フォーサーズ雑記帳（バックナンバー）

RICOH GX200（その2）

• リコーのデジタルカメラは大きく4つに分けられるが、ヘビーデューティのG600を除くと、RシリーズとGRシリーズとGXシリーズの3つになる。Rシリーズはスタンダードモデルで幅広いユーザ向けのオールインワンモデルだが、GRシリーズとGXシリーズはコアなユーザ向けのRAWでも撮れるマニアックなモデルである。
• GRシリーズはGRデジタルとしてブランドを確立しており、28mmの単焦点レンズを搭載した高い描写性能を誇っている。GXシリーズはそのズームレンズ版と言えるモデルで24mm〜72mmのズームレンズを搭載している。単焦点レンズではないので心配する方もいるかと思うが、3倍ズームに抑えてあるのでなかなかの描写をするのだ。GX100が1000万画素だったのに対し、GX200は1200万画素に上がってしまったのはちょっと残念であるが、良い天気の日にはカチッとしたシャープな写真が撮れる。

• さて、ちょっと脱線するが、銀塩フィルムのコンパクトカメラはレンジファインダカメラだったので、一眼レフカメラと異なり、ファインダで見る画像と撮影された画像には微妙にズレが生じる。これはカメラの構造上仕方のないことではあるが、私がOLYMPUS XA以降コンパクトカメラを使わなかった理由の1つである。ちなみに、使わなかった一番の理由は画角が38mmと私の好きな24mmとギャップがあり過ぎたことである。
• ただ、コンパクトカメラもデジタル化されてこの問題が解決した。背面液晶でライブビュー撮影を行うことで見たとおりに撮影できるようになったのである。ただ、ライブビュー時には手を伸ばすことになり、少し先の小さな画面を覗くようにして撮影することになる。ちょっと手ぶれが心配だが、これが新しいカメラの撮影スタイルとして定着してしまった。デジタル化されたのに新たなカメラの姿が生まれないと言う人がいるのだが、実は新しい姿のカメラは存在しており、コンパクトデジタルカメラが一眼化していたのである。

• 本題に戻ろう。GXシリーズにはもう1つEVFという特長がある。このEVF(電子ビューファインダ)によってコンパクトカメラではあるが、GX100/GX200は完全に一眼カメラになったのだ。つまり、コンパクトカメラと一眼レフカメラの中間型のカメラであるということだ。Panasonic DMC-G1が一眼カメラとして売り出されているが、RICOH Caplio GX100やRICOH GX200の方が元祖なのである。まあ、Panasonic DMC-G1のEVFに比べるとGXのVF-1はかなり見劣りするものの、充分に実用的で私は常用している。

• さて、マイクロフォーサーズが登場したのに何故RICOH GX200を選んだのか。それは、完全なサブカメラとして選んだからである。イメージセンサーサイズが小さいGX200はマイクロフォーサーズに比べて画質は劣り、高感度特性も劣るのだが、小型・軽量で手軽に持ち歩くことができる。ワイコンを合わせて通勤鞄に入れても何の違和感もないのである。
• マイクロフォーサーズの7-14mm+14-45mmで14mm〜90mmをカバーするか、GX200にワイコンDW-6をつけて19mm〜72mmをカバーするかだけを考えて選んだと言っても良いかもしれない。私には手軽に19mm〜72mmをカバーできれば充分だったわけだ。
• もう1つだけ書いておこう。GX200はRAWで撮れる。小さなセンサーであるため高感度特性に厳しいが、RAWで撮れば多少は何とかなるのである。コンパクトデジタルカメラでRAWに対応しているカメラは少ない。さらにRAWでサクサク撮れるカメラはもっと少ないのが実情である。確かにJPEGで撮って出しがほとんどなのだが、RAWという保険の安心感は大きい。

