メンタルヘルス

トイレが近くて、外に出かけられない人が増えている。
→過敏性腸症候群
うつ病の手前である。

人に対して「うつなんじゃないの?」と言ってはダメ。
心の問題で人に指図すると、人権侵害になる。
ただし、信頼関係ができている相手に言うのはOK。


H12.8.9に出された4つの指針
1. セルフケア
2. ラインケア
3. 事業所内
4. 事業所外

2.のラインケアとは、管理・監督者によるラインのケアのこと。
・病気にならない環境
・何でも言いやすい環境(風とおしがよいこと)
・病気になったら対応できること


自殺者数
H15 34427人
H14 32143人
H08 22000人

H9年から増えている。
この数を多いと見るか、少ないと見るか。
自殺未遂者は、20万人にのぼる。

自殺者の多い年代から並べると
→50代、60代、40代、70代

理由の一番は健康不安。


アンケートで、ストレスがあると答えた人は63%。
そのうち、原因は、
1. 人間関係 50%
2. 仕事量 33%
3. 仕事の質 33%
4. 会社に対する将来の不安 17%
5. 自分の仕事の適正 13%

2.の仕事量が増えてしまったのは、ゆがんだ成果主義の結果である。
成果主義による、目標設定によるオーバーワーク。
目標が目標ではなく、評価になってしまっている。

高い評価のために、高い目標が立てられ
目標達成のために、経費削減として人員が削られ、1人1人の仕事量が増える・・・
組織が組織として機能していない。


人間は環境動物。
「適応障害」になってしまう。

不満・不安が、会社・職場にむかい
例)この職場が自分に合っていないんだ、会社が悪いんだ
最後に自分にむかう。
例)自分がちゃんとしていないからいけないんだ

現代はストレス社会である。
・急速なIT社会 →パソコンが使えない年配者の人が多い
・ミスマッチな仕事をしている人が多い

雇用不安があるので、他に仕事を移らない。我慢してしまう。
→失業者数は増えているように見えるが、現実には、ニートなどが増えてきているので、
「働きたくないから働いていない人」の数が増えているわけであり、
「働きたいのに働けない」人の数は多くはない。


新人研修で、メンタルヘルスを取り入れるところが増えてきている。

ここで、新人に教える内容を。

社会人として大切なことはなにか?
・人の信頼を得ること
・自分の感情に素直になること

では、人の信頼を得るためには?
1. 自己管理をしっかりして、健康になること
2. よりよい人間関係づくり
3. 責任ある行動をする →会社の冠を背負うことになる。あなた1人が起こした不祥事が、会社の不祥事になる。

また、自分の感情に素直とは?

できないことはできないと言う。
やれないことはやれない、わからないことはわからない、知らないことは知らないと言う。

第一人称で自己主張できるように。
ただ、できない場合は、「できません」と言うのではなく
「どうすれば」できるのかを言う。
例)「あと一日いただければ・・・」

知ったかぶりはしないように。


そもそも、ストレスとは



社会人には、@ストレッサーを軽くする、が必要
子供・学生には、Aここを強くする、が必要。

責任感が「ストレス耐性」を作った。

ストレス耐性:
・我慢する力
・頑張る力
・問題を解決する力

ストレス耐性=不快感情の処理能力

今の子供はこれが下がってきている。

会社 子供
やりたいけどやれない→ 制限 やりたいことをやる→ 受容
やりたくないけどやる→ 強制 やりたくないことはやらない→ 容認


自立できない、人に依存するようになってしまう。

人に依存する

自己否定
自己確信が持てない

自立できない「指示待ち族」が増えている

「自立」が大事


人間関係における
・セクハラ
・パワハラ
など

セクハラは、今では、触った・誘ったというものは減ってきているが、
その代わりに、言葉によるものが増えてきている。
×「うちの部署のおじさんたち」
×「うちの女の子」
×「結婚しないの?」

