Macintosh 雑記帳（バックナンバー）

iMac 333MHz 版が正式発表

• アップルが業績発表と同時に iMac 333MHz 版（Rev. D）を発表した。未発表のまましばらく頑張って欲しかったが、まあ、うまくやった方だろう。266MHz 版（Rev. C）を完売できたのだろう。さすがに在庫管理はすばらしい。流通在庫は3日から5日分ぐらいしかないようだ。ホントかな？

iMac 333MHz 版に告知は必要？

• ここ数日の間 Macintosh 関連の Web サイトが騒がしい。密かに iMac の 333MHz バージョンが発売されているのだそうだ。話題のポイントは「なぜアップルは 333MHz にスペックアップしたことを発表しないのか？」である。いろいろな考え方があるようだが、「購入しようとする人達に対してフェアではない」という意見や「せっかくスペックアップしたのに発表しないなんてもったいない」という意見が多いように思える。
• 確かに同時期に iMac を購入しても 333MHz 版を手に入れられた人と 266MHz 版を渡された人では差がある。速度にして25%アップは大きいかもしれない。あるいは、266MHz 版には興味がなくても 333MHz 版なら買いたいと思う人を逃がしてしまっているかもしれない。
• しかし、冷静に考えてみよう。iMac を買う人たちの多くは「シーピーユー？」という人たちではないのだろうか？彼らは CPU を買うのではないのだ。iMac によって可能になるインターネットの世界を買うのである。3Dゲームのできるパソコンを買うのである。そういう人たちにとっては 266MHz であろうが 333MHz であろうが関係ない。使用する上では 266MHz でも既に充分高速なのだ。
• 車に例えるならば 2000cc であろうが 2500cc であろうが変わらないのと同じである。車をスペックで選ぶ人ならば気になることも、ただホンダのアコードを買おうと思って店に来る人にとっては関係ないのだ。価格は同じなのだから。これが軽自動車（660cc）と思っていたら1300ccだったというなら事情も違うだろうが……。
• 実際のところ、iMac に限らず今のアップルでは仕様変更は頻繁に行われている。ハードディスクの性能が上がっていたり、グラフィックチップが代替わりしていたり、IDE バスに2台目のドライブが接続できるようになったりしている。それらは公開されずに行われていたのだ。メーカとしては競争力維持のためマイナーチェンジを頻繁に行うことは当然である。しかし、チェンジ前製品が売れ残って返品されては困るのだ。これも発表されない理由の一つではあるだろう。
• また、部品メーカ側の都合もある。333MHz の PowerPC 750 は 266MHz より高いのだろうか？常識的には答えは「YES」である。しかし、実際は「No」ではないだろうか？半導体は製造プロセスによって価格が大きく異なる。（製造プロセスとは適切な訳語を思いつかないが、製造工程というよりも設計技術・製造技術・製造設備などを合わせた意味がある。比較する尺度は「細かさ」であり、一般にラフなプロセスよりも微細なプロセスの方が最新式とされる）より微細なプロセスで作るとコストは下がるのだ。1枚のシリコンウェハから採れるチップ数が圧倒的に増えるからである。これは「チップシュリンクによるコストダウン」と呼ばれれる。もちろん、最新式の微細プロセスを造るためには投資が必要なので最初は高いプロセスになる。しかし、原価償却ができれば安くなるのだ。大ヒット商品に搭載されている CPU である。償却には大いに貢献するはずだ。もし、部品メーカが「同じ価格の機能改善版」に変更してくれとリクエストしてきたら、パソコンメーカは簡単にOKするだろう。部品メーカもコストダウンで儲けは増えるし、パソコンメーカの高機能版を手に入れられるのだ。両方得をするのである。
• アップルのカタログに限らず一般のカタログに書いてある決まり文句がある。「本製品仕様は改善などのため予告無く変更することがあります。」これは伊達ではない。先に述べたようなことを想定して書かれているのだ。
• 結局のところ、パソコンをどう見るかにかかってくる。アップルは「家電」に近いものにしようと努力している。車に例えるなら「ちゃんと走ってくれて安全で格好良ければそれでいい」的に買ってもらえる車を目指しているのだ。「リッターあたり100馬力以上で、ABSやらTCSやらがついていないと買いたくない」なんていうユーザにはそれ用の車を別に用意しているのだ。成熟している商品とこれからの商品の違いだろうか？
• 私も最初はなぜ仕様変更を発表しないのかと疑問に思ったのだが、こう考えてくると何となく理由がわかったような気がする。わたしもかなりパソコンマニア化（おたく化）していたということだ。パソコンを買うのではない。パソコンでできる何かを買うのだ。CPU スピードなどを意識する時代は終わろうとしているのだとアップルは言いたいのだと思う。日本の某メーカのコマーシャルとは大違いである。

