見たまま作文 

  No.958
  題名 蛇口から水を飲む猫(再編)
  書込日 07-07-18
蛇口から水を飲む猫

 チャピーは浴室の蛇口から水を飲むことを覚えた。顔を横にし、流れに舌を濡らしながらピシャピシャ飲む。わんぱく坊主が得意気になって水を飲んでいるのと同じ感じだ。

 はじめは浴室の床にこぼれた湯水をピシャピシャ飲んでいた。足りないと「ニャ〜ン」といって催促する。湯水を手ですくってまいてやると、うまそうにピシャピシャやる。

 扉を閉めて風呂に入っていると、扉の前で順番待ちでもしているように座っている。浴室の入口の所に容器に入れた水を置いているのだが、それは気に入らないらしい。だから、「湯垢のついた水が好きなのか」と思っていた。

 ところが、蛇口から床にこぼれた水でもピシャピシャやるのを見た。それからは、湯垢では汚かろうと蛇口から水を床にこぼしてやるようにした。

 あるとき、蛇口に残っている水をなめているのを見た。水を出してやると、顔を横にして流れに舌を濡らしながら、器用にピシャピシャやった。これにはびっくりした。それからは、細く流しっぱなしにするようにした。

 この頃では浴室の前で待っていて、人が近づくと「ニャ〜ン」といって催促する。知らんふりをしていると「聞こえないのか」といいたげに、命令口調で「ニャン」という。ときには「言わなくても分かるでしょう」という目でじっと見つめる。飲んだばかりだというのに、また催促することもある。ちょっと飲んですぐ出てくるから、手をやかせているのかも知れない。

 これで困ることが一つある。チャピーは「水を出してくれ」と催促するが、「止めてくれ」とはいわない。猫も長く生きているとだんだん人に近づいてくるようだが、しょせん毛が一本足りないようだ。
(1999-05-08)再編(2007-07-13)