましたが、その通りになりました。来場者数だけが原因ではないでしょうが、いかに来場者数が重要かがわかります。
- 今さらですが、昨年の入場者数は大きく過っていたようです。私の感覚では1999年を180,000人とすれば、2000年は200,000人、今年は150,000人ぐらいと思われます。来年のMacworld Tokyoで来場者が大幅に増えないとMacworld Tokyoそのものが消滅してしまいそうです。主催社のそういう危機感のあふれた来場者数発表だと私は解釈しました。
ダフ屋について
- これはモラルの問題です。こういう事をしつこく書き続けることは意味があることなのですが、ページの無駄ですので今年は割愛します。良識ある方は昨年のレポートをご覧下さい。
ダフ屋撲滅の提案
- 同じく割愛します。興味のある方は昨年のレポートをご覧下さい。
- 少し、追加するなら、今年は会場の出口に入場パスの回収箱が用意されていました。それほど多くのパスが回収されているようには見えませんでしたが、出展社もいろいろ努力しているようです。
私の Expo のまわり方(昨年のレポートをベースに改訂)
- 私は Mac World Expo に限らず、展示会に行くときは、できる限り各社のステージやワークショップを見て回ります。各社が工夫を凝らして作ったステージを無料で見れるのです。プレゼントまでもらえたり、当たったりします。これを見逃す手はありません。
- ステージは各社がお客様に最も知って欲しいことを中心に20分程度にまとめられています。かなりのお金もかかっています。ここで概要をつかんでから各社のブースを見るとよくわかるし、質問もしやすいです。
- ステージは座って見るべきです。座らないとプレゼントが当たらないこともありますし、立ち見は疲れます。各ステージのスケジュールボードがあるので時間をチェックして計画的に座って見ましょう。最初からちゃんと見れるから良いですよ。
- このスケジュールボードがないブースもたまにあります。次回の開催時間しか表示されていないと計画的にまわれません。他にも見たいステージはたくさんあるのです。中にはステージスケジュールを印刷して配布してくれているブースもあります。こういう配慮はうれしいものです。
- 初日に Expo に行けるのなら、基調講演は必ず聞くべきです。ここに、 Expo の全てのエッセンスが詰まっています。何がメインか?、何がテーマか?、何を見て欲しいか?、など、主催者とアップルのメッセージが凝縮されているのです。しかも、無料!です。そして、必ずと言って良いほど時間オーバーするぐらい盛りだくさんです。こんなお得なものはないです。
- 昔は私もカタログ集めや粗品集めにまわったこともありましたが、今では情報収集にはこの方法が一番だと思っています。集めたカタログって実はあまり読まなかったりするんですよね。
- できれば会社や学校を休んで行きたいものです。最終日の土曜日は大変混雑します。私は仕事をやりくりして休みました。あらかじめ職場で「ああ、Macworld Tokyo なら仕方ないな。年に一度のお祭りだから。」と思い込ますことができれば休みやすいです。
- 1999年のExpoパンフレットには「MACWORLD Expo/Tokyo '99 を120%を楽しむためのTips 8.5」という面白いコラムがあり、同様の事が詳しく書かれていました。タイトルだけでも紹介しましょう。
- 会場内は順番に回る
- 各ブースは隅々までじっくり見よう
- デモンストレーションは必見!
- ブースのスタッフにいろいろ聞こう
- ショップブースもじっくり見よう
- もらえるものはもうらおう
- コンファレンス・ワークショップも見逃すな!
