フォーサーズ雑記帳（バックナンバー）

OLYMPUS PEN E-P5

• オリンパスがマイクロフォーサーズのPEN E-P5(と、PEN E-PL6)を発表した。そのお披露目会である「PENコレクション2013」が5月11日、12日にラフォーレミュージアム原宿で行われたので印象をまとめておきたい。スペックなどはオリンパスやカメラ情報関連のサイトを参照いただきたい。

• まず、ネーミングから。E-P5はE-P3の後継機なのだが、E-P4ではない。オリンパスは本当に「4」が嫌いらしい。ちなみにニコンにはD4がある。そのカメラが売れなくても、次機種を発売できなくても、それは「4」(死)という名前のせいではないのであるが、オリンパスはOM-4がトラウマになってしまっているのだろうか。まあ、縁起担ぎや神頼みは極めて「日本的」ではあり理解できなくもないが、笑ってしまう。

• 次にデザインについて。私はPEN E-P1からE-P3と比べてE-P5はちょっとだけだがPEN-Fに近づいたように思える。正面から見てロゴが入っている部分のエリアが少し大きくなったのだ。ボディの高さが増えたわけではなく、デザインのアクセントラインが少し下がったからなのだが、良い感じである。ただ、ファインダ内蔵のPEN-Fに比べるとレンズより上の部分がまだまだ寸足らずである。PENにファインダが内蔵されるとより似てくるように思えるが、そうするとOM-Dとの差別化が危うくなるので実現性は低いだろうか。

• また、E-P5の正面の「OLYMPUS」ロゴがPEN-Fと同じ字体になっているのに加えて、「PEN」とまで書かれているのでPEN-Fと似ていると思わせるのだろう。ただ、私は企業ロゴは製品の顔の1つであると思っているので、安易に変えるのには否定的である。確かに昔の企業ロゴではあるのだが、現在の製品には現在のロゴを使うべきではないだろうか。ちなみに、私はE-M5の場合には正面のOM-Dと書かれている部分には「E-M5と書くべきだろう！」と突っ込んでしまった。OLYMPUS PEN E-P5はまあ自然な感じだが、PLYMPUS OM-D E-M5となるとダブルネームになってしまい、OMシリーズなのかEシリーズなのかがわからなくなる。デザインを似せてそれとなくオマージュだと気づかせるというのが上品で、名前やロゴまでコピーする必要はないのではと思ってしまう。

• このような過去のヒット商品にあやかることを嫌う人がいるが、私は悪いことだとは思わない。事実、流行は周期的に繰り返しているし、オマージュは悪いことではないと思っている。ただ、レンズ交換式カメラのデザインはレンズと一体になって完成する。M.ZUIKO DIGITAL レンズのデザインは最初はPEN-Fマウントレンズに似せていたのだが、その後デザインを変更し、今では別物のデザインに変わってしまっている。私は最初のデザインが好きだったので、このあたりの中途半端感は残念である。以前にも書いたが、M.ZUIKO DIGITAL レンズはラインアップやスペックも中途半端であり、再構築する必要があると強く感じている。

• さて、E-P5を触ってみて最初に感じたのは「ちょっと重い？」ということだった。私は軽いカメラを探しているので「あれ？」っと違和感が強かったのかもしれないが、調べてみるとE-P3が369gなのに対し、E-P5は420gもある。約14%も重くなってしまっている。加えて、EVFのVF-2が32gであるのに対し、VF-4は41.8gもある。セットにすると401g対461.8gである。確かに機能強化されているのだが、重くなって良いのだろうか。

• 携帯機器の代表といえるスマートフォンで確認してみよう。iPhone 4は137g、iPhone 4Sは140g、そして、大きく薄くなったiPhone 5は112gである。3Gから3.9Gに進化したり、内蔵カメラが高画素化したり、音声認識が可能になったり、……、それでも軽くなっているのだ。携帯機器に重要なのは重量と大きさなのだが、デジタルカメラ業界は重要視していないようだ。パナソニックのGH3(550g)はGH2(444g)より大幅に重く大きくなっているし、ニコンのD4(1340g)はD3S(1240g)より重くなっている。同じ携帯機器なのにこの違いは何なのだろう。

