2007/10/8
デジタル一眼レフカメラの進化
さて、私が考えるデジタルカメラのメリットを書いてみたが、それ以前にカメラそのものが大きく進化している。私の使っているOM-4は20年以上前のカメラなので最近のデジタル一眼レフの進化には驚くべきものがある。それらも合わせて書いてみたい。
(1)重さ
- 昔の一眼レフシステムは重かった。昔は丈夫で軽量かつ安価な金属素材や頑丈なエンジニアリングプラスチックなどが無かったので、強度を確保するために重くなってしまったのである。今のデジタル一眼レフカメラは液晶やイメージセンサ、多くの電子部品の載った基板、充電池などを搭載しているにも関わらず、軽くなっているように思う。例えば、オリンパスの1世代前のE-500はOM-4よりも大きいが軽いのだ。OMシリーズは当時小型軽量とうたわれた一眼レフカメラだったのだが、それよりもはるかに軽い。
- さらに、レンズはもっと軽くなっている。まさかプラスチックレンズではないだろうに、オートフォーカス用のモータを内蔵しているし、ズームによる焦点距離や絞り値をカメラに送るためのCPUなども内蔵しているのにである。技術革新というか、素材革命は素晴らしい。まあ、欲を言えば、質感をともなっていないケースが多く、少し安っぽく感じるのは改善してほしいところではある。
(2)オートフォーカス
- OM-4はクラッシックカメラではないが、銀塩フィルム用の一眼レフの中では古い部類にはいる。それはオリンパスが早々に銀塩一眼レフカメラから撤退してしまったからで、他メーカの一眼レフでは当たり前のオートフォーカス機能がない。かつてミノルタカメラがα7000というオートフォーカス銀塩一眼レフを登場させた時には皆が「おもちゃ」と評したが、今では必須の機能になっている。これはオートフォーカス技術の進歩によって、ピント合わせが「自動でできる」から「高速にできる」ように進化したからである。
- 私は広角系のレンズを使うことが多く、ピントは無限遠が多いので、現状では必ずしもオートフォーカスを必要としていない。しかし、裏を返せば、私は望遠系のレンズでピントを素早く合わせることが苦手なのだ。望遠レンズは画角が狭く、動く被写体を追うことが難しい上、ピントの合う範囲が狭く、ピントが合わせづらい。望遠ズームだからダメなのか、と望遠単焦点レンズを使っても結果は思わしくなかった。画角、被写体、ピントの3つでも、被写体、ピントの2つでも私の手に余るということだ。
- 精度が高く、素早いオートフォーカスならば、私の写真の幅は広がるだろう。今までは「私には撮れない。フィルムの無駄」と思っていたものも撮れるようになるわけで、期待できるポイントである。
(3)フラッシュ内蔵
- OM-4にはフラッシュはついていないが、他社のデジタル一眼レフには当たり前についている。ついていないのはフラッグシップ機ぐらいだろう。確かにガイドナンバーで10ぐらいのおまけ的なフラッシュではどこまで役に立つかは疑問かもしれない。しかし、外付けフラッシュを毎日持ち歩くことを思えば、内蔵フラッシュはありがたい存在である。カメラの重量にもほとんど影響がなく、撮影のチャンスが増えるのである。
(4)手ぶれ補正
- 手ぶれ補正は新しい技術であるが、ほとんどのメーカで実現されている。これには望遠レンズに内蔵されている「レンズ内蔵型」とカメラボディに内蔵されている「ボディ内蔵型」と2種類あるが、なかなか強力のようだ。
- 手持ち撮影の場合には一般的に135サイズのカメラだと1/焦点距離(秒)が手ぶれ限界と言われている。50mm標準レンズなら1/50秒、200mm望遠レンズなら1/200秒が限界で、それ以上の遅いシャッタースピードなら手ぶれを起こす可能性が高いのだ。
