PHOTO EXPO Tokyo 2000 Report
最終更新 2000/03/20
このページには PHOTO EXPO Tokyo 2000 についての個人的なレポートを掲載しています。
この情報はあくまでも私個人の感じたレポートです。これが絶対正しいとは限りません。みなさん個人の価値観で判断して下さい。
また、ほめたり、苦言を呈したりしていますが、何ら利害関係はありません。
概要
- 2000年3月3日〜5日に PHOTO EXPO が開催されました。日本カメラショーと写真・映像用品ショーを合わせて PHOTO EXPO と呼んでいます。 東京地区では毎年池袋サンシャインの文化会館とワールドインポートマートで開催されました。この後に大阪、名古屋で順次開催されます。
- 来年からは東京ビッグサイトで開催されることになるそうです。会場が広くなるのでしょう。フロアを移動したりすることもなくなるはずです。楽しみです。私の住まいからはちょっと遠くなりますが、まあ良いでしょう。カメラ小僧が多くて身動きできないよりは良いでしょうから。
- 今年はデジタルカメラ中心でした。昨年からデジタルカメラが増えてきていたのですが完全に逆転していました。銀塩カメラはAPSに移行するなどして生き残りをはかっていたのですが、結果的に「写るんです」のような「フィルム型カメラ」に駆逐されようとしています。時代の移り変わりは予想以上に早いですね。
- 余談ですが、携帯電話やPHSの短期間の買い替えもそうですが、こういう「使い捨て文化」はそのうち大きなツケを我々に支払わせることになるでしょう。リサイクルをいくら進めても本質が変わらなければ同じことです。「フィルム型カメラ」をリサイクルしたら解決するということではないのです。
- 話が脱線しました。カメラメーカの生き残りの最後の砦がデジタルカメラになっているようです。もちろん、既に彼らは半導体製造装置や医療機器、パソコン周辺機器、OA機器などに活路を見い出しているわけですが、「カメラ」で再び戦いをしようとしているわけです。
300万画素デジタルカメラについて
- 昨年は200万画素だったのに、もう300万画素です。メガピクセル機と呼ばれた100万画素モデルは入門機になってしまいました。技術の進歩は早いものです。そして、価格は200万画素と変わらないのです。何ということでしょう。デジタルカメラメーカは消耗戦に突入してしまったようです。このままではほとんど利益をあげられないまま撤退するメーカが何社かでてくると思われます。新しい市場が見つかると我れ先に参入し、参入しないと不安になり、右に習えで皆で参入し、価格競争で互いの首を締め、脱落していく。日本企業の悪いところです。既にパソコンメーカはほとんど撤退しています。ソニーは別格として、ぶざまにあがいているのは「T社」ぐらいでしょう。結局、レンズを作っているカメラメーカが生き残っているのですが、これからさらなる激戦になるわけです。何社残るでしょうか。レンズと並んで重要な心臓部分である「CCD」を握っている企業以外で何社残るのか興味深いところです。
デジタルカメラの老舗のメーカを中心にまとめてみましょう
- オリンパス光学工業(CAMEDIA C-3030ZOOM)
- 何故かシャンパンゴールドから真っ黒になってしまいました。「高級感」を演出したようですが、私はシャンパンゴールドの方が良かったと思います。300万画素になっても速写性は健在で、シャッターチャンスを逃がさないで済みそうです。このモデルでようやくUSB転送にも対応したのでMacintoshでも問題なくデータを取り込めそうです。C-2000ZOOMの時に使いづらかったシャッターボタンもマイナーチェンジしたC-2020ZOOMから改良され、電源スイッチと押し間違えないようになりました。唯一のネックはC-2500Lの後継モデルがでるかもしれないということです。価格が高かったのでしょうか、C-2500Lは思ったほど売れていないようですが、プロ用ではないコンシューマ向けの一眼レフデジタルカメラを望むユーザは多いはずです。USB対応の300万画素一眼レフがでてくるのも時間の問題でしょう。待つか買うかが問題です。
- 334万画素。(1/1.8インチ)
- 2048×1536、1600×1200、1280×960、1024×768、640×480(ピクセル)、300g。