• もちろん、電子部品の固まりのスマートフォンと光学部品やメカ部品が多く含まれるデジタル一眼カメラを同列に論じてはいけないのかもしれない。また、携帯電話を経て成熟製品になりつつあるスマートフォンと発展途上のデジタル一眼カメラは違うというのも理解できる。発展途上製品は多くの機能強化が必要だからだ。確かに、E-P5は背面液晶モニタを可動式に変更し、手ぶれ補正が2軸対応から5軸対応にスペックアップしている。さらに、1/8000秒まで可能なシャッターユニット、Wi-Fiモジュールなども新たに搭載されている。外付けEVFのVF-4は236万ドットもあり、VF-2の144万ドットを上回っている。

• しかし、機能強化すれば重くなるのだろうか。私が気になったのは「上質」というキーワードだ。オリンパスはPENにE-P1から「上質」というキーワードを与えている。確かにE-P5の外からビスが見えないように組み上げられたボディは美しい。しかし、上質感のある材料が必ずしも軽量とは限らない。重量、強度と上質感のバランスが大切だと思うのだが、E-P5はかなり上質感にウェイトが置かれたように思える。素材の技術進化によりエンジニアリング・プラスチックなどでも充分な強度が確保できるのだがら、うまく活用して軽くして欲しいものだ。そもそもオリンパスのカメラは「小型・軽量」が伝統であるはずだ。PEN-Fをオマージュするなら、それを忘れて欲しくはない。

• さて、オリンパスはOM-DとPENを上下の関係にはしないようだ。つまり、マイクロフォーサーズのフラッグシップが2機種あるということだ。確かに、E-P5にはE-M5を凌駕している部分がいくつかある。1/8000秒シャッターが可能になっているし、イメージセンサーは同じ1605万画素だがチューンアップされている。同じ5軸対応手ぶれ補正も効きが良くなっているそうだ。新たに2x2ダイヤルコントロールも搭載されている。デジタルカメラは下克上が当然ではあるが、このツートップ戦術は興味深い。それぞれ女子カメラとオヤジカメラという立ち位置でターゲットが異なるはずだが、うまく差別化していけるだろうか。まあ、オリンパスがターゲットをどのように捉えているかはわからないのだが。(笑)

軽いカメラが欲しい(その5)

• さて、既に当面はE-5のシステムで頑張ると結論を出してしまっているのだが、私が求めるカメラを明確にしておきたい。以前に「E-5のマイクロフォーサーズ版のカメラボディに防塵・防滴のマイクロフォーサーズ版の7-14mm、12-60mm、50-200mm、1.4xテレコン」と書いたが、そのとおりである。もちろん、5軸手ぶれ補正や最新のイメージセンサーなどを搭載してほしいとは思っているが、フォーサーズのレンズにはこだわらない。

• やはり、現状ではマイクロフォーサーズはフォーサーズとは別物だと感じてしまう。設計思想が根本的に違うと思えてならない。フォーサーズは愚直なまでにデジタルの光学性能を追い求めたシステムだ。それに対してマイクロフォーサーズは動画撮影などの規格を追加し、小型化のためにいくつかの基準緩和をしたシステムだと思える。デジタル補正によって光学性能を補正していることがそう物語っている。個人的にはその考え方は好きになれないが、現時点では納得できるものだ。ただ、将来のことを考えると疑問符がつく。イメージセンサーがベイヤー配列から解き放たれたらデジタル補正が同じように効くのかが良くわからないのだ。

• あくまでも個人的な意見だが、オリンパスにはマイクロフォーサーズの再定義を期待したい。フォーサーズと切り離して独立したシステムとして成立させて欲しい。M. ZUIKO DIGITAL レンズはクラス分けが必要だ。ハイグレードの明るいズームレンズも必要だ。小型軽量に加えて「高性能」なシステムが必要なのだ。

• オリンパスはかつて一眼レフカメラシステムから撤退した。フィルムカメラのOMシステムでオートフォーカス化に失敗し、ビジネスとして成り立たなくなった事業から撤退したのだ。そのため、ネットでは「もう一度ユーザを見捨てたら完全に信用を失う。だから、オリンパスはフォーサーズから撤退したくても出来ない」「そのため、撤退はしないが放置している」と揶揄されている。その気持ちは理解できないでもない。しかし、この不景気な状況でオリンパスがフォーサーズを維持していることは称賛に値する。多くの企業がいとも簡単に不採算事業から撤退している現状をよく思い起こして欲しい。

