騙されそうになった編

キモノショー編

某月某日、家にDMが届いた。
内容は『青春の思い出キモノショー2000』というもので、素人出演モデル募集と書いてあった。(主催社名はいちおう伏せておきます)

ネタのためDMをとっておいたので( (^^; )、内容を書き写すと

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青春の思い出キモノショー2000

素人出演モデル募集

開催予定地
 東京・横浜・大阪・神戸・京都・名古屋・札幌・博多・仙台(予定)

【応募資格】

●15才から35才までの健康で明るい女性の方
 ※身長は問いません
 ※既婚・未婚は問いません
 ※プロモデルの方はご遠慮ください

【審査員長】

ワイドショーでよく見かける芸能レポーターのN元さん(DMには芸能評論家と書いてある)

【出場者募集要項】

●選考方法
 1次選考‥‥履歴書、写真等による書類選考
 2次選考‥‥面接面談による選考の結果、面接当日に出場決定致します

●キモノショー出場決定の方には、キモノショー用のお着物をプレゼントさせて頂き、キモノショーにはプレゼントのお着物にて参加して頂きます。

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ってな内容を読んだ私は、成人式で着物を着なかったこともあり、自分用の着物が1枚欲しいな〜と思ったのです。それで、着物をプレゼントしてもらえるなら受けてみようかな、という軽い考えで申し込みをしたのでした。

申し込みはDMについてきた用紙の枠の中を埋めるだけ。ありきたりな名前、住所、電話番号、生年月日等に、簡単な履歴書、それに写真を貼りつけるだけ。私の場合は、何人かで写っている写真の自分のところだけを切り抜いて糊で貼りつけただけ(写真は超小さい)。

しばらくして、1次選考合格の通知が届いた。2次選考を行うので、面接に来てください、とのこと。2次選考で面接面談による選考の結果、面接当日に出場が決定する、と書いてある。2次選考合格者(=キモノショー出場者)には、面接後、着物を選んでもらう、と書いてある。

<1999年11月14日>
銀座日産ギャラリーへとむかう。面接期間は金・土・日の3日間。その期間内ならいつ行ってもよい。ただ、『ご両親のご協力が必要なため、面接はお母様と一緒に来て下さい』と書いてある。みずきままは仕事があって、行ける時がなかったので、会場に電話して、私ひとりで行ってもよいかを聞いてみた。すると、電話に出たお姉さんが「成人ですか?」「働いてますか?」と聞いてきた。そうだ、と答えると、「じゃあ、おひとりでも構いません」と言われた。

面接会場へ。ワンフロアの催し場を使っているので、けっこう狭い。エレベータを降りると、目の前にパイプ椅子がいくつかならんでおり、その前にはTVが置いてある。そのTVではビデオを流していて、内容は去年のキモノショーの模様。ふ〜んと思いながら見ていると、自分の名前が呼ばれる。やたらに愛想がいいおじさん(いちお、おにーさんか?)が面接官であった。超簡単な質問(なんで、キモノショーに出たいの?とか)を2、3されただけで、「はい、じゃあ、隣の部屋に行って、着物を選んでくださいね〜」と言われた。「へっ? もう出場決定なんですか??」と私が尋ねると、「はい、そうです」と言われた。なんだか、拍子抜けしつつも、じゃあ、これで着物をもらえるってこと!?とちょっとわくわくしていた。が、しかし、そのおじさんに「着物はプレゼントなんですけど、大勢の方に着物に慣れ親しんで欲しいということで、全部はプレゼントできないんですよ〜。だから、帯だけは買っていただくことになるんですけど、いいですか?」と聞かれた。「えっ? 帯?? でも、帯って言ってもそんなに高くないだろう」と思いなから、「はぁ…」とか答えると、「お母様がいらっしゃらなくても、ご自分で決められますか?」と言われた。馬鹿にされたような気がしてちょっとムッとしたが、まぁ、着物もらえるならいっか、と思っていた。とにかく、着物を見せてもらおう、と思った。

隣の部屋は、いわゆる時々デパートとかで行われている呉服展といった感じ。掛けられた着物が壁に並んでいて、下には反物が所狭しと並んでいる。案内の人に連れられて隣の部屋に行くと、着物を着た女の人(仲居さんといった感じの人。おばさん)が迎え出てくれた。案内の人は「この人に似合う、い〜い着物を選んであげてくださいね!」と微笑んで、その女の人に言い、去っていく。