- MacファンならMac Fan Nightも必参加
- Expoは3日間参加する(番号は9ではなく、8.5でした)
- 1つ追加しましょう。「インターネットの情報に注目すべし」です。各種ホームページではMacworld情報が公開されています。そのメインどころの情報をチェックすると良いことがあります。例えば、MacWireをチェックした私は、サンワサプライのブースを朝一番に訪れてADBマウスをゲットできました。プロが流してくれる情報は収集して損はないのです。
入場証について
- 昨年のレポートをそのまま掲載してもつまらないので今年は割愛します。興味のある方は昨年のレポートをご覧下さい。
- 少し、追加するなら、今年はインターネットで入場チケットを購入した人には抽選会に参加できるなどのインセンティブ(見返り)が用意されていました。出展社もいろいろ努力しているようです。
基調講演(2001年2月22日 10:00〜11:30 イベントホール)
入場まで
- 昨年は開始2時間前に並んだのですが、それほど慌てなくても大丈夫だとわかったので50分前に並びました。予想通り、昨年よりはるか後ろに並ぶことになってしまい、ほとんど海浜幕張駅のそばになってしまいました。今年は駅前に案内係がいませんでしたのでイベントホールまで行ってから戻ってきて並ぶ人がたくさんいました。今年は暖かく4月中旬の陽気だったので良かったのですが、案内係はきちんと仕事をしてもらいたいものです。トラメガを持っているのにほとんど使わずに他の係員と話し込んでいるのですから。まあ、ただの学生アルバイトなのでしょうが、頼りないですね。自分で考えて行動できない若者の典型です。(こういうことを書いている私もおじさんになったということでしょう。笑)
- ただ、今年は主催者もうまくなっており、事前登録者の列と当日参加者の列は分けられていました。入場もスムーズで1階のアリーナ席にも入れてくれました。ただ、私はパイプ椅子よりクッションの入った観客席で観たかったので2階席の後方に陣取りました。50分前に並んでも余裕で正面の場所をキープできるのですから皆さんのんびり来れば良いのに……。朝の7:00ぐらいから並んだ人もいるようですから。確かにMr. Jobsの表情を肉眼で確認するにはそれぐらいの努力は必要なのでしょう。ただ、実際には列の後ろの方でも会場には余裕で入れたようです。会場内は昨年よりもかなり混んでおり、4階席までほぼ満席でした。昨年は同時通訳レシーバが6500個しか用意されていなかったのですが、今年は皆さん持っていましたのでさらにたくさん用意してくれたのでしょう。主催者の準備の良さが光りました。
講演について
- 昨年は大きく異なったのですが、今年は2001年1月のSan Francisco Expoとほぼ同じ内容でした。まあ、毎年東京で新製品が発売される事を期待する方がおかしいのですが、個人的にはPowerBook G4は東京で発表されるべき製品だったはずだと思っています。アップルの業績が良くなかったため、あえてSan Franciscoで前倒しで発表されたのでしょう。発表でもソニーのVAIO 505と比較していましたが、あれは東京でこそ生きる内容だったはずです。その後の製品の出荷のもたつきからしても、急きょ発表を前倒ししたのが想像できます。ただ、残念ながらアップルの株価は上がりませんでした。株価マーケットは3月に発売されるMac OS Xの反響を待っているわけです。アップルの思惑は外れてしまいました。
- Macintosh情報誌やWebzineなどに基調講演の内容が詳しく掲載されるようになってきました。San Francisco Expoの基調講演を全文掲載したものもあります。ですから、今年から詳細なレポートはやめようと思います。やはり、プロにはかなわないからです。ここでは私なりに感じたことをまとめてみようと思います。
Macworld Tokyoでの追加発表内容
- Mac OS Xの日本語フォントは17,500文字が用意され、改良されたフォント設定にあるスライダーでスケーラブルに変更可能になっています。この日本語フォントについては後ほどふれます。私も昨年のExpo以来かなり勉強し、まとめているのですが、奥が深く、各社の思惑が入り交じっており興味深いところです。別にまとめたレポートもそろそろ公開しようかと思っています。