2008/08/15		ランドマークタワー
GX200	Normal	7.3mm(35mm) F5.8	1/540	±0.0EV	ISO64

OLYMPUS E-620（その2）

• さて、今後のE-SYSTEMのラインはアップはどうなるのだろうか。E-420が生産終了になったので、4ラインになるのかと思ったが、オリンパスの渡辺部長のPMAでのインタビューによるとE-x、E-xx、E-6xx、E-5xx、E-4xxの5ラインになるらしい。まあ、E-530やE-630ではなくE-620と名付けたことで、E-430やE-530は何らかの形で登場するとは予想していたが、E-620が発売される前にこうも明言されてしまうと「商売が下手だなあ」と苦笑してしまう。
• ただ、我々ユーザは「苦笑」で済むのだが、オリンパスの営業担当にとっては死活問題だろう。新製品を売ろうと思っているのに買い控えられてしまうようなことをトップが口にするのだからたまらないだろう。同情を禁じ得ない。麻生総理もそうだが、自覚に欠けるトップほどたちの悪いものはない。

• さて、とはいうものの、5ライン構成というのに異論はない。機能で分かれるのではなく、価格帯がそれだけ存在するからだ。ボディを4万円で購入できるエントリー機、6万円で購入できるエントリー機、9万円で購入できる高めのエントリー機、12万円で購入できるミドルエンド機、17万円で購入できるハイエンド機、これぐらいは必要だからだ。まあ、もう1つ、2つ上があっても良いのだが、完全なプロ機であり、オリンパスの規模ではビジネスにはならないだろう。
• このような構成を見事に作り上げたのがニコンである。そして、それによってデジタル一眼レフカメラでトップシェアに躍り出たのである。参考までに少し前のニコンのモデルラインアップをみてみよう。ニコンはDXサイズ(APS-Cサイズ)ではD40、D60、D80、D200、D300、とうまく並べており、エントリーモデルのD40とD60で大きくシェアを稼いだのである。それにならって、キヤノンもエントリー機をEOS Kiss XとEOS Kiss Fの2モデル体制にしたのは記憶に新しい。当然ながら、新モデルへの入れ替えがあり、常時このラインアップがきれいに揃っているわけではないが、前モデルの値段を下げたりしながらうまく対応しているのである。

• 話は戻るが、現状ではE-420ボディ:34,800円、E-520ボディ:51,200円、E-620ボディ:89,800円、E-30ボディ:126,500円、E-3ボディ:152,400円（ビックカメラのネット価格/ポイントバック含まず）となっている。しかし、E-420は完売が時間の問題なので、実質的にE-520が低価格エントリー機になるのである。これでは一番購入されるであろうエントリーモデルが非常に手薄である。同じビックカメラのネット価格でキヤノンのEOS Kiss Fボディが44,800円、ニコンのD40ボディが29,800円、D60ボディが46,400円、ソニーのα200ボディが39,800円、ペンタックスのK-mボディが53,200円となっている状況では価格勝負でペンタックスにしか勝てないのである。
• 先に書いたとおり、「機能で分かれるのではなく、価格帯がそれだけ存在する」のである。それぞれの価格帯に製品を投入できるメーカがシェアを伸ばせるのである。E-420の代わりはマイクロフォーサーズが受け持つという人がいるが、間違っている。パナソニックのDMC-G1は同じくネット価格では56,800円であり、エントリー機の価格からは大きくはずれているからだ。マイクロフォーサーズはデジタルコンパクトカメラとデジタル一眼レフカメラの橋渡しをするカメラのはずなのだが、価格設定が高すぎるのである。まあ、現状アンチ・マイクロフォーサーズの私にはあまり関係ないことではある。
• 4万円で購入できるエントリー機、これこそが、数売れるカメラなのだ。ニコンのD40の衝撃はまさにそれだったのだが、既にそのD40も生産が終わっている。日本メーカの良いところでもあり、悪いところでもあるのだが、付加価値をつけて値段を上げようとする。実質的なエントリー機であるD60は46,400円であり、EOS Kiss Fは44,800円と、5,000円ほど価格が上昇している。景気後退期にこれでは厳しいだろう。
• その中で面白い動きがあった。OLYMPUS Europeが3月31日にE-450を発表したのである。中身はE-420そのものなのだが、画像エンジンだけをTruePic III+にしてアートフィルタを使えるようにしたモデルである。機能的にはほとんど魅力のないカメラではあるが、価格的に魅力があるものと思われる。日本と欧州ではマーケットが全く異なるだろうから簡単に比較はできないものの興味がある動きである。オリンパスのカメラは日本より欧米で売れているというのにはこういう点からも何となく納得できるのである。