• 個人的にはオリンパスが単にフォーサーズユーザに配慮して撤退しないのではなく、時期を待っているのではないかと思っている。ZUIKO DIGITAL レンズは素晴らしい資産であり、いつの日か、必ず必要になるからだ。私はその日はベイヤー配列の呪縛から解き放たれる時だと思っている。三層式なのか三板式なのかはわからないが、ベイヤー配列が不要になった時に光学性能に優れたレンズが生き返るのだと信じている。それまで、フォーサーズを眠らせておけるのなら、そうして欲しいのだ。

• そして、しばらくはマイクロフォーサーズに注力しても良いと思っている。ただ、現状のマイクロフォーサーズはフォーサーズとは似て非なるものである。なので、既存のフォーサーズユーザのために少しマイクロフォーサーズの方向性を変えてもらえないかと言いたい。最初に書いた、「マイクロフォーサーズ版の7-14mm、12-60mm、50-200mm」のようなレンズを発売して欲しいのだ。

• 噂は噂でしかないが、オリンパスがマイクロフォーサーズの大口径ズームレンズを開発しているという噂がある。それらが本当に登場してきた時が私がマイクロフォーサーズを使い始める時なのかもしれない。

軽いカメラが欲しい(その4)

• さて、能書きはこれぐらいにして、私の所有するフォーサーズ・システムをミラーレスカメラ・システムで置き換えるとどうなるか、シミュレートしてみよう。

• まずは、E-5を中心にしたシステムをもう一度見てみよう。

  今回の旅行用機材一式	焦点距離 (135換算)	重量	価格	備考
  E-5	-	892g	199,800円 （オンラインショップ）	防塵・防滴
  ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0	14-28mm	780g	236,000円 希望小売価格
  ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD	24-120mm	575g	119,000円 希望小売価格
  ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD	100-400mm	995g	140,000円 希望小売価格
  1.4x Teleconverter EC-14	マスターレンズの1.4倍	170g	56,000円 希望小売価格
  合計		3,412g	750,800円

• 次に、E-620を中心にしたシステムをもう一度見てみよう。

  組み合わせ	焦点距離 (135換算)	重量	価格	備考
  E-620	-	475g	90,000円 発売当初価格	非防塵・防滴
  ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6	18-36mm	275g	71,000円 希望小売価格
  ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6	28-84mm	190g	31,000円 希望小売価格
  ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6	80mm〜300mm	220g	37,400円 希望小売価格
  合計		1,160g	229,400円

• 何と、重量的には1/3になってしまった。実はCP+前にこのシミュレートをしており、当面はこのE-620のセットで良いのではと思っていたのである。しかし、CP+で下手な写真を撮ってしまい認識を改めたのは以前に書いたとおりである。ちなみに、E-620のセットにテレコンバーターが含まれていないのはレンズが暗いためだ。1.4xのテレコンをつけるとF値が1段暗くなってしまう。そうすると、F5.6までしか正式対応していないAFセンサーが効かなくなってしまうのだ。もちろんオートフォーカスが全く効かなくなってしまうわけではなく、被写体によっては効く場合もあるのだが、効いたり効かなかったりすることでシャッターチャンスを逃してしまうのは困るのである。

• ただ、テレコンバーターがなくてもE-620を中心としたシステムの場合には軽量の超望遠ズームを加えれば、同等の焦点域をカバーできる。それでもE-5を中心としたシステムの半分の重量でしかない。

  組み合わせ	焦点距離 (135換算)	重量	価格	備考
  ZUIKO DIGITAL ED 70-300mm F4.0-5.6	140mm〜600mm	615g	47,500円 希望小売価格	非防塵・防滴
  総合計		1,775g	276,900円

• さて、まずはマイクロフォーサーズのシステム案を見てみよう。ボディ内手ぶれ補正を採用しているのはオリンパスだけなので、オリンパスのレンズをパナソニックのカメラボディに組み合わせると手ぶれ補正が効かない。必然的にカメラボディをオリンパス製にすることになってしまう。最近のデジタルカメラはフィルムカメラを軽く超える解像度を持っているので手ぶれは防ぎづらいのだ。私もパソコン上で写真をチェックしていて「？」と思って拡大して手ぶれに気づいて「！」と思ったことが何度もある。デジタルカメラには手ぶれ補正は必須機能なのだ。