- f=32〜96mm、F2.8〜F11、16〜1/800秒、80cm〜∞、マクロ20cm〜80cm。
- 光学3.0倍、デジタル2.5倍。シームレスズーム。
- JPEG(DCF)、TIFF、DPOF、QuickTime Motion JPEG、Wave(音声)。
- 3(3.3V)スマートメディア(2MB〜64MB)、USB、シリアル。
- 125,000円。
- ニコン(COOLPIX 990)
- ちょっと出遅れているようで発売時期も他社より1ヶ月ほど遅いようです。展示されていたのも試作モデルで速写性に問題がありました。書き込みに1〜2秒もかかっていては困ります。ただ、これからチューンアップされるでしょうから最終製品を楽しみにしたいですね。この手の機械のプログラムはフラッシュメモリなどに焼かれているはずなので、最終生産直前まで変更可能だからです。デザイン的にはアクセントが「青」に変わっていました。従来のFシリーズ銀塩カメラと差別化したかったのでしょうか。私は黒ボディに赤ラインのCOOLPIX 950の方がデザイン的には好きでした。あのNikonのロゴ周りの楕円の枠も何とかならないのでしょうか。ちょっとダサイです。
- 余談ですが、プロ用のD1は良いと思います。メカシャッターの感触も良く、大きなCCDも魅力です。値段が安ければということですが。以下はCOOLPIX 990の仕様です。
- 334万画素。(1/1.8インチ)
- 2048×1536、2048×1360、1024×768、640×480(ピクセル)、390g。
- f=38〜115mm、F2.5〜4、8〜1/1000秒、30cm〜∞、マクロ2cm〜∞。
- 光学3.0倍、デジタル4.0倍ズーム。
- JPEG(DCF)、DPOF、TIFF、QuickTime。
- コンパクトフラッシュ(8MB〜96MB)、USB、シリアル。
- 125,000円。
- 富士写真フィルム(FinePix 4700)
- 話題のハニカムCCDを搭載したモデルですが、こういう展示会では画質の比較は難しいです。速写性は問題なかったのですが、スタイルは好みが別れるところでしょう。私は好きではありません。持ちづらいのです。左手の置き場に困ってしまいます。ファインダの位置もしっくりきません。カメラっぽい230万画素のFinePix 2900の方が好みですが、大きすぎますね。
- ハニカム432万画素。(実際の画素数は違うようです)
- 2400×1800、1280×960、640×480(ピクセル)、255g。
- f=36〜108mm、F2.8〜4.5/F7.0〜10.8、3〜1/2000秒、80cm〜∞、マクロ20cm〜80cm。
- 光学3.0倍、デジタルなし/1.875/3.75倍ズーム。(記録画素数で異なる)
- JPEG(DCF)、DPOF。
- スマートメディア(4MB〜64MB)、USB。
- 128,000円。
- カシオ(QV-3000EX)
- 老舗のカシオも一時のスランプを抜け出して復活したようです。300万画素モデルを投入していました。しかも、かつてのQV旋風を思い起こすほどの低価格で、他社より4万円ぐらい安いのです。しかし、試作モデルなのか画像の書き込みが極端に遅く、速写性を論じる以前のレベルでした。高画素化するとデータ量が増えるためメモリカードへの書き込みに時間がかかるようになります。そのあたりをバッファメモリを入れたりして工夫することが設計者の腕の見せどころなのですが、うまくいっていないのでしょうか。それとも低価格にするためにバッファメモリの容量を小さくしてしまったのでしょうか。いずれにせよ最終製品に期待したいです。カシオはかつてQV-10という低価格機を投入し、日本のデジタルカメラを一気に普及させた功労者です。頑張って欲しいものです。
- 334万画素。(1/1.8インチ)
- 2048×1536、1024×768(ピクセル)、320g。
- f=33〜100mm、F2.0〜8.0、2〜1/1000秒、30cm〜∞、マクロ6cm〜∞。
- 光学3.0倍、デジタル2.0倍ズーム。
- JPEG(DCF)、DPOF、AVI。
- コンパクトフラッシュ(8MB〜192MB)、USB、ビデオ。
- 88,000円。