- それを2段、3段分改善するわけだから効果は大きい。中には4段改善するものもあるようだ。4段なら、200mm望遠レンズの手持ち撮影限界が1/200秒から4/200秒、つまり、1/50秒にまで改善されるわけである。今まで重い三脚が必要だったケースでも手持ちで撮影できるわけで、写真の可能性が広がるのである。
- もちろん、手ぶれ補正の代わりにISO感度を上げれば同じような効果は得られる。しかし、改善されてきてはいるが、ISO感度を上げればノイズが増えてしまうので使い分けが必要だろう。いずれにしても、三脚を使わずに手持ちで撮れるということは、重くて大きい撮影機材を1つ持たずにすむわけで、写真の可能性を広げる選択肢として重要なファクターだろう。
(5)高性能レンズ
- レンズも驚くほど良くなっている。ズームレンズであっても驚くほどシャープである。私がレンズの革新に目を見張ったのはズイコーデジタル7〜14mm F4をE-300の発表会で触った時だった。このレンズは135フィルム換算で14〜28mmのズームレンズなのだが、このレンズをカメラにつけて覗いてみて驚いた。「本当に14mmですか?」これが私の第一声だった。フォーサーズ規格は135フィルムサイズに換算すると焦点距離が2倍になると知ってはいても、広角側では違うのではないかと思うほど歪まないのである。私は広角系のレンズが好きで、OM-4では単焦点の24mmを常用しているが、それよりも歪みが少ないのである。
- 冷静に考えてみるとOM-4は今から25年ほど前のカメラである。当然、レンズもその頃の技術で開発されているのである。実際にはOM-1(M-1)からOMマウントはスタートしているので、レンズによっては35年ほど前に製品化されたものである。当然ながらCAD/CAMなどは存在せず、設計者の勘と経験で設計されていたレンズとコンピュータ・シミュレーションなども簡単に行える最新のレンズでは性能が桁違いであっても当然だろう。
- 加えて良質なレンズ素材の登場や高度な加工技術などもレンズの高性能化に貢献している。非球面レンズなど今では当たり前のように使用されているし、ローエンドのレンズにもEDレンズなどと呼ばれる良質なレンズが使われている。レンズのコーティング技術も進歩しており、昔はマルチコートを素晴らしいと言っていたのに、今ではナノクリスタルコートなる驚くようなコーティングすらある。
- というわけで、昔はズームレンズは便利だが描写が甘い、などと言われたものだが、今のズームレンズの描写力は昔の単焦点レンズを軽く上回っているのである。もちろん、現在の同じ技術で作ればズームレンズより単焦点レンズの方がシンプルなので高性能なのは当然ではある。とはいうものの、私はズームレンズで充分だと思っている。昔は「ずぼらレンズ」と言われたズームレンズだが手軽で悪いことは何もないからだ。
- ちなみに、私がOM-4に24mmの単焦点レンズをつけているのは当時のズイコーレンズに超広角ズームレンズがなかったからである。28mm〜48mmというレンズが唯一あった広角ズームレンズであり、超広角ズームレンズなどつくれなかったのだ。
(6)防塵防滴
- カメラというのはいろいろな場所で使うものであり、ホコリや水分と無縁ではない。実はOM-4は主要部分にはOリングが入っていてある程度は防滴仕様になっていたはずだ。しかし、ズイコーレンズはそうではない。結果として、私の使ってきたOM-4のファインダやレンズには内部にチリやホコリが入ってしまっている。クローズドなカメラならまだしも、レンズ交換を行う一眼レフには「防塵防滴」は必須だろう。
- 加えて、今のカメラはメカニカルな機械というより電子部品の固まりであり、水には非常に弱い。この水には雨などの水滴はもちろんだが、特に冬場などに起こる温度差による結露も含まれるのだ。いろいろな防水ツールがあるが、カメラやレンズ自身が防塵防滴であるに越したことはないだろう。