• 現状は景気が凍りついているが、夏のボーナス時頃には多少は明るい兆しが見えてくると期待したい。E-420/450後継機が4万円程度、E-520後継機が6万円程度でその頃に登場すればかなりの数が売れるだろう。「後継機」について機能で論じる人がいるが、価格こそが重要で、その価格に収まるだけの機能を盛り込めば良いだけなのだ。
• 付け加えるならば、「小梅」と呼ばれるオリンパスの小型のスタンダードクラスのレンズは評判が良い。デジタル専用設計のこれらのレンズはスタンダードクラスとはいえ、描写が素晴らしいからだ。ZUIKO DIGITAL ED14-42mm F3.5-5.6、ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6、ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6の3本はお薦めのレンズである。非常に小型・軽量なので持って歩くのが苦にならず、1、2段絞ればとてもシャープに写る。オリンパスのE-SYSTEMの最大の強みはこの素晴らしいZUIKO DIGITALレンズである。購入するならダブルズームキットが最高にコストパフォーマンスが良いことを忘れないでほしい。

Photo Imaging Expo 2009 (PIE2009) レポート

OLYMPUS E-620（その1）

• E-30が12月20日に発売されて2ヶ月あまりだというのにE-620が発表されてしまった。オリンパスがマイクロフォーサーズ参入を発表して以来、ちょっとがっかりしていたのだが、何のことはない。なかなか素晴らしいペースのフォーサーズ新製品投入である。毎年春はPMAやPIEというカメラショーが開催されるので、それに合わせた新製品の発表が多いのだが、今年のオリンパスはひと味違うのかもしれない。
• 私のE-620の第一印象は「！」であった。ネットニュースでは「全部入り」と好評価のE-620だが、それは、E-620が、E-3/E-30ゆずりのAFセンサー、E-3/E-30/E-520ゆずりのフリーアングル液晶モニタとボディ内手ぶれ補正、E-30ゆずりのアートフィルターをE-420クラスの小型ボディに全て詰め込んだ戦略モデルだからだ。
• E-620のボディは厳密にはフリーアングル液晶のためにE-420よりは若干大きく、手ぶれ補正ユニットのために重さはE-420ではなく、E-520と同じ475gである。Panasonic DMC-G1の第一印象で述べたとおり、これこそが私の求める小型軽量一眼レフカメラである。先日書いたばかりで恐縮だが、これから購入する人にはPanasonic DMC-G1の代わりにE-620の方を薦めたいと思う。もちろん、サンプル画像などを見た上で結論を出さなければならないので、あくまでも第一印象としてのコメントである。
• ネットでも書かれていることだが、E-30とE-620の住み分けがどうなるかは興味深いところだが、私はE-30のペンタプリズムファインダを高く評価している。E-620の実機を少しさわっただけなのだが、カメラの作りはE-30の方が格段に上だろう。別にE-620の作りが雑だと言うつもりはないのだが、上位モデルのシンボルとも言えるボディ上面のコンパネ液晶やサブダイヤルはE-30にしかない。つまり、格が違うのである。

