PHOTO EXPO Tokyo 2001 Report
最終更新 2001/05/11
このページにはPHOTO EXPO Tokyo 2001についての個人的なレポートを掲載しています。
この情報はあくまでも私個人の感じたレポートです。これが絶対正しいとは限りません。みなさん個人の価値観で判断して下さい。
また、ほめたり、苦言を呈したりしていますが、何ら利害関係はありません。
概要
- 2001年3月23日〜25日にPHOTO EXPOが開催されました。日本カメラショーと写真・映像用品ショーを合わせてPHOTO EXPOと呼んでいます。 東京地区では今年から会場を東京ビックサイトに移して開催されました。この後に大阪、名古屋で順次開催されます。
- 東京ビッグサイトの西館に会場が変わったため、多少会場が広くなった気がします。1フロアになったのでエスカレータや階段で移動することもなくなりました。私の住まいからはちょっと遠くなりましたが、会場の利便性はかなり向上しています。
- 昨年からデジタルカメラ中心に変わってきているPHOTO EXPOですが、今年もそれは変わりませんでした。銀塩カメラはマニアのものになりつつあります。高価なマニュアル一眼レフカメラやコンパクトカメラが売れているようですが、販売台数的には少ないものです。数年前から登場している初心者にも使いやすいAPSは影が薄くなってしまっています。
デジタルカメラについて
- 昨年は300万画素だったので、今年は400万画素かと思っていたのですが、300万画素カメラが主流です。技術的には400万画素も可能で、一部には400万画素カメラも登場していますが高価なものです。やはり、技術的に可能であるということと安く生産できるということは違うようです。ものづくりの得意な日本の技術をもってしても毎年100万画素ずつ性能を向上させるのは難しいということです。400万画素の一般モデルは来年以降に持ち越しということです。
- また、もう一つ技術的な課題があります。あくまでもCCDは画像をとらえる部分でしかありません。その画像をデータ処理してメモりに書き込まなければ撮影は完了しないのです。そのデータ処理技術の進化スピードもゆるやかになっています。一般にはJPEG圧縮やメモリ書き込みと呼ばれる部分ですが、画素数が上がればデータ量は膨大に増えるので処理時間が増えてしまいます。1枚撮影するのに5秒もかかっていたらカメラとしては使い物にはならないのです。
- とはいえ、カメラメーカも同じ製品を続けて販売するわけにもいかないので、いろいろ手を加えています。200万画素モデルに手を加えて発売しています。つまり、入門モデルが100万画素から200万画素にレベルアップしているわけです。また、「おもちゃ」的な40万画素モデルも多数発売されています。これらは価格的には1万円でお釣りがくるぐらい安いのですが、用途を限れば充分に使えるものです。ただ、残念ながら、ここは「カメラショー」なので出展はされていませんでした。「おもちゃショー」などには出展されているようです。
デジタルカメラの老舗のメーカを中心にまとめてみましょう
- オリンパス光学工業
- デジタルカメラメーカのトップ企業の1社です。まだデジタルカメラ市場は形成途上なのでシェアは大きく変動していますが、必ずトップ3に入っています。
- オリンパス光学工業はカメラメーカの中でも異色の企業です。このデジタルカメラにおいてもひと味違った動きをしているようです。他社に先駆けてE-10という400万画素モデルを世に送り出しています。もちろん、プロ用モデルでは早くから登場していましたが、コンシューマ・モデルでは初めてです。これは200万画素モデルであるC-2500Lの後継になるモデルですが、全くの新設計になっているようです。ただ、プロ用モデルよりはるかに安いのですが、15万円程度の価格は庶民には高嶺の花です。デジタルカメラのトップ企業としてのフラッグシップモデルという意味合いの方が強いのかもしれません。
- また、過去のモデルをブラッシュアップして「改良新発売」しているなか、C-1というお手軽モデルも発売しています。これは100万画素でズームもついていないシンプルなモデルですが3万円程度で購入できるようです。「フィルム型カメラ」に変わる21世紀のカメラとしてのポジションを狙っているのでしょうか。
- さらに、E-100RSという速写性を極めたモデルも発売しています。15コマ/秒の速写性は銀塩カメラを上回るものです。光学10倍ズームと手ぶれ補正機能を搭載しています。また、オリンパスにはめずらしくコンパクトフラッシュ・カードにも対応しています。(もちろんスマートメディア・カードにも対応しています)ただ、マイクロドライブには非対応です。