- nVIDIA(エヌビディア)社の新しいグラフィックプロセッサGeFORCE 3が世界に先駆けて発表され、まずMacintoshに搭載されることが明らかにされました。15年前にレンダリングに72時間かかった作品をリアルタイムでレンダリング可能な性能には驚かされます。単体でもアップルストアで68,000円で発売されるそうです。
- New iMacが発表されました。DVD-ROMドライブに代えてCD-RWドライブが搭載されました。当然ながらiTunesやDisc Burnerも使えます。アップルはCD-ROMドライブの次はDVD-ROMドライブの時代になると読んで製品を投入してきましたが、マーケット動向を踏まえて方向転換したのです。ただ、Comboドライブは搭載されていません。ComboドライブとはCD-RWドライブとDVD-ROMドライブを1台に兼ねたものなのですが、コストが高いのでしょうか。また、アップルはDVD-ROMドライブに見切りをつけてしまったわけではないようです。DVD-ROM搭載の旧モデルも継続して販売されるそうです。
- New iMacには3モデルあります。400MHzのPowerPC G3を搭載した初級モデルは64MBメモリ・10GBのHDDドライブ・CD-ROMドライブを搭載し108,000円、500MHzのPowerPC G3を搭載した中級モデルは64MBメモリ・20GBのHDDドライブ・CD-RWドライブを搭載し138,000円、600MHzのPowerPC G3を搭載した上級モデルは128MBメモリ・30GBのHDDドライブ・CD-RWドライブを搭載し158,000円だそうです。
- ただ、iMacの新色には大きな問題があります。IndigoカラーとGraphiteカラーは残ったのですが、他のカラフルな色は姿を消しました。代りにFlower Power、Blue Dalmatianという2色が追加されたのですが、何という悪趣味でしょう。信じられません。花柄のiMacや青地に白斑のiMacは日本で売れるとは思えません。アップルは何を考えているのでしょう。アメリカでは売れるのかもしれませんが……
Mac OS Xについて
- 既にSan Franciscoの基調講演を観た後なので大きなインパクトはないと思ったのですが、直接観ることは大切です。イメージが明確に固まりましたし、新しい発見も多かったのです。それらを書き連ねていきましょう。
- まず、Mac OS Xにふれましょう。Mac OS Xは3月24日に世界同時にリリースされ、共通の1枚のCD-ROMで提供されるそうです。Mac OS 9から既に世界共通パッケージになっていますが、こういう動きは歓迎すべきでしょう。英語環境が好きな人が新たに英語版を購入する必要もなく、海外居住者が苦労してJapanese Language Kitを購入する必要もなくなるからです。アップルとしても製品数を削減でき、在庫や管理費用を削減できるのでメリットがあるので皆ハッピーというわけです。
- New FinderはMac OS X Public Betaへの多くのフィードバックにより大幅に改善されています。アップルはユーザやソフトハウスの意見に耳を傾けだしたようです。これは良い傾向です。かつてのアップルは悪くいえば独善的なところがあったわけですから。
- 私はMac OS X Public Betaを購入しませんでした。これはベータ版にお金を払うことに抵抗があったからです。ただ、後にアップルは正式版購入時にベータ版ユーザにはベータ版の価格分の割引を発表しています。それならそうと早く発表して欲しかったですね。それならMac OS X Public Betaを購入したのにという人も多かったと思います。もちろん、私も購入したでしょう。こういうフィードバックは人まかせにせず、自分で行うべきだからです。他力本願は私の嫌いなことの1つなのです。
- まあ、現実的には私のPower Macintosh G3にはMac OS X Public Betaはインストールできなかったかもしれません。ベージュのG3マシンにはレガシー・インターフェースが残っています。シリアルポート、SCSIポート、ADBポートなどです。それらのうちシリアルポート、SCSIポートはMac OS X Public Betaではサポートされていません。その事実をこのMacworld Tokyoでアップルの説明員から聞いて驚いてしまいました。私はPower Macintosh G3以降ならMac OS Xは動作すると聞いていたので何らチェックをしていなかったからです。私のSCSI接続の640MB MOドライブや、シリアル接続のTAはどうなるのでしょう。困ってしまいました。