• これは私の勝手な想像だが、オリンパスの中には複数の一眼レフカメラ開発チームがいるのではないだろうか。開発リソースが足りずにフラッグシップのE-1とエントリーモデルのE-300を同時に開発できなかった頃とは異なり、ペンタプリズムファインダ搭載のE-x/E-xx系を開発するチームとペンタミラーファインダ搭載のE-xxx系を開発するチームがあるようだ。それぞれが競い合って開発しているのではないだろうか。
• カメラ業界はこの数年で大きく様変わりをしている。ミノルタのαシリーズはソニーに移ったし、ペンタックスはHOYAに吸収されてしまった。他にもいろいろあり、カメラのエンジニアの異動もかなりあったと思われる。オリンパスは大規模にカメラ技術者の中間採用を行っていたので、開発リソースが大きく増えていても不思議ではないのである。
• 複数の開発チームがあっても全く違う方向を向いているわけではなく、大きな方向性は合致しているはずである。もちろん、全く好き勝手に進めることも可能だろうが、E-SYSTEMの基盤技術は共通であり、企業としてはベースを共有する方向を選ぶだろう。また、複数のモデルを同時に開発できればリスクの軽減が図れるのだ。結果としてE-30とE-620は似たようなカメラになってしまったが、中身は大きく異なるようだ。
• 共通なベースは12.3M画素のLive MOSセンサーと画像エンジンのTruePic III+だけであり、E-30はE-3の部品を流用した手堅い開発を行ったモデル、E-620は多くの部品を新規開発し、更なる小型化を狙った戦略モデルのようだ。事実、E-30のAFセンサーやシャッターユニット、手ぶれ補正ユニットはE-3のものを流用しているようだが、E-620のAFセンサーやシャッターユニット、手ぶれ補正ユニットは全て新設計らしい。新設計だからあれだけ小型のボディに収まったのだ。フリーアングル液晶すらE-620はハイパークリスタルIIIという新型が使われているのである。これぐらいはE-30にも載せても良かったのではないかと思えるが、まあ良いだろう。

  	マグネシウムボディ 防塵・防滴	画素数	画像エンジン	ファインダ	AFセンサー	測光センサー	シャッターユニット	手ぶれ 補正	背面 液晶	重さ
  E-3	○	10M	TruePic III	100%(1.15倍) ペンタプリズム	11点ツインクロスセンサー	49分割デジタルESP測光 中央部重点平均測光 スポット測光 ハイライトコントロール シャドーコントロール	1/8000〜、 5コマ/秒	5段分	可動	810g
  E-30	×	12.3M	TruePic III+ アートフィルター	98%(1.02倍) ペンタプリズム						655g
  E-620				95%(0.96倍) ペンタミラー	7点ツインセンサー (うち5点クロス)		1/4000〜、 4コマ/秒	4段分		475g
  E-520		10M	TruePic III	95%(0.92倍) ペンタミラー	3点センサー		1/4000〜、 3.5コマ/秒		固定
  E-420								なし		380g

• さて、E-620が3月20日に発売されるが、オリンパスにE-30がE-620と競い合っても構わないという思いがあったのは間違いない。そうでなければ、E-30の発売後わずか3ヶ月後にE-620を発売するわけがないからだ。おそらくはターゲットとするユーザが異なるのだ。「価格が高すぎる」と言われたE-30はE-3クラスのユーザがターゲットであり、E-620のターゲットはE-420やE-520クラスのユーザだからなのだろう。つまり、E-SYSTEMで比べるならば、E-30はE-x系からの買い増しやE-4xx系やE-5xx系からのステップアップを、E-620はE-4xx系やE-5xx系からの買い換えや新規ユーザの購入を想定したモデルだということだ。まあ、ユーザがメーカの思いどおりに感じてくれるかは定かではないのであるが……

OLYMPUS E-30（その2）

• E-30で特筆すべきは電子水準器とアートフィルターである。電子水準器はリコーのコンパクトデジタルカメラにも搭載されているが、手持ちで風景を撮影する私には素直に便利なものだと思う。E-3でもAFセンサーフレームで水平垂直をチェックできるものの目安でしかなく、正確性と安心感は電子水準器にかなわないからだ。ホットシューに取り付けるタイプも市販されているが、ファインダでは確認できず、電子音では不安である。やはり、ファインダで確認できる点が優れている。RICOH GX200には水平方向のみの電子水準器が内蔵されているが、E-30には垂直方向のものまで内蔵されている。まったく至れり尽くせりで、縦位置撮影でも安心である。表示も控えめで撮影の邪魔になることもないだろう。