  メーカ	製品名	焦点距離 (135換算)	重量	価格	備考
  オリンパス	E-M5	ｰ	425g	104,800円 （オンラインショップ）	防塵・防滴
  パナソニック	LUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH.	14-28mm	300g	124,950円 希望小売価格	非防塵・防滴 手ぶれ補正なし
  パナソニック	LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S.	24-70mm	305g	124,950円 希望小売価格	防塵・防滴
  パナソニック	LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8 POWER O.I.S.	70-200mm	360g	147,000円 希望小売価格	防塵・防滴
  パナソニック	LUMIX G VARIO 100-300mm/F4.0-5.6 MEGA O.I.S.	200-600mm	520g	80,850円 希望小売価格	非防塵・防滴
  総合計			1,820g	582,550円

• まあ、一目瞭然だが、全てパナソニックのレンズになってしまうようだ。

• マイクロフォーサーズにはリアコンバーターが無い。フロントコンバータはあるものの、レンズ口径がバラバラな現状では特定レンズ専用になってしまう。それゆえ、レンズ交換式の場合はテレコンバーターというのはリアコンバーターになるのだが、それがマイクロフォーサーズには存在しないのだ。多くのレンズがリリースされているのにリアコンバーターが存在しないというのは解せない。レンズがそれぞれデジタル補正をしているため、リア方式のテレコンバーターで充分な性能を発揮できないのではないかと思ってしまう。そのため、製品化できないとしたら、ちょっと困ったものだ。

• ちなみに、ミラーレス一眼カメラは構造的理由から主にコントラストAFを使っている。一眼レフカメラの位相差AF用のセンサーは明るさと性能に関連性があるが、コントラストAFにはそういう制限がないらしい。そのため、テレコンバーターを付けてもオートフォーカスが効かなくなる心配はないのだ。そういうメリットがあるにも関わらず、リアコンバーターが無いのは解せない。

• さて、リアコンバーターが無いため、超望遠ズームレンズを購入しないと同等の構成にはならない。しかし、超望遠ズーム1本分重くなってしまったにも関わらず、それでも現状のフォーサーズのシステムに比べれば半分程度の重さである。これならば、充分合格と言えるだろう。ただ、結構な値段になってしまう。ちょっと高すぎる。(苦笑)

軽いカメラが欲しい(その3)

• こだわりの2つ目の超広角レンズだが、既に防塵・防滴の超広角レンズが無いと書いてしまった。ただ、それでは話が終わってしまうので、防塵・防滴の条件を外して考えてみることにしよう。まず、私の求める超広角レンズとは何かを明確にしておきたい。135換算で21mmは当然のこと、18mmぐらいは当り前に欲しい。これはZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0を使っているから当然なのだが、同じく使っているコンパクトカメラのリコーのGX200もワイコン(ワイドコンバージョンレンズ)をつければ19mmになるのだ。使っている理由は私が主に撮るのが建築写真や風景写真だからだ。超広角のワイド感は撮っていて気持ちがよい。

• ミラーレスカメラでも超広角ズームレンズが少しずつではあるが発売されてきている。ソニーのNEXではSEL1018 (E 10-18mm F4 OSS)(135換算で15mm〜27mm相当)が昨年11月に、ニコンのNikon 1では1 NIKKOR VR 6.7-13mm f/3.5-5.6(135換算で18-35mm相当)が今年の3月に発売された。(ペンタックスのQやキヤノンのEOS Mには超広角ズームレンズはまだない)

• さて、マイクロフォーサーズはというと、大きく先行しているだけあってレンズは豊富である。オリンパスとパナソニックの2社が中心になって進めているが、サードパーティのレンズもあるのだ。とはいうものの、超広角ズームレンズはパナソニックのLUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH.とオリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6の2本しかない。単焦点魚眼レンズであるパナソニックのLUMIX G FISHEYE 8mm F3.5を含めても3本しかない。結局、超広角レンズはミラーレスカメラでは選択肢がほとんどない。困ったものである。各社からミラーレスカメラが出そろったというのに、まだまだ超広角の世界はマイナーなのだろうか。