- C-700Ultra Zoomというモデルも登場しました。200万画素ですが、光学10倍ズームモデルです。E-100RSは高価なモデルで10万円以上しますが、このモデルは価格的にも安く設定されています。ただ、手ぶれ補正機能は省略されています。ちょっとデザイン的には安っぽいのが残念です。
- ニコン
- ニコンはトップクラスのカメラメーカなのですが、デジタルカメラでは出遅れています。マスコミ・カメラマンに大ウケしたCOOLPIX 950の後はヒットがありません。
- 今回も新製品は発表されず、銀塩カメラを中心とした展示でした。経営陣の頭が固いのか、デジタル技術の開発力が弱いのか、心配になってしまいます。東京でのPHOTO EXPOが終わった後でCOOLPIX 995という300万画素のブラッシュアップモデルが発表されていますが、発売は6月のようです。もう少し頑張ってほしいと思います。
- ただ、プロ用モデルではD1シリーズのブラッシュアップであるD1H、D1Xが発表されています。しかし、高嶺の花ですので特に興味はありません。
- ちなみに今回ニコンが力を入れていたのはNikon Uという初心者向けの一眼レフカメラでした。キャノンでいうとEOS Kiss、ミノルタでいうとα-Sweetにあたるようなモデルです。各社がとっくに揃えているモデルを今頃投入してくるというのは……。ちょっと危ないですね。
- 富士写真フィルム
- デジタルカメラのトップメーカの1社ですが、私は好きではありません。そのため、詳しく見ていません。きょう体のデザインがしっくりこないのです。デジタルカメラであってもカメラなのですから、突飛なデザインは避けた方が良いと思うのですが、富士写真フィルムのデザイナーにはわからないようです。持ちづらく、手の置き場に困ってしまうのです。
- オリンパス光学工業と同じく、FinePix4900Zというコンシューマ向けの400万画素モデルなども出してはいるのですが、スーパーCCDハニカムなので、実際には240万画素であり「400万画素相当」でしかありません。他社がスーパーCCDハニカムを採用すれば別ですが、独自仕様ではこの低画素というイメージを払拭するのは厳しいかもしれません。
- このFinePix4900Zは一眼レフタイプのモデルでありデザイン的には好きなのですが、それ以外のモデルはよくわかりません。まあ、これは「好き嫌い」の問題なので熱烈なFinePixファンが多いのも確かです。
- リコー
- 老舗の一つのリコーは独自展開をしています。普通に勝負してもトップ企業に勝てないのを良く知っているのでしょう。また、デザイン的にも他社と一線を画しています。好き嫌いが分かれるところですが、私は嫌いではありません。一眼レフタイプではないデジタルカメラは液晶モニタを見ながら撮影することが多いのです。その液晶モニタが自由に動くデザインはファンには支持されているようです。
- さて、昨年は出遅れていたのですが、今年は300万画素モデルを3モデル揃えてきました。特にRDC-i500やRDC-i700はコンパクトフラッシュ・カードスロットにP-in Conp@ctなどを挿すことで通信機能をサポートしています。また、RDC-7sは300万画素モデルですが、疑似700万画素モードを持っています。このあたりのユニークさは他社も見習ってほしいところです。画素競争も終わりつつあり、各社差別化を図らなければならないのですから。
- ただ、どちらにしても影が薄く、パソコンショップでの展示も少ないメーカの1社であることには違いはありません。老舗のカメラメーカではあるのですが、最近はOA機器メーカになっておりカメラ分野にはリソースを投入できないのでしょうか。もう少し頑張ってもらいたいところです。
- これを読んで、なぜカシオやエプソンが載っていないのにリコーが載っているのかと不思議に思う方もいるかもしれません。簡単に書くならば「それだけ思い入れがある」ということです。私が初めて使ったデジタルカメラが会社の備品だったリコーのDC-1だったことも影響しているのだと思います。
- キヤノン
