2025/02/10
CP+ 2024 雑感(その3) 新顔、カメラグランプリ
- 出展社の新顔もいくつか見つけた(あくまでも私にとっての新顔である)。その1つがメモリーカード関係のメーカーだ。Genesys Logicは台湾の半導体メーカーでメモリーカードリーダーのコントローラーを開発している会社だ。コントローラーはカードリーダーはもちろんだがカメラ本体にも搭載される重要パーツである。まず、SD ExpressカードはUHS-IIをサポートしていないのでリーダーで読み出すとUHS-Iのスピード、つまり、UHS-IIの1/3のスピードになってしまうらしい。また、CFexpressカードはUHS-IIをサポートしている。そうすると、カードリーダーやカメラは両方に対応するためにコントローラーを2つ搭載しないといけなくなるのだが、Genesys LogicのGL9767というコントローラーはSD ExpressとCFexpressの両方をサポートしているために1つで済むとアピールしていた。その時点では唯一の量対応メーカーらしい。
- と、メモに従って書いてはみたものの、何か違う感じがする。SDカードも進化しておりUHS-I だけでなくUHS-II、UHS-III もサポートしているはずだ。私はカメラ機材を更新していないのでメモリーカード規格についての情報も更新できていない。CFexpressもよくわからないし、このあたりも確認しなければならないようだ。
- メモリーカードメーカーにも新顔があった。Nextorageという社名は聞いたことがなかったのだが、説明を聞いてみるとソニーのメモリーカード部門が分社した会社らしい。そう聞いて納得して帰ったのだが、ソニーブランドのメモリーカードも販売されている。あれっ?と思って確認してみた。Nextorageはソニー子会社のソニーストレージメディアソリューションズから2019年10月にフラッシュメモリ製品事業のみを切り出して分社し、2022年1月にソニーから独立した企業らしい。メモリーカードだけでなくSSDなどを製品化しており、OEMも幅広く行っているそうだ。ソニー自体はフラッシュメモリー事業から撤退しているらしく、ソニーブランドのメモリーカードはNextorageのOEMなのかもしれない。私にとってソニーは半導体メーカーなので少し違和感はあったのだが、カメラメーカーブランドのメモリーカードは数多く存在する。そういう意味では違和感はないだろう。ちなみに、東芝のフラッシュメモリー部門は今では分社されてキオクシア(KIOXIA)になっている。ブランドとしては新しいが実績ある会社である。
- SUNEASTというメモリーカードもあった。旭東エレクトロニクスのブランドらしいが、2017年にできた若い会社だ。調べてみたところ、価格は安いようだが実績は未知数だ。だから、出展して認知度を上げようとしているのだろう。
- 最後に「カメラグランプリ2024 注目機種と行方を大胆予想」というステージについて書いておきたい。これはCIPA主催のステージで、写真家の阿部秀之氏、赤城耕一氏、今浦友喜氏による対談だった。前のお二人はよくステージで話されており、喋りは面白く、カメラへの造詣も深い方である。今浦氏はまだお若くお二人から聞き出す司会的役割だった。大先輩二人をうまく回しながら自分の意見もちゃんと盛り込んでいて進行上手だった。
- 印象に残ったのは阿部氏の先輩からの教えだった。カメラ記者クラブが実施しているカメラグランプリの選考委員に選出された際に先輩から「グランプリは好き嫌いで選んではいけない。人気投票ではないのだから。優れた技術が入ったカメラを選ばないといけない」と教えられたそうだ。そして、第1回のグランプリがニコンのFAであり、それは今でも現役で使われているマルチパターン測光技術を最初に搭載したカメラだったからという話をしてくれた。ごもっともである。マルチパターン測光は今ではカメラだけではなくスマートフォンのカメラにも採用されているのだそうだ。
- そういう意味ではグローバルシャッターを初めて搭載したソニーのα9 III がグランプリ 2024 大賞に選ばれたのも納得だ。阿部氏はよくニコンのステージでお見かけするが、フェアだと感心した。過去の受賞カメラを見てみても何となくではあるが新しい技術や試みがされているなあと感じることができるだろう。懐かしいカメラがいっぱいだ。
- 赤城氏は小さくて軽いカメラやレンズが好きなので知られている方だ。私も体力に自信がなくなってきて同感である。ただ、個人的にはマイクロフォーサーズ規格は結果的にシェアが取れなかったため、採用するカメラメーカーは安価にイメージセンサーを入手することができなくなっているように感じる。そのため、4倍の面積の135サイズ(フルサイズ)のセンサーよりも購入価格は高いのではないかと勘繰ってしまう。残念ではあるが、小型軽量という点では富士フイルムのAPS-Cサイズのカメラに期待するしかない状況だ。というのも、以前に書いたとおり、135サイズ(フルサイズ)のカメラをラインアップしているメーカーのAPS-Cサイズ用の超広角レンズが物足りないからだ。135サイズ(フルサイズ)のカメラの方が小型軽量だったりするのだが、レンズ込みとなるとAPS-Cサイズの方が小型軽量になるからだ。
- 当時のメモによると、おそらく赤城氏のお気に入りはOMデジタルソリューションズのOM-1 Mark II、パナソニックのLumix G9 Proだっただろうか。当時のメモには発言者の記載がないのでよくわからないのだ。赤城氏は軍艦部のロゴがOLYMPUSからOM SYSTEMに変わったことに「思ったほど気にならない。すぐに慣れる」とコメントしていたように思う。長年のオリンパスユーザーとしては複雑ではある。ブランドってそういうものではない気がするからだ。
- 赤城氏のレンズのお気に入りはシグマの10-18mm F2.8 DC DN | Contemporaryだったと思う。私は超広角好きだからメモったのだろうが、富士フイルムのXマウントだけでなく多くのカメラマウントにも対応している。260gと軽量で良い感じだ。価格のネットで調べた感じでは10万円ちょっとで買えるようだ。APS-Cサイズのカメラにつけて焦点距離が1.5倍になったとしても15-27mmなので十分に超広角だ。シグマに限らずサードパーティにならAPS-Cサイズの超広角レンズがあるかもしれない。探してみようと思う。
- キヤノンのRF10-20mm F4 L IS STMもメモにあった。これも赤城氏のお好みだろうか。570gと小型軽量な135サイズ(フルサイズ)の超広角ズームレンズだ。小型軽量ボディにつければ使えるかもしれない。このレンズによってキヤノンも移行の選択肢に入ってきた。CP+ 2025でもっと詳しく見てみたいものだ。ただ、キヤノンオンラインショップで376,200円(税込)もする。高い。超広角ズームなのに5段の手ぶれ補正が入っているし、防塵・防滴、フッ素コーティング、動画対応のSTM採用だし、性能は素晴らしいから当然の価格ではある。ちょっとこのレンズはAPS-Cサイズのカメラにつけるのはもったいない感じだ。