PHOTO EXPO Tokyo 2002 Report
最終更新 2002/05/12
このページにはPHOTO EXPO Tokyo 2002についての個人的なレポートを掲載しています。
この情報はあくまでも私個人の感じたレポートです。これが絶対正しいとは限りません。みなさん個人の価値観で判断して下さい。
また、ほめたり、苦言を呈したりしていますが、何ら利害関係はありません。
概要
- 2002年3月22日〜24日にPHOTO EXPOが開催されました。日本カメラショーと写真・映像用品ショーを合わせてPHOTO EXPOと呼んでいます。 東京地区では昨年から会場を東京ビックサイトに移して開催されました。この後に大阪、名古屋で順次開催されます。
- 一昨年からデジタルカメラ中心に変わってきているPHOTO EXPOですが、今年もそれは変わりませんでした。オリンパス光学工業が銀塩一眼レフカメラから撤退したこともあり、デジタルカメラ中心がさらに印象に残りました。また、APSも規格を作ったメーカである富士写真フイルム、イーストマン・コダック、キヤノン、ニコン、ミノルタ以外はライセンス料を払っているわけですが、景気が悪いこともあってライセンス料が負担になってきているようです。APSの普及が進んでいれば良いのですが、それほどでもないようで販売が思うようにいかないようです。そのため、コニカやオリンパス光学工業、ミノルタなどAPSから撤退しつつある企業が増えており新製品が寂しい状況でした。
- 今年はMacworld/Tokyoとほぼ同時開催だったので私には両方見れて良かったのですが、どうしてもPHOTO EXPOは中途半端になってしまいました。PHOTO EXPOの最終日はMacworldと重なっていなかったので、その日にじっくり見れば良かったのですが、さすがに3日連続でMacworld/Tokyoを見て回ったため疲れており、あきらめました。そのため、レポートも持ち帰ったカタログなどからの情報によって構成しているので中途半端です。ご了承ください。
デジタルカメラについて
- 昨年は400万画素には移行せずに300万画素がメインだったのですが、今年は400万画素にシフトしてきていました。一般モデルに400万画素CCDが採用されており、ようやく画像処理技術もCCDの画素数に追いついてきたようです。また、CCDの歩留まりが向上しているのでしょう、価格的にも従来の300万画素モデルと同程度に押さえられています。
- また、500万画素モデルが登場しています。ただ、昨年の400万画素モデルと同様にフラッグシップモデルに留まっています。入門用の200万画素モデル、従来の一般用の300万画素モデルも生き残っており、機能的にも価格的にもバリエーションが揃っています。
- 最近は携帯電話でデジタル写真が撮れてメールで送れるようになっています。画素数としては10万画素から20万画素程度しかないのですが、携帯電話の画面で見るだけなら十分です。このカテゴリーは「フィルム型カメラ」というより「プリクラ」と競合するのではと思いますが、デジタルカメラ陣営としても静観できないところでしょう。
デジタルカメラの老舗のメーカを中心にまとめてみましょう
- オリンパス光学工業
- デジタルカメラメーカのトップ企業の1社です。まだデジタルカメラ市場は形成途上なのでシェアは大きく変動していますが、必ずトップ3に入っています。ただ、デジタルカメラの価格競争のあおりを受けて採算が悪化しているそうで、マニュアル一眼レフであるOMシリーズを生産中止にしてしまいました。私はOM-4のユーザなので大いに慌ててしまいました。日本の景気自体が悪いのですが、成長市場であるはずのデジタルカメラのトップメーカがこういう状況では心配になってしまいます。
- さて、オリンパス光学工業はフラッグシップモデルのE-10をバージョンアップし、500万画素のE-20として投入していました。ただ、やはり15万円程度の価格は庶民には高嶺の花です。また、製品ラインアップを大幅に整理したためモデル数が激減していました。まあ、同じような製品が何モデルもあるのは無駄なので当然でしょう。成長過程のマーケットではよくあることですが試行錯誤が必要なのです。
- E-20は一眼レフですが、レンズ交換ができません。オリンパス光学工業はマニュアル一眼レフから撤退したので銀塩カメラでもレンズ交換ができるカメラはなくなってしまいました。L-5というオートフォーカス一眼レフが新発売されたのですが、これも他のLシリーズと同じでレンズは交換できません。最近はズームレンズの性能が上がったのでレンズ交換の頻度は減っているのでしょうが、寂しい感じがします。
- ただ、オリンパス光学工業を始め、イーストマン・コダック、富士写真フイルム、松下電器産業はデジタルカメラの一眼レフ規格を統一するそうです。これが実現するとレンズ交換式のデジタル一眼レフカメラが登場しやすくなります。やはり、システムカメラを開発するのは多くのリソースが必要なのです。こういう協力がなければキヤノンとニコン以外のレンズ交換式一眼レフは消滅してしまうでしょう。今は日本で他にミノルタと旭光学工業、シグマの3社が残っているわけですが過去の遺産に依存している面が強く、非常に厳しい状況です。
- ニコン
