百名山を目指す者にとって 鷲羽岳、黒岳の鎮座する 裏銀座縦走はあこがれの的 当初はとてもムリと諦めていたが経験を重ねるにつれて自信らしきものがわいてきてついに決行 幸い天気にも恵まれすばらしい縦走を体験できた |
・日 時 2001年8月18日〜21日
同行者2名百名山を目指しはじめた頃はとてもムリだと諦めていた北アルプスの最深部にある黒岳(水晶岳)、鷲羽岳 に挑戦する事となった。出発間近に風邪を引き体調不良だったが予定通り勇躍?出発。順調に槍ヶ岳登山以来の懐かしい新穂高温泉に着く。バスの中で昼食を済ませ12時45分スタート。行程と天候次第ではわさび平小屋までの予定だったがあっという間に1時45分わさび平小屋につく。これならと鏡平山荘を目指す。しかし快晴で雲一つないかんかん照りのなかの登りでK君が両足がつる状態になり前途多難を思わせたが何とか5時45分に無事到着。
小屋は鏡池という小さな池の畔にあったが、うわさほどではない普通の山小屋。北アルプス屈指の展望という謳い文句ほどではなかったものの、夕焼けの槍が間近に見られ、夜は満天の星を見て、空にはこんなにたくさんの星があったのかと、あらためて都会の空の不透明さを認識させられる。フトンは2枚で3人、土曜日ということだけにまずまずか。しかしK君が高山病からか食欲が全くなくこれからどうなるのか心配になる。
19日・・5時30分朝食、6時15分スタート。今日もまた快晴。槍、穂高を眺めながらアルプスの最深部を目指す。双六小屋に8時30分着、早めの昼食代わりにラーメンを食べる。そこからK君は巻き道を行き、小生とH君は双六岳(2860m)を目指す。山頂は特にこれといった特徴はないが展望はかなりのもので槍、穂高、笠ヶ岳などを楽しみそしてK君と合流。、富山県側は霧、長野県側は晴れという高山独特の現象を見ながら三俣蓮華岳を目指す。
12時40分2841mの三俣蓮華岳の頂上に立つ。双六岳よりもさらに奥に位置するだけに笠ヶ岳の姿がその名のとおりの笠にそっくりになってきたことなどに感激。今回の目的の鷲羽岳、黒岳の姿も見え、ついにここまで来たかとの思いに感無量。眼下に見える三俣蓮華山荘を目指し下山開始。
順調に2時に小屋へ到着。お盆過ぎで日曜ともなればこのあたりは閑散とした雰囲気で、寝床もこちらで選択出来る状態。しかしコックさんで有名とのうわさだったが、どうもそれらしき雰囲気はなく、極く普通の山小屋としか思われずいささか期待外れ。時間がたっぷりあることから翌日登る鷲羽岳を間近に眺めながら、そして着実に接近してくる11号台風の進路を心配しながら結構な量のビールを飲む。相変わらずk君は水物以外はのどを通らず。しかしビールが結構飲めるだけに一安心。翌日は台風接近の予報に早めに2座を登るつもりでねむりにつく。
20日・・・弁当をもらって3時45分ヘッドランプをつけ鷲羽岳に登りはじめる。幸い星も見え今日は持ちそうな感じに一安心。三俣蓮華から見た鷲羽岳はかなりの瓦礫の急斜面で果たして道があるのか心配するくらいだったが、いざ取り付いてみるとそれほどでもなく、途中鷲羽池をちらっと見ながら5時20分順調に頂上に立つ。空も明け360度の大展望はさすがで、北アルプスの山はほとんど余すところなしといった状態。そのうえに遠くに白山、八ヶ岳、浅間、そして富士山までもがはっきりと展望でき、これぞまさに大展望。おおいに満足してさらなる奥に鎮座する黒岳を目指す。