- 昨年のレポートで、「ニコンと並ぶ銀塩カメラのトップメーカであるキヤノンはデジタルカメラで大きく出遅れました。既にデジタルカメラ市場ではオリンパス光学工業、富士写真フィルム、ニコンの3社が大きなシェアを持っています。キヤノンには技術力があるので「真似した電器」と同じく、後追いで一気に抜き去る戦略を選んだようですが苦戦しています。」「売り物が「スタイル」だけではインパクトに欠けます。」と書いたのですが、かなり追い上げてきています。スタイル重視のIXY DIGITALも好評のようです。さらに、300万画素のPower Shotシリーズも発売しています。
- 昨年のレポートで「実績がないと新規に参入しても厳しい」というような事を書いたのですが、そうではなかったようです。まだデジタルカメラ市場は形成途中であり新規参入の可能性が残っていたわけです。そして、私はアナログカメラのブランドイメージは通用しないと思っていたのですが、IXYというイメージは十分に通じたわけです。デジタルカメラはある意味で「フィルム型カメラ」に通じるところがあります。写れば良いというのであればカメラのデザインだけで売れてしまうのかもしれません。「写りぐあい」などどうでも良いのです。私の認識は大きくズレていたようです。(もちろん、IXY DIGITALの画質はモデルチェンジをするうちにかなり良くなっているようです)
普通のカメラについて
- 今年の一眼レフカメラにも「新製品」が少なかったようです。完全にデジタルカメラに主力が移ったということでしょう。ただ、デジタルカメラに参入していない旭光学工業はMZ-Sなる一眼レフカメラを発表していました。参考出品ではありますが、頑張ってほしいものです。
- また、ニコンがマニュアル一眼レフであるNikon FM3Aを発表しています。発売は7月だそうです。銀塩カメラは生き残り策を模索しているのですが、先のNikon Uのような初心者にも簡単に使えるオートフォーカス全自動一眼レフと完全なプロ仕様モデルだけでは弱いようです。これらに加えてアマチュア向けのマニュアル一眼レフにも力を入れてきています。
- ここ3年ほど、「写真部」的な写真の楽しみ方をする人が増えてきており、モノクロフィルムが売れたり、マニュアル一眼レフが売れたりしているのです。露出もピントも自分で合わせて写真を撮るのがおもしろいようです。「写って当たり前」から「自力でうまく写す」にポイントが移っているのです。
- これはホームページ作成用ソフトを使っていた人が、エディタでHTMLを書くようなイメージに近いと思いますが、複雑な気分です。Nikon FM3Aもそうですが、各社のマニュアル一眼レフは非常に高価なのです。写真の原点に戻るには高いお金を払わないといけないようです。以前はお手軽な価格のマニュアル一眼レフもあったのですが……。数が売れないので仕方ないとはいえ、寂しいものです。私もマニュアル一眼レフのユーザーであり、エディタでHTMLを書いているのです。
- 時代の流れは「自動化」「簡易化」の方向に進んでいますが、それに比例して「自分の意志をこめる」ことができなくなっています。つまり、プログラムされたことしかできなくなっているのです。このマニュアル一眼レフへの回帰はそれに対する反動だと思います。これらの2面が相反しないように実現できれば良いのですが、難しいようです。本来は相反するものではないのですが、「自動化」や「簡易化」を実現するプログラムに問題があるためにそうなってしまいます。いかに人間の普通の思考に近い形のプログラムを作れるかがポイントですが、「人間」にもいろいろありますから……。初心者もいればプロもいるのです。どうすれば、各自に最適なプログラムが作れるのでしょうか。これはカメラだけに限らない、21世紀の製品全ての大きな課題だと思います。
家電メーカについて
- 昨年と同じく、ソニーは出展していませんでした。まあ、カメラショーですから当然かもしれません。しかし、三洋電機は出展してきました。今年はiD shotという730MBの小型MOを記録媒体に採用したデジタルカメラを発売しています。一般消費者にとっては「後発」メーカなので差別化を図っているというわけです。ただ、100万画素クラスのモデルであるのがちょっと残念です。
- ただ、日本写真機工業会のパンフレットにも三洋電機のページがあります。今後は業界の相互乗り入れが進み、家電メーカでも出典してくる可能性が出てきています。
[Expo Report Top]
[Macintosh 雑記帳のトップページ]
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そんなにたいしたページではありませんが…(^^;)
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