• さて、これらのレンズを発売順に並べてみよう。

  メーカー	レンズ名	焦点距離 (135換算)	重量	大きさ	価格	発売	備考
  パナソニック	LUMIX G X VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH.	14-28mm	300g	φ70mm(固定フード部)×約83.1mm	124,950円 希望小売価格	2009/04/24	非防塵・防滴
  オリンパス	M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6	18-36mm	155g	φ56.5x49.5mm	74,550円 希望小売価格	2010/04/23
  パナソニック	LUMIX G FISHEYE 8mm F3.5	16mm 対角線魚眼	165g	φ60.7mm(固定フード部)×約51.7mm	99,750円 希望小売価格	2010/06/30
  ソニー	SEL1018 (E 10-18mm F4 OSS)	15-27mm	225g	φ70.0x63.5mm	99,750円 希望小売価格	2012/11/16
  ニコン	1 NIKKOR VR 6.7-13mm f/3.5-5.6	18-35mm	125g	φ56.5x46mm	74,550円 希望小売価格	2013/03/07

• この中から私が選ぶとすると、やはり、LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH.になるだろう。ただ、防塵・防滴ではないし、パナソニックのカメラボディには手ぶれ補正がついていない。必然的にオリンパスのカメラボディにつけることになるのだが、デジタル画像補正がキチンと効くのか不安である。デジタルカメラは従来のフィルムカメラと異なり、デジタル画像を電気的に記録する。その記録の際にレンズの収差などの光学的な補正情報をデジタル的に加味することが行われている。ただ、そのデジタル補正内容はメーカーのノウハウのため公開されていない。同じマイクロフォーサーズ規格の両社でもレンズ補正情報まで共有化しているのかは良くわからないのだ。これは心配な点である。

• そこで、CP+でオリンパスとパナソニック双方に確認したところ、双方とも「問題ありません」という回答だった。まあ、そう回答するしかないだろうなあ、と思ったが、両社とも「オリンパスのE-M5にパナソニックの12-35と35-100を付けている人がとても多い」と口を揃えていたことで、私も安心したというわけだ。余談だが、両社とも同じ認識を持っているということは、パナソニックはボディ内手ぶれ補正の重要性を認識しているということであり、オリンパスはF2.8などの明るいズームレンズの必要性を認識しているということでもある。事実、パナソニックからは「オリンパスさんの5軸対応手ぶれ補正ぐらいが必要ですか？」と逆に確認されたし、オリンパスからF2クラスの大口径ズームレンズの登場が噂されている。今後が楽しみである。

• さて、こだわりの最後の3つ目は強力なゴミ取りだ。ミラーレスカメラはイメージセンサーがむき出しになっている。そのため、レフレックスミラーで前をカバーされている一眼レフよりもゴミが付きやすいのだが、それをクリーニングできないと写真にゴミが写り続けてしまう。だから重要なのだが、この点ではマイクロフォーサーズしか選択肢がない。その理由は圧倒的な信頼感である。ダストリダクション機構はフォーサーズと共通のものなのだが、私は今まで一度として「写真のゴミ問題」に遭遇したことがないからだ。各社ともゴミ取り機構は開発し製品化しているが、まだフォーサーズ/マイクロフォーサーズのダストリダクションに大きなアドバンテージがあるようだ。

軽いカメラが欲しい(その2)

• さて、こだわりの1つ目の防塵・防滴を満たしているミラーレス・カメラボディはマイクロフォーサーズのオリンパス E-M5とパナソニックのDMC-GH3だけである。ソニーのNEXやニコンのNikon 1、キヤノンのEOS Mには防塵・防滴のカメラボディは存在しない。マイクロフォーサーズも防塵・防滴ボディが登場したのは昨年春からだ。今後は各社対応してくると思われるが、今はこの2台しかないのだ。比べてみよう。

  メーカー	カメラ	重量	大きさ	価格	備考
  オリンパス	E-M5	425g	W121×H89.6×D41.9mm	104,800円 （オンラインショップ）	5軸対応手ぶれ補正
  パナソニック	DMC-GH3	550g	W132.9×H93.4×D82.0mm	128,800円 （量販店価格、 ポイント10%別）	ボディ内手ぶれ補正なし