• もう1つのアートフィルターも素晴らしい。2番目に書いたのは、私にとっての順番であって、普通は1番目に書くことであろう。ペンタックスもK20Dで同じようなカスタムイメージという提案をしていたが、それは「撮影対象に対してフィルムを選ぶ」というコンセプトだった。風景写真に適した「風景」、和風テイストな「雅」、などというカスタムイメージを提案していたのだ。また、デジタルフィルタとしてソフトフォーカスのような「ソフト」やスケッチ画のような「イラスト」などを用意していた。これに対し、オリンパスのアートフィルターはそれをさらに極限まで煮詰めたものだと思われる。
• ペンタックスのカスタムイメージは「鮮やか」「ナチュラル」「人物」「風景」「雅」「モノトーン」の6つ、デジタルフィルタは「ソフト」「白黒」「セピア」「カラー」「色抽出」「イラスト」「HDR」「明るさ」「スリム」の9つで強さを調整可能である。対して、オリンパスのアートフィルターは「ポップアート」「ファンタジックフォーカス」「デイドリーム」「ライトトーン」「ラフモノクローム」「トイフォト」の6つで強さの調整はできない。名前を見ただけでも違う感じがするだろう。オリンパスは地味な会社ではあるが、これは弾けている。それはさておき、オリンパスのアートフィルターには誰にでも簡単に使えるような配慮が感じられるのだ。6つから1つを選ぶだけで使えるからだ。
• そんな強さの調整もできないアートフィルターで何ができるのか、と思う人もいるだろう。しかし、驚いてしまった。「ラフモノクローム」を森山大道風と評した方がいたが、そのようなピンポイントにセッティングされたフィルタだということなのだ。これは偉大な先人のノウハウを素人が使えてしまうことを意味する。
• 例えば、私はポートレートは全くといって良いほど撮らない。唯一の例外は新しいカメラの発表イベントでの試し撮りである。ただ、毎回自分の下手さにがっくりしている。特に最近のデジタルカメラは非常に細かな部分まで写し取るので女性のポートレートには厳しい部分があるのだが、私にはどうしようもなかったのである。

• これはE-30で撮影したポートレートである。それぞれ、ファンタジックフォーカス、デイドリームとアートフィルターなし(AUTO)で撮ったものである。全て、JPEGをリサイズしたものだ。真ん中のデイドリームはアスペクト比を変更したもので、トリミングをしたものではない。

  2008/12/07			OLYMUPUS Photo Festa 2008 Winter （モモちゃん）
  ファンタジックフォーカス			デイドリーム		アートフィルターなし (AUTO)
  E-30			14-54mm F2.8-3.5 II		54mm F3.5

• 決して私の腕が良いわけではない。当然ながら、素敵なモデルだし、E-30本体のストロボとワイヤレスの3台のストロボをオリンパスが最適にセットアップしてくれての素晴らしいライティング条件での撮影ではある。しかし、ファンタジックフォーカスの素晴らしさは十分に感じられるのではないだろうか。素人でこれだけ撮れてしまうのである。ちなみに、デイドリームも悪くはないが、個人的には風景写真向きのような気がする。
• まあ、人によって撮影スタイルは異なるので、自分にピッタリくるアートフィルターがなければ余計な機能なのだが、私には風景写真に「デイドリーム」「ポップアート」や「ライトトーン」が使えるように思えた。特に用途が限定されているわけではないので好きに使えば良いのだろう。

• E-30には他にも新しい機能がある。まずは、マルチアスペクトである。4:3以外に3:2、16:9、6:6、5:4、7:6、6:5、7:5、3:4のアスペクト比が選べるようだ。ただ、4:3以外は撮影時にトリミングすることになる。それなら、パソコンでやっても良いのではないかとも思えるが、ライブビュー時には液晶画面にアスペクトに合わせたフレームが表示できる。つまり、見たままが簡単に撮れるというメリットがあるようだ。また、RAWも同時記録するとトリミングしないRAW画像を残す設定もあるらしい。RICOH GX200にもスクエア・フォーマットがあるが、たまに使っている。6:6の正方形のアスペクト比は使えるかもしれない。しかし、……、こんなにたくさんあっても使いこなせるのだろか。まあ、気に入ったものだけを使えば良いのであるが……
• また、ライブヴューで確認しながら撮れる多重露光機能も搭載されている。「ライブヴューで確認しながら撮れる」ことは大きなメリットで、パソコン上での合成写真とは全くの別物である。それほど使う機能ではないが、面白い。

