見たまま作文 

  No.924
  題名 実録:詐欺の手口
  書込日 07-04-30
実録:詐欺の手口

 月曜日の夜のこと。掛かってきた電話に妻が出た。「お母さん、携帯電話が壊れたので買い換えた。新しい番号を控えておいて」という。
 ひどくかすれた声だったが、長男だと思った。「風邪ひいたの?」と聞くと、「職場で流行っていてさ。今日は早退してきたんだ」という。
 そして、「明日、病院に行く。11時30分に携帯に電話してくれ。恵(長男の嫁の名前)に聞かれたくない話だから」という。「恵はいまどこにいるの?」と聞くと、「風呂に入っている」という。
 新しい電話番号を聞き、妻と私の携帯電話に登録した。

 翌日、指定された時間に電話した。ところが「電波の届かない所にいるか、電源が切られています」のメッセージ。三度繰り返したがつながらなかった。
 その後、用事があるなら掛かってくるだろうと放っていた。

 1週間後、長男の固定電話に電話したとき、携帯電話につながらなかったことを伝えると、「そのような電話はしていないし、携帯電話の番号も変えていない」という。「エッ!?・・・・・・」。

 あの時のことを思い出すと偶然が重なっていた。あの日の夕方、恵から孫が風邪をひいて幼稚園を休んでいると知らされていた。それで孫が長男から移されたのだと早合点した。
 また、いま考えるとおかしなことがある。いつもなら「仁だけど」といって電話をかけてくる。「お母さん」といってかけてくることはない。
 「恵に聞かれたくない話だから」と、“恵”の名前をいうので疑念を持たなかった。「恵も風邪をひいているのか」と聞いたときに、相手に知られたのだ。

 あの電話は“おれおれ詐欺”の手口だったのだ。きっと、翌日病院にいるときに電話がつながっていたら、「○○の病気の検査をしなければならない。それにはウン十万かかる。恵に内緒で送ってくれ」と言われていたのかも。

 その後、得体の知れない男からの連絡はない。
(仁、恵:仮名です)
(2007-04-30)