見たまま作文 

  No.925
  題名 セフィーロセフィーロ
  書込日 07-04-30
セフィーロセフィーロ

 早朝、“セフィーロセフィーロ”と涼やかな小鳥の囀りが聞こえる。書斎の開き戸をそっと開き、囀りに聞き耳をたてる。晩秋から冬の頃、ギャーギャーと、赤い喉を見せて鳴きわめくヒヨドリの声だとは、とても思えない。繁殖期は声質をガラリと変えてしまう。

 “セフィーロセフィーロ”と鳴くのを“意識して聞いた”のは数年前。横浜市緑区にある寺家ふるさと村だった。その頃、日の出に合わせてよく散策に出かけた。すると、森の中から“セフィーロセフィーロ”と聞こえてきた。鳥の姿が見えないので鳴いている鳥の名前は分からなかった。

 その後、川崎市多摩区生田緑地でも“セフィーロセフィーロ”を聞いた。ここには川崎市青少年科学館があり、野鳥観察会を開いている。たまたま、その会に出遇ったので鳴き声の主を尋ねた。「姿を見なければはっきりしたことは言えないが、ヒヨドリではないか」という。とても信じられなかった。

 昨年、寺家ふるさと村の池でカイツブリがひなを孵した時、連日のように観察に出かけた。同じように観察に来る野鳥の会の人たちと知り合いになった。その人たちに“セフィーロセフィーロ”の主を聞くと“ヒヨドリ”の囀りだと教えてくれた。

 繁殖期に、ヒヨドリほど声色(こわいろ)を変える小鳥はいないのではないか。
(2007-05-01)