ダイアログ・イン・ザ・ダーク
2004年8月28日

#長いのでお暇な時にどうぞ



ダイアログ・イン・ザ・ダークに行った。
これは友達が教えてくれた。

オフィシャル
http://www.dialoginthedark.com/
参考
http://www.tbs.co.jp/radio/did/

「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」という名前のとおり
「闇の中の対話」である。

これが紹介されていたニュース記事より
『真っ暗闇の中で五感のバランスを取り戻す趣旨の参加型展覧会
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」が開催中。
案内役は視覚障害者で、参加者は配られた杖と案内役の声だけを頼りに、
暗闇の中を歩くという内容』

1ユニット定員10名、体験時間は約1時間、完全予約制。

いくら目が慣れてもなんにも見えない真っ暗な中で
視覚を遮断し、聴覚や触覚などのその他の感覚を使って
真っ暗な空間の中を進んでいくのである。

「自分の手が見えないほどの
まっくらを体験したことがありますか?」

暗闇というもう一つの世界・・・

1グループに1人、アテンド・スタッフ(案内役)として
視覚障害をもつ人がついてくれる。

この空間では、健常者と障害者の「助け−助けられる」という関係が
一瞬に逆転し、新しい関係が生まれる。
これは、不自由さを体験する障害者疑似体験ではない。
目の見える人が新しい感覚や関係性を得るためのものである。

「目以外の何かで
ものをみようと思ったことがありますか?」

『見る』じゃないんだよ。『みる』なんだよ。

これの3つの基本コンセプトが
1.目が慣れても暗い完全な暗闇の空間を作る
2.複数の人と一緒にその中に入る
3.視覚に障害のある方にアテンドをしてもらう


ネタバレになるので内容の詳細は書かないが、
ほんとに何にも見えない真っ暗な中を、
アテンド・スタッフの人の声だけを頼りに歩く。



〜このくらいはいいかな、の内容をちょっと・・・
ネタバレがイヤな人は見ないほうがいいかも?〜


[追記]
後日、新聞などの紹介記事を見たら、ネタバレなんじゃ?ってくらいいろいろ書いてあったので、↓に書いてあるくらいのことは全然問題なさそう。この次の詳細まで読んでも問題ないかも。


入る前に白杖(はくじょう)を渡される。
視覚障害者の人が使っているものとまったく同じものである。
持ってみるととても軽い。
上からゲンコツ二個下を、鉛筆を持つように軽く握る。

私のグループのアテンド・スタッフは木下さんという男性だった。
最初、暗闇に入る前に、木下さんから
「名前だけで結構ですので、自己紹介してください。
一度に全員(10人)覚えられないかもしれませんが」
と言われた。

順番に名前を言っていったのだが、
きっと、声だけで覚えちゃうんだと思う。
すごいなぁ・・・と感心せずにはいられなかった。
健常者が「私、名前覚えるの苦手なんだよね」とか言ったら
怒られそうだ。

中に入ると、ほんとに真っ暗。
いつまで経っても、目が慣れても何も見えなかった。

体験時間はトータルで1時間。暗闇にいる時間は50分くらい。
でも、あーーーーっという間だった。ほんとに。

「こっちですよ」の声を頼りに歩くのだが、
暗闇の中で、木下さんの案内の声のありがたいことありがたいこと。
それから、私はひとりで行ったので、他の9人は初対面だったのだが、
一緒に歩いているうちに、声を聞いただけで
「あ、あの人だ」とわかるから不思議だ。
特徴がよくわかる。
私は難聴気味なのだが、耳がすごくよくなった気がした。
あと、すごく汗っかきの男の人(って言っても若い)がいたのだが、
私はもともと鼻がいいこともあるので、その人が近くにいる時は
においでわかった(笑)

みんな慣れないこともあって、すり足気味で歩くのだが
木下さんはスタスタ歩いていて、しかも、先頭を歩いているのだが、
10人いるので列が立てに長くなってしまうので、
時々、最後の人が来るまで待っていたりして、全員揃うとまた
先頭にスタスタスターと歩いてくる。<音でわかる
全然違う方向に歩いていく人がいると、
「こっちですよ」と教えてくれたりして、
「なんでわかるんじゃーーー! 暗視カメラつけてるんじゃ?」
って思えるくらいだった。

私は方向感覚をまったく失った。どっちに歩いてるのかすらわからないままだった。
部屋の中の全体図はまったくわからないまま出てしまった。
真っ暗の部屋の外も照明は暗めになっているのだが、それでも
外に出た時、眩しい!と思った。

真っ暗な部屋を出る時に、木下さんが
「このむこうは、みなさんが普段生活している世界です。
いつもの世界ですか? それとも、別の世界ですか?」
と言っていたのが印象的だった。
んー、いろいろ考えさせられる。

部屋を出てから、10人でコの字に座る。
その前に木下さんがやってきて、
木下さんから「皆さん、どうでしたか?」と感想を求められた。
みんな感慨深そうだった。

真っ暗な部屋に入る前に、数部屋を経由し、
部屋は、だんだん暗くなっていく。
真っ暗な部屋に入る直前の部屋までは、
健常者のスタッフが案内してくれる。
真っ暗な部屋に入る直前の、かなり暗くなった部屋で
木下さんは待っていた。
なので、最初は、顔とかあまりよく見えなかったし、
とてもハキハキ喋っていて、声だけ聞いた感じでは
「あれ?健常者の人??」などと思ってしまった(もちろん、ヘンな意味ではなく)。
だけど、最後、部屋から出て、
明るい場所に木下さんが姿を現した時にはじめて
「あ、本当に視覚障害の人なんだ」というのがわかった。
みんなも同じことを思ったようだった。
木下さんは、みんなにむかって
「暗視カメラつけてるわけじゃないんですよ〜」
なんておどけて話していたが。

木下さんは別のグループのアテンドをしないといけないので、
「そろそろ」とその場を離れようとした時に、
みんなが大きな声で「どうもありがとうございました!」と口々に言った。
その時、照れくさそうに、でも嬉しそうに木下さんが笑って
「この瞬間が一番嬉しいですね」
と言ったのが心に残った。

出てから話したのは、わずか数分だったが、
10人に連帯感みたいなものが生まれた(ような気がした)

これは、不自由さを体験する障害者疑似体験ではないとのことであるが、
やはり、いろいろ考えてしまう。
もしも駅や街で、視覚障害の人が困っていたら
優しく声をかけたいと思うし、他の人にも声をかけて欲しい。

ただ、いきなり大きな声で話しかけると、相手の人が
びっくりすると思うので、あくまでソフトにね。
あと、時々、駅の改札とかで、視覚障害の人の腕を
ガッとつかんで、「こっちだよ」って
誘導するおじさんを見かけることがあるが、
あれも、やめましょう。
体に触る時には、先に声をかけてね。

だって、自分が真っ暗闇で、いきなり腕をつかまれたりしたら
かなりびっくりするでしょ? それと一緒。

もしも駅や街で、視覚障害の人が困っていたら
自分が真っ暗闇で、その場所にいることを想像して
何に困りそうか、何をして(教えて)もらえたら嬉しいかを考えると
いいんじゃないかと思う。

それから、視覚以外の感覚をもっと使おうと思った。
うんうん、良い経験ができたと思う。

すでに、経験済みの方 or ネタバレしてもいいからもっと詳細を見たい方はこちら


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