• 一応、防塵・防滴にこだわる理由を書いておこう。フィルムカメラの時代はそれほど防塵・防滴とは言われていなかった。それは、元々フィルムカメラは暗箱なので遮光のためにそこそこ密閉されていたことと、メカ部分がほとんどで、エレキ部分、つまり、水に弱い電子回路部分がそれほどなかったからだ。つまり、フィルムカメラは多少であれば、水に濡れても大丈夫だったのだ。もちろん、それなりに電子回路部分には防水対策はされていたし、マニュアルフォーカスレンズには電子回路自体が存在しなかったのだ。まあ、レンズの中にはチリやホコリが入ったし、雨の中で使うと水分が入って曇ってしまったりしたものだ。これに対してデジタルカメラはレンズも含めて電子回路の固まりである。それゆえ、水濡厳禁なのだ。雨が降ったらアタフタとカメラをしまうというのは辛い。特に最近はゲリラ豪雨のようにいきなり土砂降りということもあるからだ。そして、特に海外旅行などは天気を選べないのである。

• ただ、ボディだけでは写真は撮れない。当然ながらレンズが必要なのだが、防塵・防滴のレンズはまだ少ない。パナソニックで2本、オリンパスで2本の計4本しかないのだ。しかも、オリンパスのレンズは暗いズームとマクロレンズというちょっと意味不明のラインアップになっている。(苦笑)

  メーカー	レンズ名	焦点距離 (135換算)	重量	大きさ	価格	備考
  パナソニック	LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S.	24-70mm	305g	φ67.6mm×約73.8mm	124,950円 希望小売価格	防塵・防滴
  パナソニック	LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8 POWER O.I.S.	70-200mm	360g	φ67.4mm×約99.9mm	147,000円 希望小売価格
  オリンパス	M.ZUIKO DIGITAL ED 12-50mm F3.5-6.3 EZ	24-100mm	212g	φ57mmx83mm	47,500円 希望小売価格
  オリンパス	M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro	120mm	185g	φ56mmx82mm	59,500円 希望小売価格

• うーん。やはり厳しい。超広角レンズがないのだ。ただ、ここで時期尚早としてしまったら面白くない。これらのボディやレンズを中心にシステムを組んでいけば、そのうち小型軽量の防塵・防滴システムが完成するとしてもう少し考えてみよう。

軽いカメラが欲しい(その1)

• 昨年の遅い夏休みで8月末から9月頭にかけて2週間ほど欧州旅行に行ってきた。夏の電力需要のひっ迫を回避するための輪番夏休みと勤続XX年休暇の合わせ技だったのだが、カメラ機材の重さに辟易してしまった。E-5、7-14、12-60SWD、50-200SWD、1.4xテレコンを持っていったのだが、凄まじく重かった。結果として50-200SWDはほとんどホテルのセーフティーボックスに入れっぱなしになってしまった。歳はとりたくないものだ。

• 少し重さを見てみよう。

  今回の旅行用機材一式	焦点距離 (135換算)	重量	価格	備考
  E-5	-	892g	199,800円 （オンラインショップ）	防塵・防滴
  ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4.0	14-28mm	780g	236,000円 希望小売価格
  ZUIKO DIGITAL ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD	24-120mm	575g	119,000円 希望小売価格
  ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD	100-400mm	995g	140,000円 希望小売価格
  1.4x Teleconverter EC-14	マスターレンズの1.4倍	170g	56,000円 希望小売価格
  機材計		3,412g	750,800円
  カメラバッグ tamrac 5618		1,737g	25,800円 希望小売価格	内寸：W36×H29×D16cm 外寸：W44×H32×D21cm
  総合計		5,149g	776,600円

• 何とカメラ機材だけで3,412g、カメラバッグも加えると5,149gになってしまう。この歳で5kgオーバーはさすがに厳しい。移動時には加えてMacBookやガイドブックなどの重量も加わるのだ。これはもう……無理だ。何とか対策を考えなければならない。

• さて、カメラシステムを刷新するとなると慎重になってしまうのだが、選択肢は意外に少ない。小型軽量なシステムを組めるのはミラーレスのカメラだけだからだ。ただ、主に「女子カメラ」として販売しているミラーレスカメラが代替候補になるのかというと厳しい。確かに小型軽量なのだが、足りないものが多すぎるのだ。

• こだわりは人それぞれであるが、私がこだわっている点は3つある。1つ目は防塵・防滴、2つ目は超広角レンズ、そして、3つ目は強力なゴミ取りである。この3点をクリアできれば新しいカメラシステムに移行できるのではないかと思っている。