• さて、これだけのカメラなら防塵・防滴は十分ではないもののE-3の代わりに使えるだろう。デジタルカメラには下克上はつきものだが、さすがに悔しい。まあ、E-3を大切に長く使うつもりでいるので、当面はE-30を導入する予定はないものの、安くなってきたらどうしよう。困ったものである。
• もう1つ踏みとどまっている理由は手持ちのレンズがハイスピードイメージャーAF対応ではないからだ。E-30の面白い機能を使う場合にはライブビューの頻度があがる可能性が高いがレンズがついてこないのである。まあ、オリンパスもファームウェアのバージョンアップで対応してくるだろうが、どのくらいの時間がかかるのだろうか。

• ただ、E-30には改善を望みたいところもある。1つ目はE-3でも同じであるが、背面液晶での撮影画像確認時のクオリティが今ひとつである。撮影後に液晶画面で確認してもピント合っているのか甘いのか良くわからないのである。液晶のドット数が少ないので粗い表示になるという人もいるが、恐らくは画像エンジンの能力によるのだろうと思っている。TruePic IVが開発されれば解消されるのではないかと期待している。
• もう1つはxD-ピクチャーカードである。多くの人が思っていることだが、xD-ピクチャーカードは進化が止まってしまっている。容量は2GBから増えないし、スピードは15MB/s止まりである。SDカードと比べるまでもなく過去の遺物になりつつある。コンパクトフラッシュカードとのダブルスロットではあるが、何とかならないものだろうか。オリンパスはコンパクトデジタルカメラにはmicroSDアタッチメント(MASD-1)を同梱している。これによってmicroSDカードやmicroSDHCカードを使うことができるのである。現状ではオリンパスはmicroSDアタッチメントをデジタル一眼レフカメラに対応させていないが、xD-ピクチャーカードが進化しないのであれば、対応させて欲しいと思う。

OLYMPUS E-30（その1）

RICOH GX200（その1）

• 知る人ぞ知るところだが、リコーはデジタルカメラの老舗である。デジタルカメラの普及に大いに貢献したカシオのQV-10と時を同じくしてリコーのDC-1が登場している。私のホームページは当初はMacintosh雑記帳としてMacintoshのパワーアップを題材にスタートしたのだが、その写真撮影に使っていた。非常に高価なカメラで当然ながら私物ではなく会社の備品を借用しての撮影だったのが懐かしい。
• リコーのデジタルカメラの特長の1つ目は接写である。DC-1でも1cmまで寄れるマクロが搭載されており、Macintoshの基板撮影に重宝した。さすがに黎明期のデジタルカメラだけあって個人で購入するには性能面でも価格面でも満足いくものではなく、個人で購入したのは334万画素のRICOH Caplio RDC-i500である。RDC-i500はDC-1から数えて8代目になるカメラである。リコーのカメラ名称は結構いい加減で、DC-1、DC-2、DC-3、DC-4、RDC-5000、RDC-5300、RDC-7、Caplio RDC-i500、となっている。このRDC-i500からCaplioブランドを名乗り始めているようだ。
• RDC-i500はフリーアングル液晶を搭載したDC-1を彷彿とさせるデザインのカメラでお気に入りであったが、レンズのワイド側が35mm相当であったため広角使いの私にはちょっと物足りなかった。長らく接写用、兼、メモカメラとして愛用していたが、ようやく満足いきそうなGX200が登場したので購入したというわけだ。

  RICOH Caplio RDC-i500
  Front	Free Angle LCD (Front)	Free Angle LCD (Rear)

