1999/10/13
アップル新製品の第一印象(その4:iMac DV)
- 第一印象はデザインが洗練されたというものだった。安っぽいスピーカも良くなり、CD-ROM・DVD-ROM の挿入口がスロットイン方式になり薄くなったのが効果的だ。Special Edition のグラファイトカラーもなかなか良い。まあ、私は透けて見えるデザインは嫌いなのだが、一般的には売れるだろうと思われる。
- アップルはインターネットの次のターゲットを Audio & Visual に求めたようだ。これは別にアップルが始めて目指したものではない。ソニーが最初に VAIO で製品化している。アップルも Power Macintosh G3 に DVD-ROM モデルを提供し、FireWire を標準搭載してきた。しかし、今回は iMac に AV機能を標準搭載してきたところに大きな意味がある。Pro モデルではなく、Consumer モデルに DVD-ROM ドライブと FireWire ポートを標準搭載したということはそれを普及させようという意志を明確にしたということだ。このようなモデルはソニーにもない。
- しかし、アップルが最初かというとそうでもない。タッチの差だが松下電器が WiLL PC なるものを先日発表している。発売日は iMac DV の方が早いのだがエレクトロニクスショーの日程が幸いしたようだ。10月5日からのショーへの出展にあわせて発表したため iMac DV に先駆けた発表となったというわけだ。DVD-ROM ドライブを搭載し、i.LINK(FireWire)ポートを2つ装備したマシンでスタイリッシュな一体型モデルだ。松下電器は「真似した電器」なので私は嫌いなのだがパソコンだけは一目置いている。明確なポリシーを持ってつくっているのが良くわかるからだ。まあ、余談である。残念ながら WiLL PC は売れるマシンではない。独身女性をターゲットにしただけあって値段が高いのだ。彼女達は20万円台後半の価格でも購入できるだけの十分なお金を持っているというわけだ。松下電器も実験的な位置づけで製品化したと思われる。それは WiLL PC というブランド名にもあらわれている。詳しく知りたい方は松下電器の WiLL PC のホームページを見てみて欲しい。ホームページもなかなか気合が入っている。
- さて、話を戻そう。アップルは同じコンセプトを普及価格帯で提供する。これで大ヒットは約束されたようなものだ。148,000円という価格は魅力的だ。ポスト DVD プレーヤは PlayStation 2 と言われてきたが、iMac DV になるかもしれない。パソコンは Personal Computer であり自分のものだから好きな時に使うことができる。テレビのチャネルは一人暮らしでない限りまだ自由にならないものだ。テレビに寄生する機器はテレビが誰にでも使える機器であることが災いすることを肝に銘じなければならない。
- また、アップルがついに 1,000$ パソコンを登場させた。DVD-ROM ドライブや FireWire ポートは搭載しないが今までの iMac の能力はそのまま継承している。さらに新しいサウンドシステムやグラフィックチップまで追加して機能強化されても 1,000$ 以下を実現したのは素晴らしい。逆にアップルに利益がでるのか心配になるほどだ。他社の 1,000$ パソコンは機能を削ぎ落として 1,000$ を実現しているのに何と強気なことか。
- 製品ラインアップが増えたと批判する記事を見たが、今頃指摘するなど遅すぎる。5色になった時には諸手を上げて歓迎しておいて今さら何を書いているのか。一度5色にしてしまったら安易に色数を減らせないのだ。iMac、iMac DV と2系列になるのは先にも書いたように意味がある。iMac DV Special Edition は試験的な試みだろう。iMac DV に単にグラファイトカラーを追加すれば良かったのだろうが、高級感を演出したかったのだろう。Pro モデルのカラーがグラファイトだとイメージ付けしたかったと思われる。もしかしたら、色数削減の布石かもしれない。グラファイトカラーがたくさん売れればブルーベリー、タンジェリン、グラファイトの3色に色数を削減できるかもしれない。このモデルは日本では数多く売れるだろうが他の国では売れないような気もする。高機能モデルやスペシャルモデル、限定モデルに異常なほどに興味を示すのは不景気でもバブリーな日本人ぐらいなものだからだ。
- 他のスペックも見てみよう。システムバスは100MHzになり、冷却ファンが廃止され静かになった。Power Macintosh G4 同様に AirPort にも対応している。私が一番気に入ったのは標準メモリが64MBになり、さらにユーザが自分で簡単にメモリを増設できるようになったことだ。以前の Macintosh Perfoma に比べて iMac は拡張性を切り捨ててきた。Maintosh Plus の時代に戻ったようだった。ようやく最低限の拡張性を認めたと言うところだろうか。ただ、外部モニタポートが何の役にたつのか私にはわからない。ミラーリングしかできないのであればメリットは少ないように思えるのだが、何か裏技があるのだろうか。余計なコストはかけない方が良いと思う。
- これだけのパソコンがこの価格で買えるようになったのだから驚きだ。私の Power Macintosh G3 DT 266MHz などよりはるかに高性能なのに安いのだから……