- ただ、ヤノ電機のブースで聞いた話ですが、このMacworld Tokyoで出展社にMac OS Xのファイナル・ベータ版に近いものが配付されたらしく、それでチェックした限りではヤノ電機のSCSI接続のドライブもきちんと接続できているそうです。ただ、ドライブアイコンがZIPのアイコンになるそうですが(笑)。アップルの説明員も言っていましたが、周辺機器の接続は時間が解決してくれそうです。各社からドライバが提供されそうですし、Mac OS X自身もマイナーバージョンアップを続けていくそうです。まず、発売することが最優先されており、そのために当面はある程度機能を限定することに妥協しているだけのようです。
- 余談が続きますが、Mac OS XのClassic環境はエミュレーションではなく、ClassicアプリケーションであるSimpleTextからCarbonアプリケーションであるTextEditへドラッグ・アンド・ドロップでテキストをコピーすることなどができるそうです。もちろん、Mac OS XへClassicアプリケーションをインストールすることも可能だそうです。その際にはClassic環境に切り替わり、Classic用のインストーラが正しく動作するそうです。Mac OS Xの成功の鍵はMac OS 9との完全な互換性にあるわけですが、現状でもかなり高い互換性が実現されているようなので安心しました。
- さて、話を戻しましょう。Mac OS X用のアプリケーションは夏頃に揃ってくるそうですが、開発中のMAYAがデモされました。MAYAはAlias wavefront社の3Dグラッフィクス・アニメーションソフトです。私はこういう分野に疎いのですが、ハリウッド映画のCG作成に使われているソフトだそうです。STARWARS EPISODE I、MATRIX、Perfect Storm、などで使われていたと聞くとすごいと思います。もちろん、プラットフォームはMacintoshではなかったでしょう。たぶん、シリコングラフィックス社などのワークステーションなどだったと思います。しかし、Power Mac G4はそれらワークステーションにも匹敵するパワーを手に入れたというわけです。そして、Mac OS XがUNIXベースになったことで移植のチャンスが生まれたのです。今後はUNIXベースのアプリケーションがMac OS Xへ移植されてくるでしょう。
PowerBook G4について
- PowerBook G4については既に2月15日に書きました。まずは、それをベースに書いてみましょう。
- アップルがついに「銀パソ」を発表しました。アップルにすれば「銀パソ」ではなく、チタンカラーパソコンというところでしょうか。個人的にはまずiBookのようなトランスルーセント・デザインにならなかったことに感謝したいですね。やはり、透け透けデザインは好きになれないからです。メガ・ワイドスクリーンとPowerPC G4を採用したことで圧倒的なパフォーマンスを誇るわけですが……。G4対応のアプリケーションがないとG3並みの性能しか出ないのは当然です。PowerPC G4は基本的にPowerPC G3にVelocity Engine (AltiVec)というマルチメディア・エンジンを追加しただけのものだからです。
- アップルはソニーのVAIO 505を強く意識しているようです。それは基調講演でもスペック比較をしていたことからも明らかです。確かにソニーのVAIO 505は銀パソの元祖であり、デファクトスタンダードだったのかもしれません。しかし、今では単なるVAIO Noteの1シリーズに過ぎないのです。「ちょっと違うなあ」というのが第一印象でした。
- ソニーの初代VAIO 505の特筆すべきところは、1世代前の安価なCPUを使うことで価格を安くし、当時のCPUのMHz崇拝に一矢報いたことや、携帯性を重視し、薄さ・軽さを追求すべく不要な機能を大胆に切り捨てたところにあります。つまり、PowerBook G4とは基本コンセプトが全く異なるのです。どうしてVAIO 505と比較したのでしょう。PowerBook G4はサンフランシスコで行わたMacworldで発表されたのです。そこであれだけVAIO 505と比較したということは、もしかするとアメリカでもソニーのVAIO Noteが市民権を得てきているのかもしれません。発表当時は欧米人はあんなノートパソコンは使わないと酷評されたのですが……。キーボードはペラペラだし、バッテリーはスグに空になってしまうし、拡張性も少なかったからです。最新のVAIO 505はかなり進化していて、それらの欠点はかなり解消されていますが、まだアメリカで売れるような仕様ではないと思います。いったいどうなっているのでしょう。