- ニコンはトップクラスのカメラメーカなのですが、デジタルカメラでは出遅れています。マスコミのカメラマンに大ウケしたCOOLPIX950の後はヒットがありません。
- ただ、今年はCOOLPIX5000とCOOLPIX2500を投入してきました。500万画素モデルの無骨なデザインのCOOLPIX 5000は15万円と高価なものです。ただ、一眼レフでもなく、レンズ交換もできません。D1X、D1Hというフラッグシップモデルがあるのですから位置づけがあいまいです。
- ニコンのデジタルカメラには3つのグループがあるようで、プロ用のD1X、D1Hとレンズが回転しないCOOLPIX885、COOLPIX775というシリーズ、そして、レンズの回転するCOOLPIX 995のシリーズがあります。おそらくはレンズが回転しないCOOLPIX885、COOLPIX775というシリーズの最上位モデルという位置づけなのでしょう。
- 200万画素のCOOLPIX2500はレンズの回転するCOOLPIX995のシリーズのローエンド版というところでしょうか。ただ、デザインを重視したため、レンズの回転範囲が大きく狭められてしまったのは残念です。
- また、この時は参考出品だったのですがD100というデジタル一眼レフモデルが30万円で発売されるようです。キヤノンのEOS D60も33万円ですから、新たにプロとハイ・アマチュアの間に30万円クラスのレンズ交換式一眼レフデジタルカメラのカテゴリを形成しようという動きがあるようです。
- 富士写真フィルム
- デジタルカメラのトップメーカの1社ですが、きょう体のデザインがしっくりこないので私は好きではありません。縦長のデザインは持ちづらいと思うのですが、富士写真フイルムもわかってきたようです。FinePix4500のようなコンパクトカメラ的なモデルやFinePix50iのようなレンズバリア式のモデルを増やしてきました。
- 一眼レフタイプのモデルもFinePix6900Zにバージョンアップし310万画素になりました。スーパーCCDハニカムなので「500万画素相当」なのでしょうか。FinePixのフラッグシップモデルなのですが、独自仕様ではカタログスペック上の低画素というイメージを払拭するのは厳しいかもしれません。
- 富士写真フィルムもデジタルカメラの採算は良くないようで、藤原紀香を使った派手なTVコマーシャルも見なくなって久しいですね。
- リコー
- 老舗の一つのリコーは独自展開をしています。普通に勝負してもトップ企業に勝てないのを良く知っているのでしょう。また、デザイン的にも他社と一線を画しています。好き嫌いが分かれるところですが、私は嫌いではありません。一眼レフタイプではないデジタルカメラは液晶モニタを見ながら撮影することが多いのですが、その液晶モニタが自由に動くデザインはファンには支持されているようです。実は私もリコーのRDC-i500のユーザです。
- リコーもCaplio RR1という400万画素モデルを投入してきましたが、他社よりも開発スピードは遅いようで大きく出遅れました。デジタルカメラ市場も消耗戦の段階に入りました。家電メーカなどが本格参入してきている状況では老舗といってもリコーが生き残るのは厳しいようです。
- また、リコーはCaplioというブランドを作ってきました。確かにオリンパス光学工業はCAMEDIA、富士写真フイルムはFinePix、ソニーはCyber Shot、ニコンはCOOLPIXというブランド名を持っています。ただ、今さらということと、エプソンのカラリオに似ているので良いイメージはないような気がします。コンピュータ雑誌での広告数も少なく、TVコマーシャルなどもほとんどないので新しいブランドを作って何がしたいのかよくわかりません。
- また、そろそろ試行錯誤も終わりにして欲しいと思うのですが、記録メディアが未だに定まらないのも困ったところです。Caplio RR1はスマートメディアですが、RDC-i500はコンパクトフラッシュです。RDC-i700はそれらが両方使えるのですが、Caplio RR10という入門用の200万画素モデルはSDメモリカードだったりします。これでは買い換えの時に過去の資産が生かせないので他社モデルに流れてしまうかもしれません。もう少し頑張って欲しいと思います。
- キヤノン
- キヤノンはデジタルカメラへの参入が遅く、大きく出遅れていたのですが、あっという間に追いついてしまいました。さすがとしか言いようがありません。スタイル重視のIXY DIGITALシリーズは好評で、サッカーの中田英寿を起用したTVコマーシャルによって大きく販売台数を伸ばしたようです。今ではデジタルカメラのトップ3の一角に食い込んできつつあります。
- キヤノンのデジタルカメラにはPowerShotシリーズがあり、400万画素モデルも投入しています。さらに、銀塩カメラのEOSシリーズのデジタル版であるEOS-1Dは415万画素モデルですし、EOS D60は630万画素のCMOSセンサーを使っています。これから楽しみなデジタルカメラメーカと言えるでしょう。
その他のデジタルカメラについて
- 概要
- 銀塩カメラメーカには大きく2つのグループがありました。一眼レフのキヤノン、ニコン、ミノルタ、オリンパス光学工業、旭光学工業の5社とコンパクトカメラのコニカ、富士写真フィルム、リコーです。今となってはこの区分は無意味になっているのですが、デジタルカメラについても同じく勢力図は全く異なっていました。
