残雪の新銀座を駆け抜ける  

 夏山のトレーニングとして企画  5月の北アルプスは大丈夫かと心配したが なんとかいけそうだと判断し決行  しかし結果としては道無き道を探し求めて 14時間の悪戦苦闘の末にやっと下山 
           それにしてもよくぞ歩けたと思う
・日時 1999年5月28〜29日
・同行者 K,S,I君3名

 28日の天気はまずまず。順調に一の沢登山口へ到着。他の登山者はただの一人だけという閑散とした雰囲気。遙か彼方に目的地の常念岳がかなりの雪を抱いてそびえ立っている。今まで経験した山とは異なる威圧感、圧迫感を感じ体に緊張がはしる。11時スタート。

 一の沢沿いに沢登りの感じでなだらかな上りが続く。前日の嵐の影響もなく予定どうりのタイムで進み途中昼食を取る。後半は胸突き八丁といわれる急登にかかり二人はややばて気味。I君と二人で3時10分に常念小屋に到着。・・・4時間10分。この頃から雲行きが怪しくなり急にあられ、雹が降り出す。K,S二人は幸い少し降られただけで小屋に到着。
この日の常念山頂はあきらめ早朝の日の出を拝むことにする。

 小屋はシーズンオフもあってかわずか十数名、お陰で四名で一部屋、フトンも2名分あり大いに助かる。食事はまずまず?しかし朝食と昼の弁当はまずくてほとんど食べられず。しかしこんなところが相場かも。最近は足の冷えがひどく、底冷えの寒さにいささか困惑したが、アルコールと睡眠薬の助けを借りて何とか寝られる。

 3時起床、はじめてヘッドランプをつけての登山。風が強くそのうえ道がわかりづらく試行錯誤の登りとなる。途中S君はギブアップ、(K君は最初から参加せず)I君と二人だけで一時間くらいでようやく山頂へ。4時30分頃の日の出を待ったが結局空振りに終わる。しかし天気はまずまずで遠く富士の姿も見え、近くは槍、穂高などの夜明けの姿に満足して下山。

 小屋でこれ以上ないまずい弁当を食べ6時30分出発。しかし目前の横通岳(2767m)の登り口で雪のため道を間違え、這い松の中をさまよう出だしに前途多難を予感。半分が雪のためいわゆる夏道が通れずお陰で各所で苦労するハメに陥る。K君は当然承知の上と思っていたがどうもそうではないらしい様子に不安がよぎる。幸い2人のベテランらしき人が先行してくれたため、その足跡をたどることが出来何とか大天井岳の小屋にたどり着く。

 そこまでは槍ヶ岳、穂高など北アルプスの山々をはじめ、これはといえる山々が残らず見渡せまさに天上の楽園の感ありで、この山行の幸運を満喫する。しかし大天井岳から先の道がわからず一瞬途方に暮れる。小屋は当然冬季閉鎖中、燕岳方面から来る人もなく聞ける相手もいない。やむなく2922mの大天井岳の頂上を越えるという予想外の展開となる。常念岳より高い山をのぼるとは思いもよらなかった。おかげであまり人が経験しない大天井岳頂上での360度のパノラマを満喫する

 しかし下りはかなり厳しい岩場の連続、大天井岳を下りてもさらに燕山荘まではかなりの道のりがあり、S,K両君の消耗が気になり出す。特にS君は見た目にも限界に来ている様子。K君はすでにもう一泊するつもりでいる様子。ところがI君はどうしても今日中に帰宅するとのことで、結局二人と別れI君と行動をともにすることにする。
 

 燕山荘からの下りには3時間はかかるため、3時には燕山荘に着く必要がありかなり焦る。最後の蛙岩を越えたときに遙か彼方に見えた燕山荘に絶望感に襲われる。はじめてのどの乾きを覚え、水を残らずK君にやってしまったことを後悔する。
 
 しかしようやく2時30分頃に小屋にたどり着き、一息入れ6時にタクシーを予約し3時5分に下山開始。合戦小屋まではかなりの雪道で、登ってくる人はみんなアイゼンをつけているにもかかわらずアイゼンなしで強行。20分位で合戦小屋に到着。あまりの早さにびっくりするとともにこれなら温泉で一風呂浴びられるかもと欲がでる。

 後は一気呵成に下山。5時25分に中房温泉に到着。さすがに右ヒザの痛みとともに左の足指も痛くなり限界寸前。しかし日頃のステッパーのトレーニングのお陰で、息があがるとか疲労感はそれほどでなく自分でもびっくり。かなりの重量を背負い14時間を歩き抜いたことに相当の自信が持てた。

 中房温泉で風呂に入りタクシーで穂高駅へ、。残った二人は無事に燕山荘到着との連絡がタクシーにはいり一安心。予定どおりのダイヤで帰宅。しかし疲労のためか食欲がなくサンドイッチを軽くつまんだだけですます。

 今回は「雲上の漫歩」という言葉を鵜呑みにしてK君を信じて自ら何ら準備をしなかったことを後悔、何事も自分で納得してかかるべきと反省。しかし全員無事に帰還出来たことに乾杯。

 さすが2日ばかりは足などの筋肉が痛かったが3日目からはステッパーを再開。何事も普段の地道な努力が肝要な事を再認識。。