見たまま作文 

  No.1010
  題名 はす田での感動
  書込日 08-07-03
はす田での感動

 土砂降りの蓮田に立つ。ザワザワと蓮の葉を叩く雨音がやかましい。あっちでもこっちでもドドッ、ドドドッと蓮の葉に溜まった雨水がこぼれ落ちる。下の葉に落ちると四方に砕け散る。蓮の葉の暗がりの中で、それが銀色に光る。蓮田の中でたくさんの獅子脅しが音を立てているようだ。
 片手に傘、片手にカメラを構えシャッターを押す。だが、雨水がこぼれ落ちる瞬間を写すのはむずかしい。三脚を使い、連続撮影すればいいのだが、そんなことをやれる状況にはない。見るだけで精いっぱいだ。
 傘から落ちるしずくが蓮の葉に落ちる。傘をゆするとバサバサと落ちる。雨水の重さに耐えきれなくなった茎がゆっくりしなる。それにつれて葉がゆっくり傾く。葉の上の円形の雨水がゆっくり長い楕円になる。と、突然、雨水がスルスルッ〜と流れ落ちる。スローモーションビデオを見ているようだ。おもしろくて、何度も傘を振る。
 傘のしずくを蓮の葉の端の方に垂らす。砕け散った水玉が葉の上をクルクルッと回転する。葉の外に飛び出すのもあれば、溜まっている雨水に吸い込まれるのもいる。葉のどこに垂らすかでいろいろな動きをする。おもしろくて、何度も繰り返す。
 土砂降りの蓮田を見たくて、強い雨の中、東京都町田市にある薬師池公園に来た。着いた頃から雨がいっそう強くなった。ビニールの雨合羽に長靴の重装備をする。
 わざわざ出かけてきた甲斐があった。ズボンの裾をぐしょぐしょにしながらすっかり童心に返った(写真五行歌あります)

 雨上がりの晴れた日、蓮田に立つ。あちこちの蓮の葉の上に平たい水玉ができている。それを写そうと近づいたときだった。直径三センチほどの水玉の中からプクッ、プクッと水が吹き出ている。だが、水玉が大きくならない。「どうなっているんだ?」「水が循環しているの?」。
 プクッと吹き出た水が平たい水玉の上を滑るように動き、パチンと消える。小さな波紋が平たい水玉の表面に広がる。また、プクッと吹き出て、パチンと消え、小さな波紋が広がる・・・。「実に幻想的だ」「これは大発見だ」。他の人に気づかれないようにしながら夢中でカメラのシャッターを押す。
 目を輝かせて蓮田を見て歩く。他にもプクプクッが見つかった。大賀ハス独特のものなのだろうか。
 後日、プクプクッの正体が空気であることに気づいた。いつもの早とちりに自嘲。葉の中心部に茎との接合部が見える。そこをじっくり観察しても空気孔は見つからない。プクプクッの孔は針の孔よりも小さいのだろう。だが、プクプクッは蓮が呼吸している証にちがいない。
 薬師池公園では毎年観蓮会が開かれ、蓮田から採取した蓮の茎を通してお酒を飲ませてくれることを思い出した。茎には孔が通っているんだ。そのことを思い出した。蓮は茎を通して葉から息を吐き出し、呼吸しているんだ(写真五行歌あります)