- 私の単なる推測ですが、本来PowerBook G4は東京で発表する予定だったのではないでしょうか。いくらひいき目で見ても、あれは日本仕様のPowerBookです。欧米人のラフな使用に耐えられるとは思いません。サンフランシスコでの発表後、出荷にトラブったのもそれを裏付けているようです。つまり、計画を前倒して発表したため、出荷準備が間に合わなかったというわけです。では、なぜ前倒して発表されたのでしょう。それはアップルの業績発表が悪かったからです。それによりアップルの株価は大きく下落しました。その株価下落に対処し、好材料を提供しようとしたのではないでしょうか。新Power Mac G4の発表だけではインパクトに欠けると判断したのだと思います。
- ただ、残念ながらアップルの株価は回復しませんでした。マーケットもMac OS Xの発売まではアップルに対しては様子見を決め込んでいるようです。まあ、過去のCopland OSの大失敗を知っているわけですから当然のことです。アップルの思惑は見事にはずれてしまったというわけです。
- さて、PowerBook G4に話を戻しましょう。確かに軽くなりましたが、まだ2kgを切れないでいます。IBM-PC/AT互換機のノートパソコンはB5サイズの小型のものでは1.4kgを切っています。2.4kgという重量は重いというしかないでしょう。以前のPowerBookに比べると軽くなったに過ぎません。では、メガ・ワイドスクリーンをやめて小型にすれば、もっと軽くできたのでしょうか。そうではないと思います。あのサイズは表向きはスクリーン・サイズに左右されていると説明されていますが、実際には本体側の制約だと思われます。確かにスロットローディング式のDVD-ROMドライブや、AirPortカード、2.5インチHDD、PCカードスロットなどのスペースだけを考えるだけならもっと小さくできるはずです。しかし、各種ポートの設置スペースや長時間駆動を実現するためのバッテリのスペース、そして、あの薄さを考えると、あれが限界だったのでしょう。薄いということは各ユニットを重ねてレイアウトすることができないということだからです。
- PowerBook G4のキーボードは少々情けない気がします。メガ・ワイドスクリーンのスペースに比べて小さいので左右に余分なスペースがあるからです。キーボードを小さくすることはよくあることですが、大きくすることはないようです。アップルは左右のスペースにスピーカを置くなどの工夫をしていますが、デザイン的に弱いようです。どうせなら独立したテンキー付きのキーボードをパームレスト部分にうまく内蔵して欲しかったと思います。ノートパソコンの弱点の1つがテンキーがないことだからです。アップルならパームレストとテンキーをうまく両立できるようにできると思うのですが……
- 実際にPowerBook G4に触れてみましたが、全くヤワな印象はありませんでした。さすがにチタンボディは強固です。液晶部分もあの薄さで十分な強度を持っていました。ただ、きょう体の底面はかなりの熱を持っていました。やはり、ひざの上では長時間は使えそうもありません。まだまだノートパソコンには課題が多いということでしょう。
- さて、PowerBook G4には400MHzと500MHzの2つがあります。それぞれの298,000円と398,000円という価格はアップルユーザとしてはリーズナブルではあります。しかし、それぞれあと5万円ほど安くするとIBM-PC/AT互換機のNote PCと価格的に競合でき、Windowsユーザの取込みも期待できると思うのですが……。今のアップルの経営状態では難しいでしょう。まあ、あえて安くしなくてもMacintoshユーザは喜んで買ってくれるはずなので、まずは良しとすべきでしょう。会場での反響も十分で、少なくとも日本では大ヒットしそうです。
- PowerBook G4はアップルの主力ノートブックパソコンですから、売れ行きはアップルの業績に大きな影響を与えるのです。大ヒットしてもらわないと困るのですが、逆にアップルが製品を市場に安定供給できるかが気になってしまうほどです。先ほどはPowerBook G4の発表が前倒しされたために供給体制が十分ではなかったのではと書きましたが、最近のアップルの生産体制はDr. AmelioがCEOに就任する前の状況に戻りつつあるのは確かなようです。Power Mac G4 Cubeなど、新製品の生産立ち上げにはトラブルが続出していますし、完成品の在庫は減ったとはいえ適正レベルを上回っています。現CEOのMr. Jobsは確かにカリスマではありますが、実務能力があるかは疑問です。今のアップルがかつてのAmelio体制の貯金を使い果たしてしまったような気がして心配でなりません。