• リコーのデジタルカメラの特長の2つ目が広角対応である。ワイドズームの先駆けであったリコーはCaplio G4 wideで28mm〜85mmを実現している。これはその後進化して28mm〜200mmと高倍率化しているが、私は広角側が28mmというのを評価していた。他社も追随し、ワイド側が28mmというデジタルカメラは珍しくなくなったが、リコーはCaplio GX100ではさらに24mmまで広角化し、他社を突き放した。その後、他社から何機種か対抗機が出されたが、28mmのように当り前にはならなかった。
• 私のような広角使いは珍しいのか、超広角ユーザはデジタル一眼レフを使っているのかよくわからないが、現状でのコンパクトデジタルカメラでは広角端は24mmである。ただ、ワイドコンバージョンレンズ(ワイコン)を使うことでGX100は19mmまで拡張できる。ただ、私はGX100を購入しなかった。いくつか気に入らない点があったからだ。
  1. フロント上部にRICOHではなく、CAPLIOと変な書体のロゴがついていたこと
  2. RAWの書き込みが遅いこと
  3. ディストーション補正がないこと
  4. レンズがキャップ式だったこと
• 後継機のGX200はこれらが全て解決されたため購入したというわけだ。GX200にアダプターHA-2、ワイコンDW-6、EVF(電子ビューファインダ)のVF-1と自動開閉式レンズキャップLC-1をつければ極めて小型・軽量の超広角システムが完成する。これはなかなか快適である。

  RICOH GX200 with VF-1
  Front with LC-1	Rear	Front with DW-6 and HA-2

Panasonic DMC-G1

• 遅ればせながら、Panasonic DMC-G1の第一印象をまとめておいたものを公開しよう。いろいろ言われているが、私の印象は以下のとおりである。
• Panasonic DMC-G1はマイクロフォーサーズの第1号機としては評価できるものの、「思っていたほど小さくはなかった」。E-420と比べると良くわかるが、「マイクロではない」のである。「この程度の大きさを実現するためにレンズマウントを変更したのかとがっかり」した。
• ただ、カメラとしての出来は悪くはない。コントラストAFはほどほどに早く、EVFであるファインダは非常にクリアで大きい。像がぐにゃっと歪むと言われたファインダだが、そんなことはなかった。ただ、ファインダから少し目を離して覗いてみるとと歪む感じがわかるような気がする。眼鏡をかけている方はアイポイントが長いので影響があるのかもしれない。EVFの高倍率レンズの影響ではないだろうか。
• さて、私は最初からマイクロフォーサーズにネガティブなのだが、それには理由がある。私のデジタルカメラはE-3だけではなく、コンパクトカメラも所有しているからだ。今まではリコーのCaplio RDC-i500を使っていたのだが、最近リコーのGX200に切り替えた。これにワイドコンバージョンレンズ(ワイコン)を付けると135サイズ換算で19mmの超広角で撮れるのだ。このGX200を購入したのはマイクロフォーサーズの発表の直後なのだが、それはマイクロフォーサーズではここまで小型化できないと思ったからなのだ。
• オリンパスは別のアプローチを考えているようだが、Panasonic DMC-G1を見ると小型一眼レフをターゲットにしているようである。それはE-420の後継モデルで充分なのだ。それに9-18mm、14-42mm、40-150mmの3本の小梅ズームを付ければ超軽量システムが完成する。ここでE-420ではなく、E-420後継モデルと書いたのは「手ぶれ補正」と「ファインダの改良」が欲しいからだ。現状ではE-420のサイズに詰め込むのは厳しいかもしれないが、技術革新で可能になることを期待したい。
• Panasonic DMC-G1はそのE-420後継モデルのスペックを備えているので、これから購入する人には問題ないカメラだろう。ただ、私は既にE-3と7-14mm、12-60mm、50-200mmを所有しているので、それほど焦って購入する必要はないのである。
• さて、リコーのGX200はEVFを採用したユニークなコンパクトカメラである。一眼レフではスピードなどに不満足な部分がでてくるEVFだが、コンパクトカメラと割り切れば充分である。Panasonic DMC-G1のEVFはリコーGX200のEVFを軽く上回っており、性能的には充分ではないだろうか。ただ、こう書いてみると認識を新たにしてしまうが、マイクロフォーサーズは一眼レフの対抗規格ではなくコンパクトカメラの対抗規格と思えてならない。