また、パワハラだが、パワハラでないのにパワハラだと思い込む人もいる。
・怒る→人格をいじめている
・しかる→やった行為に対して注意する

自分がしかられているのか、怒られているのか、を判断すること。

そもそも、ハラスメントは、「誰に言われたのか」が問題。
人間関係をしっかり築いていないと、褒め言葉が嫌味に聞こえたりする。


女性専用車両が増えてきているが、これは「人権侵害」にあたる。

女性は触られた、などとうるさく言うから、まとめてひとつの箱に入れてしまえ、という発想。
女性は怒ってもよいくらいなのであるが、犯罪防止の名目があるので成り立っている。
女性専用車両ができることが自体が、嘆かわしい。


「キレる」という言葉が多用されているが、キレるとは、自分の怒りの感情を満たした状態。

コミュニケーションが悪い、脳の発育が悪いなどによりキレやすくなる。

脳の中でも、とくに前頭葉の発育が悪くなっている。
前頭葉=監視脳。理性を司る場所。


佐世保の同級生殺害事件について、
メールでコミュニケーションをとっていたのが原因のひとつと考えられる。

メール・・・伝達手段としては便利だが、感情がきちんと伝わらない

面と向かって口頭で話している時は
例えば、「バカだなぁ」と言っても、言い方や声の調子・抑揚で冗談であることがわかる。

メールを使う際の注意:
・喋り言葉で送らない
→口で話すと抑揚で感情が伝わる
→口で話すとひどいことを言っていると思うと、自分で規制がかかりそれ以上言わないが
 メールだと、思わず書いてしまうことがある・メールだと書きやすい
・中傷・誹謗されるのは当たり前だということを認識する


組織の健康=1人1人の健康

健康とは・・・
WHOの定義によると、病気でない、肉体的、精神的、社会的に満たされている状態


ストレスがたまると・・・

1. 警告反応期
・だるい
・熱っぽい
・頭がぼーっとして眠い・重い
など、風邪のひきはじめ、もしくは二日酔いのような症状

↑疲労しているという自覚をすること

また、普段ならなんでもないことが億劫になる。
このままほっておくと
2,3日経つと症状が出なくなり↓これになる
2. 抵抗期
疲労が興奮に変わる。
徹夜が続いた後に仕事が片付いた時や、
長時間運転して遊びに行った時などに
「心地よい疲れ」と感じてしまう。
このまま休みをとらずにいると↓これになる
3. 疲憊(ひはい)期
疲労・困憊(こんぱい)している状態。
さらに、体がギブアップしてしまい、耐えられなくなると「過労死」になってしまう。
すぐに寝る人(話している時に寝てしまう、食事中に寝てしまうなど)は危ない。

過労死は、30代半ば〜40代前半に多い。=プロ野球選手の引退時期

というのは、自分の体力のイメージと、実際の体力に差が出てくる時期。
「まだ、若者には負けない」
「まだまだムリがきく年代だ」
こんなセリフを言っていたら要注意。

自分の体力の限界を知り、無理はしないこと。


心と体は一体ではじめて健康。

心に疲れを感じると、体に症状を出すことにより
注意を促す。

部下から「すみません、今日、だるいので休ませてください」と電話があったら
×「這ってでも来い!」
×「死ぬ気でやれ!」


ストレスの原因として

物理的ストレッサー 音が気になるようになったら危ない。
「聴覚過敏」→ストレス状態
眼精疲労(目の奥が痛い・まぶたが重い)
→めまい・吐き気
→夜眠くならない。眠れないのではなく眠くならない。
そして、3,4時に疲れて寝るようになる
社会的ストレッサー 職場 ・人間関係
・遠距離通勤(片道に1.5Hかかったら遠距離)
家庭 ・老人問題
・男性の育児ストレス(睡眠不足)
・ペットロス症候群