- さて、基調講演に話を戻しましょう。アップルはかなりソニーを意識しているようです。聞いた話ですが、Power Macintoshをデジタルハブにしようというアップルのコンセプトはソニーに大きく影響を受けているようです。確かにソニーは早くからCD-RWなどを使って同様の試みをしていました。TV放送をデジタル録画しようという試みもありました。アップルはこれにDVD-Rという味付けをしたというわけです。
- パソコンではアップルはソニーの先輩ですが、AV機器を自前で揃えられるソニーにはかなわないのでしょう。Mr. Jobsも「アップルは本当にソニーを尊敬しているし、ソニーのようになりたいと思っている」と言っていました。日本での基調講演だったのでリップサービスもあるでしょうが、素直な気持ちだと思います。
- そして、Mr. Jobsは「PowerBook G4はソニーのVAIOを超えた」とも言っていました。まあ、後発ですから超えて当然だと思うのですが、本当に超えたのでしょうか。基本性能はPowerBook G4の方が圧倒的に上回っています。問題は価格ですが、VAIO 505は256,000円、PowerBook G4は298,000です。これでは「超えた」と言えないのですが、Mr. Jobsは「VAIO 505にDVD-ROMドライブと大容量バッテリを追加すると296,100円だから価格差はない」と強調していました。ちょっと反則っぽいですね。先にも書いていますが、そもそも同じカテゴリで比べてはいけない製品なのですから。(笑)
- 最後に一言書き加えましょう。PowerBook G4は拡張性がほとんどありません。例えば、DVD-ROMドライブを取り替えることはできません。最初からアップルストアでCD-RWドライブなどを選ぶこともできないようです。また、2ndバッテリも使えません。今までのPowerBookのような外部拡張ベイがなくなったのは困った問題かもしれません。まあ、あれだけ薄いきょう体にするためには切り捨てなければらないこともあるわけです。
- ただ、IBM-PC/AT互換機のノートパソコンはCD-ROMドライブなどを取り外せるようになっています。そして、ウェイトセーバーなるプラスチックカバーと交換することでさらに軽さを追求できるのです。もちろん、CD-RWドライブやDVD-ROMドライブなどと交換することも可能です。もちろん、PowerBook G3でもMOドライブなど交換用のドライブユニットが使えたのです。これをすっぱりやめてしまったのは驚きです。これは大きなマイナスポイントのはずですが、Macintsh情報誌などではPowerBook G4のこの後退についてはあまり指摘されていません。せめて、アップルストアでCD-RWドライブやComboドライブでも用意されていれば良かったのですが無いようです。超薄型のスロットローディング式の各種ドライブが揃うのを待たなければならないのでしょう。あるいは、FireWire経由で外部接続するようになると割り切っているのでしょうか。
- また、アップルは同じきょう体にPowerPC G3を入れた安いモデルも追加すべきだと思います。PowerPC G4チップよりもPowerPC G3チップの方が価格がかなり安いはずだからです。チップの端子配置もそれほど違わないはずなので、それほど大きな技術的な課題はないはずです。ただ、その場合にはAltiVecがないのでパワーの必要なDVD-ROMドライブではなくCD-RWドライブが搭載されるのかもしれません。
- その時々の最強の仕様を提供するというアップルの選択は正しいと思います。しかし、それではピラミッドの頂点のユーザしか獲得できないのです。iBookで満足できないユーザを獲得するためにも、ピラミッドの中段クラスのユーザ用のNew PowerBook G3を期待したいところです。これも売れると思うのですがいかがでしょう。
[Expo Tokyo Report (その2)]
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