女の人とマンツーマン状態になる。「ハタチ過ぎてる?」「何色が好き?」「成人式の着物は何色着たの?」などと質問され、あれよあれよといううちに、何枚か勝手に選んでいる。鏡の前に連れていかれ、体に合わされ、「どお?」と聞かれる。はっきりいって、着物のことなんか全然わからないので、「はぁ‥‥」となってしまう。「じゃあ、実際に着てみましょうか」と言われ、洋服の上から着物(っていっても反物)を羽織ることに。「帯はどれがいいかしらねぇ‥‥」といいながら、おばさんは帯も何点か持ってくる。一通り着つけてもらって、「どおですか?」と聞かれる。まんざらでもないんじゃな〜い?とか思っていると、若い兄ちゃんが私の担当として横につく。後でわかったのだが、この人はソロバンはじき係であった。「お似合いですね〜」とかブティックの店員(死語)みたいなことを言われる。おばさんに「こっちの帯の方が、いいわよねぇ〜」とか言われて、「そうですね」と答えると「これ、高いのよね〜」と言われる。高いっていくらさ?って思って聞くと、なんと帯だけで40万円と言われる。「ひえぇ〜、帯ってそんなに高いの!?」着物の知識のまったくない私は、素直に受け止めて驚いてしまった。一番安い帯で30万円だと言う。「え、じゃあ、着物がタダっていっても、一体いくらかかるんですか?」と尋ねると、兄ちゃんが電卓をたたきはじめる。「着物はプレゼントなんですけど、仕立て代は別なんですよね」「帯が30万として‥‥」「あ、長襦袢って持ってます? なければ別料金でサイズにあったの、お作りしますけど」「草履とかバックとかも必要ですよね」とか言いながら、全部のモノ(着物、帯、長襦袢、草履、帯留め、バッグ等)を私のまわりに揃える。全部それぞれに値札がついてるが、バッグ¥46000などと、どれもめちゃ高い! うひょ〜っと声にならない驚きをしていると、全部計算され、60万円とかいう値段を示された。「無理です!」と言うと、なにやら偉そうなおやじが近寄ってきて兄ちゃんに「勉強してあげてね」とかささやいている。おばさんも一緒になって、「そうよそうよ、まけてあげなさいよ〜」とか言っている。ってことで、草履、帯留め、バッグ、長襦袢、長襦袢仕立て代はタダってことで、

袋帯代   ¥368000(これでも値引いた値段)
帯仕立て代  ¥16000
着物仕立て代 ¥39000
胴裏     ¥15000
ゆのし     ¥3000
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合計    ¥441000 に消費税の ¥463050(!)

という値段を表示された。でも、やっぱり高すぎる!!

っちゅーことで、お断りすることにした。
お断りする=キモノショー出演を辞退する、ということになる。ちょっと寂しいけど、この値段払うのは、あまりにも馬鹿馬鹿し過ぎる。出場したところで、入賞できるとも限らないのだ。

まわりはみんなママ連れなので、別の兄ちゃんやおじさんは、自分担当のママにむかって「娘さんのために、いい着物をプレゼントしてあげなきゃ」とか「着物は一生もんだよ」とか言っている。まぁ、これから成人式の子はいいかもしれないけどね。でも、契約が決まると「呉服を五つの福とかけまして、ご発展を祝って! よぉ〜ぉ」とか言って、三三七拍子をしていた。時々、その声と手拍子が聞こえてきていたから、そんなに高い値段でも、契約が結ばれているのだろう。『ご両親の協力が必要だから、お母様と一緒に‥‥』って書いてあった意味がやっとわかった。これって、一種の悪徳商法だよなぁ‥‥。

でも、「ご自分で仕立てができる場合は、ご自分でやっていただいて結構ですので、その場合は仕立て代はかかりませんよ」と言われているママもいた。もし、私が「帯は超いいモノを母が持っております。草履やバッグも母のがございます。着物の仕立ては祖母ができますので、着物だけいただいて帰りますわ」とか言ったら、それはOKとして着物をくれたのだろうか? それを言ってみなかったのが悔やまれる。それに、その場合は、ちゃんとキモノショーにも出れるのだろうか??

そんなことがあった、つい2000年1月12日のこと、みずきままがワイドショーを見ていたところ、私とまるで同じ手口で、138万分の帯を買わされたという50才の女性のことをやっていたらしい。母はすぐに「娘と同じだ」と思ったらしい。なんでも、消費者相談センター(でしたっけ?)には、この手の着物の相談がかなり来るらしい。ん〜、やっぱり、新手の騙しだったのか‥‥。おそるべし! でも買わなくて良かった。でも、これ(上の募集要項)見て、帯を買わされると思う人が、どのくらいいるのだろうか?

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いやいや、いい勉強になりました。みなさんも、くれぐれもこういう新手の手口には気をつけてくださいね!

 
悪徳商法について詳しくは‥‥
ぽっぽの幸福の樹
さんのページをどうぞ。



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