USB マウスにはドライバが必要？

• USB マウスを使うためにはドライバが必要だ。正直いって驚いた。これは Windows95 OSR2.x で実際に経験した話だ。USB マウスを挿し込むと検知してセットアップを始めるのだが、ドライバを見つけることができないのだ。「ドライバが見つかりません」と表示されたときに固まってしまった。
• マイクロソフトは Windows95 OSR2.x から USB ポートやIEEE1394（FireWire） ポートをサポートしている。（OSR はマイナーバージョンアップ版で新しい PC には付属しているが、単独では販売されていない。一般に入手できるバージョンでは Windows98 からのサポートになる。）確かに全ての周辺機器のドライバをあらかじめ登録しておくのは無理だ。しかし、たかが普通の2ボタンマウスにまで専用のドライバを要求する必然性があるのだろうか？別にホイールがついているわけでもなく、ボタンの数が多いわけでもないのだ。
• 電源を入れたままでも抜き挿し可能なホットスワップ機能など、初心者にも簡単に「家電感覚」で使えるはずの Modern I/O のはずが、とんでもない。まさか、iMac でも同じことが起こるのだろうか？今回はドライバの入ったフロッピーディスクを見つけられたので何とかなったのだが、FD ドライブを持たない iMac ではどうするのか？CD-ROM でドライバを提供するのだろうか？
• 周辺機器メーカも大変である。たかがマウスにもドライバを開発して添付しないとならないのだ。Modern I/O によりビジネスチャンスは広がったのだが、負担も増えているわけだ。ちょっとパソコンショップを覗いてみよう。

日本橋もすごい

• 先週末に大阪の日本橋に行く機会があった。ある店で日本語版の旧 Power Macintosh G3 DT 266 を見つけた。何と言うことだ。まだ残っていたとは……。ただし、新品ではなく「新古品」だった。（当然の事ながら「ある店」の名前は公開しない。）
• なつかしい言葉だ。以前に「新古車」というのは不当表示として公正取引委員会がクレームをつけたことがあり、その呼び方は使われなくなっていたのだ。新車でもなく、中古車でもない「新古車」は販売店がノルマ達成のためにメーカから余分に購入したものだった。つまり、新車だったのだ。販売店はノルマを達成するとメーカからバックマージンがもらえた。それを計算に入れれば、メーカから新車を余分に購入して中古車店に転売しても儲かったのだ。
• 今回の「新古品」は箱の状態からして新品ではないようだ。乱暴に箱を開けた跡があった。たぶん、店頭展示品か何かだろう。
• さすがは大阪商人だ。秋葉原では見つけられないものがある。東の「アキバ」西の「ニッポンバシ」、頑張ってもらいたい。

秋葉原おそるべし

• 今日は業務に使うソフトを購入しに行った。外出の途中に立ち寄る形で「新宿」で探したのだが揃わない。「新宿」といえば最近「アキバ」こと秋葉原に続くパソコン街になりつつあると認識していたのだが……たいした事はなかった。品揃えが少ないのだ。所詮はビジネス街でしかないようだ。みんなが欲しがる商品は豊富に用意されており、そこそこ安い。しかし、売れ筋を少し外してしまうと品切れなのだ。ところが、「アキバ」では1店目で全て揃ってしまった。何ともあっけない。さすがである。
• ちょっと考えてみると、「新宿」の商法は「おいしいとこ取り」でしかない。「アキバ」での売れ筋商品を「新宿」に持ってきているようである。パソコンやソフト、周辺機器などパソコン文化を売ろうとしていない。地価も高く店舗面積にも制限があるのだろうが、売れるものしか売らないというのはいかがなものか？
• まあ、「新宿」はもともと「××カメラ」などのカメラ系家電ショップが中心で、そこにパソコン系ショップが少しづつ入ってきているところである。もう少し長い目で見る必要があるかもしれない。
• ところで、今回「新宿」で手に入らなかったのはホームページ作成に使うソフトである。いくつかはあったのだが、全部を揃えることができなかったのだ。とてもメジャーなソフトも無かったのだ。ちなみに無かったのは Windows 版である。Macintosh 版はたくさん在庫があった。
• これをどうとらえるべきだろう？ホームページ作成などのクイエイティブな分野では圧倒的に Macintosh が強く、Windows 版のソフトは仕入数が少ないから在庫が切れていたのか？それとも、Windows 版もたくさん仕入れられていたが、売り切れてしまったのか？その場合、Macintosh 版は売れ残っていることになる。さてさて。

今年は世紀末の年ではない

• 前から気になっていたのだが、最近テレビでは今年が「世紀末の年」と表現されている。公共の電波でウソを放送しないでもらいたい。あいまいに「世紀末」と言えば良いものを「世紀末の年」とか「20世紀最後の年」などと言い切っているためたちが悪い。
• 「世紀末の年」とは「20世紀最後の年」ということなのだが、20世紀は何年から始まって何年に終わるのか知らないようだ。1,900年から始まって1,999年に終わるのではない。1,901年から始まって2,000年に終わるのだ。つまり、「世紀末の年」は来年の西暦2,000年なのである。
• 簡単な理屈である。××元年とは何年だろう？「0年」ではないはずだ。必ず「1年」なのである。なぜなら元年の次は2年だからである。つまり西暦の元年も1年であり、そこから1世紀が始まっている。そして、1世紀の終わりは西暦100年なのだ。
• 勘違いの元は「年」は一点ではなく、期間を表すことを忘れていることにある。数字は0から始まり、1、2、3と続いていくが、年は0〜1までの1年間を1年（元年）、1〜2までの1年間を2年と表すのだ。逆に-1年（紀元前元年）は0〜-1の間の1年間である。つまり、0という一瞬は存在しても0年というものは存在しないのだ。
• たぶん、西暦2,000年になっても何事もなかったようにテレビでは「世紀末の年」といわれるのだろう。困ったものである。