- ただ、ようやくですが、昨年ぐらいから銀塩カメラからデジタルカメラへのシフトを始めているメーカもあるようです。これはAPSカメラの不振が引き金になっているのでしょうが、興味深いところです。私は昨年までは今さら……とネガティブに見ていたのですが、キヤノンの成功によって「まだ十分に間に合う」と認識を新たにしました。そこで、簡単ですがメモ程度に書いておきます。
- ミノルタ
- ミノルタは早くからデジタルカメラに進出していましたが、販売不振で撤退していました。Macworldにも出展しておりPRを積極的にしていたのですが、市場が立ち上げるまで我慢しきれなかったようです。もちろん、銀塩カメラとデジタルカメラは全く別物ですから技術的な課題もあったのかもしれません。
- ただ、昨年から当時のDimageブランドで新モデルを発売しています。ただ、コンパクトカメラモデルと高価なプロ用のレンズ交換式一眼レフモデルでとても売れるとは思えないものだったので気にもとめていませんでした。しかし、昨年Dimage 5、Dimage 7という一眼レフモデルを投入してから売れ始めているようです。レンズは交換できないものの、300万画素、500万画素のという高画質モデルで価格も128,000円、165,000円と戦略的な価格をつけたからでしょう。
- 今年はDimage 7iというマイナーチェンジモデルに加えて世界最薄20mmというスリムなコンパクトカメラモデルであるDimage Xを投入してきました。ラインアップも他社並にバリエーションが揃い、一人前のデジタルカメラメーカになったと言えるでしょう。
- コニカ
- コニカは今年になってDigital Revioというブランドでデジタルカメラ市場に本格参入してきました。KD-300Zは300万画素、KD-200Zは200万画素のコンパクトカメラモデルです。昨年から投入していた30万画素のMP3などとの複合モデルなどもあります。
- これだけでは全くの未知数ではありますが、銀塩コンパクトカメラのトップメーカですから今後が楽しみです。
- 旭光学工業
- 先に述べたメーカの中で唯一デジタルカメラに進出していないメーカです。PENTAXブランドは多くのファンを持っているのですが、今後が気になるところです。
銀塩カメラについて
- 今年の一眼レフカメラにも「新製品」が少なかったようです。完全にデジタルカメラに主力が移ったということでしょう。ただ、ニコンが入門用一眼レフであるNikon Uを改良してNikon USとして発表していたようです。じっくり見ている時間がなかったので詳しくは書けないのですが、コンパクトカメラでも新製品があまりなかったように思います。
- これから銀塩カメラは厳しくなっていくでしょう。それにつれて大手ショップ以外の街の写真屋さんが店じまいするようになるのではと思います。残念ながらこのままでは銀塩のカメラは一部のマニアのものでしかなくなってしまうようです。それほど新製品が少なく、危機的状況に見えました。
- デジタルカメラのプリントがあるから街の写真屋さんは生き残れるだろうと考える人もいるかもしれません。しかし、デジタルカメラのプリント規格であるDPOF(Digital Print Order Fomat)やExif 2.2(Exchangeable Image File Format 2.2)は決まったのですが、それに対応する装置を購入する金銭的な余裕が街の写真屋さんにあるかというとそうでもないようです。「写真画質」のインクジェットプリンターも安く買えるようになりました。写真業界は大きな転換点に立たされているわけです。どうやって生き残りをはかるのでしょうか。
- 確かにデジタルカメラは簡単に写真を楽しめます。しかし、実際にはパソコンやプリンタが必要なのです。始めるのには敷居が高いかもしれません。今のデジタルカメラユーザはほぼ100%パソコンユーザです。それ以外のユーザをどうやって開拓するかがポイントかもしれません。
- 写真の同時プリント価格は安くなり、ほとんど現像代のみになっています。しかし、安かろう悪かろうで、自動制御されたプリントは露出が平均化されてしまって思った通りにプリントされません。しかし、リバーサルフィルムはまだ高価で、自分の意志をこめられるスライドで写真を楽しむユーザは多くないようです。しかし、ここで価格破壊が起これば状況は変わるはずです。
- また、アジアや東欧などパソコンが家庭にそれほど普及していないマーケットではデジタルカメラより銀塩カメラが好まれるはずです。時代の流れと言ってあきらめるのは簡単ですが、まだまだ銀塩カメラにも生き残る余地がありそうです。
家電メーカについて
- 最近のデジタルカメラは家電メーカの方が元気が良いようです。彼らにはDVカム(デジタルビデオカメラ)のノウハウがあるからでしょうか。後発でも今や中心的な存在になりつつあります。カメラショーなので参加は難しいのかもしれませんが、これからに期待したいところです。
- Cyber Shotのソニーはもちろん、iD shotの三洋電機、LUMIXの松下電器産業などが楽しみです。
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