パソコンの画面を一度に見続けられる時間は20〜90分くらい。
VDTでは60分に一回休憩を、と言っているが、これには個人差があるので
疲れたら休むこと。

デジタルで左脳ばかり使ってしまう。
オフの日は、緑を見るとよい。
公園の散歩などよい。
小川のせせらぎ、波の音などを聞くのもよい。


ストレスの兆候:
風邪を引きやすくなる

風邪は心の健康のバロメータである。

免疫力が低下しているので、風邪をひきやすくなる。
免疫力が低下する原因には、疲労・悩み事などがある。

環境不適応により、下記のような症状を引き起こしてしまう
・身体表現性障害 ←心身症とは違う。心身症は、心が原因で体が悪くなる。
・うつ病 ←職場で多いのは「疲労性うつ」
・アルコール異常

例えば、新しい部署など新しい環境に移った時など
「認められるように、頑張ろう!」としないこと。
環境に慣れるのが先。
まずじっくりまわりの様子を観察して、慣れること。


うつ病:
疲れるとみんななるものなので、偏見を持たないように

早期発見のために

自分で感じる症状 憂鬱、気分が重い、気分が沈む、悲しい、不安である、イライラする、元気がない、
集中力がない、好きなこともやりたくない、細かいことが気になる、物事を悪い方へ考える、
悪いことをしたように感じて自分を責める、死にたくなる、眠れない
周囲からみてわかる症状 表情が暗い、涙もろい、反応が遅い、落ち着かない、飲酒量が増える
身体に出る症状 食欲がない、便秘がち、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛、動機、
胃の不快感、めまい、口が渇く

うつには
・疲労からくる場合
・性格からくる場合
がある。

性格からくる場合、
「真面目、素直、几帳面、責任感が強い、仕事熱心」な人が危ない。
人から頼まれるとイヤと言えない、期待にこたえてしまう人

↑これを見て「あ、自分だ」と思った人は、まず大丈夫。

・疲れたら早く帰ること。その時、遊んで帰らずに、まっすぐ帰って休むこと。
・それでもどうしてもおかしいようだったら、薬を飲むのがよい。
カウンセリングを受けて、プラス思考にすることも効果的。

ガマンをすること、させることはダメ!

半年ガマンすると、治るのに3〜4年、長い場合は6〜7年かかる。


私たちは6つの行動で仕事をしている

1. 朝起きて着替えて
2. 外出して
3. 電車に乗って
4. 会社に来て
5. 会社にいて
6. 仕事をしている

このうち、どれか1つでもできなくなったら(億劫になったら)
自分で自分を疑うこと。

例)朝起きれない、着替えるのが億劫、外に出られない、電車に乗れない、
会社の近くまで来たけれど会社までたどり着けない、会社にずっといることができない、など


ストレスにならないために・・・

食事は三食、きちんととる ダイエットによる過食症・拒食症が増え、
若年性更年期障害で通院してくる高校生が増えている。
睡眠はちゃんととる 6〜8時間は寝ること。人は根だめができない。
でも、体を休めると楽になるのでよい。動かずに横になっていることはよい。
軽めの運動をする 激しい運動はしないこと。過労死の危険あり。
歩くのがGOOD。
非日常な行為をする 緑を見ながら公園を散歩するなど。
また、行きたくないという人は連れて行かないこと。
単調な行為は避ける 同じ時間の同じ電車、同じ車両に乗る、など。
変化を持たせること。
一日の区切りをつける 帰ったらお風呂に入り、区切りとするなど。
頭から仕事が離れないのはダメ。仕事は持ち帰らないこと。家でやらないこと。

頭が疲れている時は、体力がない
→なので、疲れやすい

また、温度差に弱くなっている。
室内は冷房などで、自分に温度が合わせられるが、
室外の環境に、体が調節できなくなってきている。
→汗をかかない


まとめ:

なにしろ「自己管理」をしっかりすること

自己管理をしっかりして健康になる
→すると思いやりが持てるようになる
→ゆとりが出て、人間関係が変わる
→良い影響をまわりに与え、その結果、自分も楽しくなる