- リコー(「RDC-7」)
- 老舗の一つのリコーは300万画素モデルを出展できませんでした。ドイツで開催されていたCeBIT 2000で334万画素のRDC-7を発表しているのですが、Photo Expo Tokyo 2000には間に合わなかったようです。私は「製品名にゼロをたくさんつけると高級感が生まれる」という説には疑問を持っているのでシンプルな名前に戻って良かったと思います。疑似707万画素モードもあるようなので楽しみではあります。デザインも以前のスリムなものに戻ったようです。RDC-5300のデザインもカメラっぽくて良いのですが、根強いファンにはアピールしそうです。
- リコーは早くからUSB対応したり頑張っているのですが、地味ですね。今回のCeBIT 2000での発表もほとんどニュースになっていません。広報部門は何をしているのでしょう。頑張ってもらいたいものです。Photo Expo OsakaやNagoyaには参考出展してほしいですね。
- キヤノン(S-20)
- ニコンと並ぶ銀塩カメラのトップメーカであるキヤノンはデジタルカメラで大きく出遅れました。既にデジタルカメラ市場ではオリンパス光学工業、富士写真フィルム、ニコンの3社が大きなシェアを持っています。キヤノンには技術力があるので「真似した電器」と同じく、後追いで一気に抜き去る戦略を選んだようですが苦戦しています。銀塩カメラのブランドバリューがデジタルカメラに通用しないというのは誤算だったでしょう。同じカメラのようですが、今のところユーザ層が全く違うからです。今回のS-20は性能的には他社とほとんど変わらず、目立ったところがありません。銀塩カメラのIXYシリーズのデジタルカメラ版といったところですが、 売り物が「スタイル」だけではインパクトに欠けます。確かに性能がある程度のレベルを超えるとデザインなどの勝負になるのですが、それは実績があっての事です。ちょっと厳しいでしょうね。
- その他
- エプソンも300万画素モデルを出展してはいましたが今一つでした。写真画質のプリンタがメインなのでしょう。ミノルタはデジタルカメラから撤退寸前です。高級機のみを出展していましたが、数が売れるとは思いません。ソニーや「T社」は出展していませんでした。まあ、カメラショーですから当然かもしれません。しかし、三洋電機は出展してきました。ただ、それほどのものではないようです。何が特徴なのか良くわかりません。後発なら何か目玉があっても良いはずです。実は三洋電機はOEMなどを中心に頑張っていたメーカなのですが、それはユーザには関係ないことです。キヤノンと同じく「目玉」が欲しいところです。
- 余談ですが、某社があるところから「デジカメ」という言葉の権利を買い取ったらしく、他社やマスコミは「デジ・カメ」とか「ディジ・カメ」「デジタルカメラ」など表記を工夫しています。変な話ですね。
- 旭光学やコニカは銀塩カメラのみで出展していました。いたずらにデジタルカメラに参入することなく、ホームグラウンドで戦う姿勢には好感が持てます。頑張って欲しいです。
普通のカメラについて
- 何と一眼レフカメラには「新製品」が無かったようです。私が見逃しただけかもしれませんが……。毎年モデルチェンジするようなものではないのですが、全社合わせても新製品が一つもないというのは、完全にデジタルカメラに主力が移ったということでしょう。
- しかし、面白いカメラもいくつかありました。コニカのHEXAR Silverは意欲的な製品です。カメラの原点に戻ったようなコンセプトで古き良きカメラを思い出させてくれます。レンズに良いものを使っているのです。デザインこそレトロですが、中身は最新式の電子制御です。
- そう、最近の銀塩カメラのコンセプトには過去への回帰が見られるようです。昔は日本カメラはドイツカメラに太刀打ちできず「電子化」で対抗してきました。そして世界一になったわけですが、今ではレンズ性能など基本性能でも十分対抗できるようになったというわけでしょう。ドイツカメラは高いのですが、その性能に匹敵する製品を安く提供しようとしています。確かに通常のコンパクトカメラに比べれば高価ではありますが10万円を超えるわけではないのです。
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