黒 岳 (水晶岳)
5時30分に鷲羽岳を後に黒岳を目指す。わりも岳を経て水晶小屋へは順調に歩いて7時10分に到着。小さな小屋とは聞いていたが、まるで掘っ建て小屋同然のみすぼらしい小屋が、この上ない展望が臨める最高の場所に堂々と鎮座する。小屋の主人らしい65歳という小柄なひげの仙人まがいの男性が仕切っている様子。話してみると結構気さくな人で一緒に記念撮影などする。カップヌードルを買って持参した弁当を食べ、7時30分いよいよあこがれの黒岳を目指す。結構厳しい岩場の連続で、案内では30分くらいでとあるが結局40分かかり8時10分に山頂に着く。
鷲羽岳以上のこの上ない大展望に思わず歓声を上げる。山頂はすこぶる狭く5,6人がやっとといえるくらいで槍ヶ岳の頂上より狭い。しかし展望はそれをはるかに凌ぎおそらく日本アルプス随一、いや日本百名山でNO1といっても過言ではないと思う。
十二分に堪能して8時25分下山開始。記念に水晶のかけらを拾って9時過ぎに水晶小屋へ。どうやら台風は遅れてなんとか今日一日は持ちそうな感じに大いに満足。
9時15分スタート。目の前にどんと鎮座する野口五郎岳を目指す。しかしこれが何とも遠い。目の前に見えているのになかなか近づかない。途中何度も硫黄岳と赤岳、北鎌尾根、西鎌尾根を従えた槍ヶ岳の姿に見ほれながら、真砂岳を経てようやく野口五郎岳(2924m)に着いたのが12時半。3人で感激の握手。
行き交う人もほとんどないまま眼下に見える野口五郎小屋に着いたのはいいが昼食を頼んでも用意は無いとの返事。ようやく従業員の残り物の炊き込みご飯を貰って烏帽子小屋を目指す。しかしこれがまた延々と歩けども歩けどもの感じで足の親指のまめが破れそうになる。途中で一休みした場所にコマクサを見つけ大騒ぎ。しかしこのあたり一帯はコマクサの群生地とか、群生するコマクサが他の植物に囲まれた厳しい条件のもとで生存競争にしのぎを削っている様子に感動する。
ようやく彼方に池の畔に立つ烏帽子小屋を見えたが、しかしそこからがまたまた遠い。ようやく池の畔へ着いたが小屋がない。さらに登ったところにあり、池の畔と見えたのはそれだけ遠くだったからのようだが、それにしても3人とも狐につままれた感じ。4時15分やっと烏帽子小屋へ。ついでに頑張って烏帽子岳に登りたかったが時間的にムリとわかり断念する。行動時間12時間半。小屋はこれまた予想していたよりもお粗末であったが、空いていたのが幸い。お粗末な食事を済ませ明日の天気の崩れの少ないことを祈って眠りにつく。
21日・・あさ目覚めるとなんと天気は大丈夫な様子に山の神様に思わず感謝。5時50分問題の日本3大急登の一つブナ立尾根の下りに挑戦。しかし寝るときに余った掛け布団を余計に敷いて寝たのがたたったのかかなりな腰痛。いささかびっくりしたがここで挫折するわけにはゆかない。あまりスピードをださずゆっくりと下りる。5時間は覚悟していたが以外に順調に3時間そこそこで下山できほっと一安心。ゆっくりかつ慎重に歩いたせいか懸念していた腰の痛みも何とか持ちこたへ、その上ある程度覚悟していたヒザの痛みも全くなし。ついに裏銀座を縦走、やったの思いに達成感を満喫する。
高瀬ダムでタクシーを呼び途中葛温泉の高瀬館で久しぶりの風呂に入り、信濃大町から松本へ出、スーパーあずさで八王子経由で4時40分台風接近で雨の中十日市場に帰着。かくして初体験の縦走3泊4日は希にみる好天のなか無事に幕を下ろした。